貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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611話

「~♪」

 

音楽が流れるダンスルーム、大型ミラーの前でステップを踏むウマ娘達の姿が見れる、のだが現在そこは一人のウマ娘が独占してしまっている。いや別にする気はなかったのだがダンスをし始めた途端に視線を集めまくってしまったので不可抗力だと本人は言うだろう。ウマ娘は走るだけではいけない、ウイニングライブの事を踏まえるとそれこそアイドル染みた素質を必要とされる。これを嫌がるウマ娘も一定数いる、あるものは実力で黙らせたりもするが大半はちゃんと踊るのでこれらも確りと指導するのがトレーナーとしても実力のうちに含まれる。

 

「こんなもんだ」

「は~これを来年踊るのか」

「気が早いなおい、せめてデビューして簡単に掲示板取れる実力になってから言え」

「出来ないと思ってる?」

「いや出来ると思ってる、だけど思ってる程度で実現可能なほど現実が甘くはないとも思ってる」

「相変わらずシニカルな暴君様だねぇ」

 

クスクスと笑う姿はチームを立ち上げた当時から見ている身としては不思議な変化だぁと思われるステイゴールドの言葉を裏腹にランページはダンスの練習に入っている面々に視線をやる。まさかダンス指導までやるなんてトレーナーを目指していた頃は考えはしなかっただろうな、というか完全に頭から抜けていた要素でもある。

 

「でもランページさんのダンスカッコ良かったです!!」

「というか何が苦手よ!?キレッキレすぎて参考にならないわよ!!?」

「「最高でーシタ!!」」

「いやだって、ぶっちゃけた話センターの振り付けしか覚えねぇ戦法だもん」

「まさかの負ける事想定なしだったの!?」

「今思えばあれも南ちゃんの戦略だったろうな……背水の陣って奴だ」

「えっとえっと、こういうのってこういうんだよね!!あんた一人で陣なのか?って奴!!」

「ちょっと誰よウララさんに変な言葉教えたの!?」

「あっそれ俺だ」

「ちょっとステイさん貴方ウララさんに変なの教えないでよ!?」

「教えてねぇよ部室でゲームやってたのをこいつが膝の上で見てただけだ」

 

不安になった事はあるが結局1着、センターの振り付けしか覚えなかった気がする。厳密にいえばその気になれば一応踊る事は出来るが……ぶっちゃけぎこちない、なのでセンターは自分が教えてそれ以外はダンス専門の先生のご助力をお願いしようと素直に思っている。

 

「はいそこでクルッとターン」

「タ~ンっちゅ♡」

「こ~らマヤ、まだアドリブは入れないの。今はちゃんと覚えられてるのか確認なんだから」

「えへへへっごめんなさ~い♪」

「それじゃあちゃんとやれたらやっていいから」

 

マヤの方は坂原が教えている、当人は全てちゃんと踊れるらしい、というかなんだったら音楽無しだとして自分で歌ってリズムを取ってやってのける。試しにリクエストしたらいい声をしながらも時々マヤに向けてのサービスをしながらも完走してぬけて脱帽だった。

 

「マヤもマヤで天春近いんだから気合入れなさいよ、走りてぇだろうけど前会長曰く、ウイニングライブを疎かにする奴は学園の恥らしいからな」

「ルドルフ会長ってそんな厳しいデースカ?」

「いや、守るべきところはしっかり守れって言うだけだ。あの人自体は愉快な人だからな、堅物キャラって思われたくなくてダジャレ言う位には愉快な人だ」

「あ、あの皇帝が!!?し、信じられない……」

 

まさかこんな所でエアグルーヴのやる気下がった現象がみられるとは思わなかった。そんなこんながありつつも進められているダンスレッスン、ウイニングライブはこういう事で支えられていくのだ、とセンターの練習ばかりだった暴君は思いつつも時計を見つめるとレースが始まっている時間だなと思う。

 

「あ~改めて発表しとくぞ―――このチームは基本的に6月にメイクデビューさせるからそのつもりで……そして今踊ってるダンス、それがお前らの未来の路線だ」

 

その言葉で全員が喉を鳴らした。クラシック路線にティアラ路線に分かれているそれに全員が視線を動かし……同時にこの面子で争うのかというのを自覚する。こう思うとある意味一番気楽なのはドーベルかもしれない、まあラモーヌから期待を掛けられているのだからそれでトントンだと言われたらそれで終わりなのだが。

 

「言っとくがお前らが戦うのは此処に居る面子だけじゃねぇぞ、リギルやスピカにカノープス、それだけじゃねぇ奴らと争うんだからな。ドーベル気ぃ抜いてるとまたちゃん様紹介しちゃうぞ☆」

「そ、それだけはご勘弁を……!!」

 

如何やら前回のあれは相当に効いたらしい、よしまた気を見てやってやろう、忘れたころに。まあ目的はドーベルの実力チェックなので虐めとかでは一切ないので実際問題ない。

 

「スズカ、サニー、ステゴの方が幾分マシだろうな……タイキとドーベルは外れるし。スペお前らマジで覚悟しとけよ。お前らの世代が多分一番やべぇからな、味方だからこそ分かってることも多いだろうが此処にフローラの指導受けたグラスとかテイオーとかシービーとかタイシンとか走りまくってるウンスに南ちゃんの影響で冗談抜きで洒落にならん仕上がりになりつつあるツルも加わるんだからな」

「そういえば……あれ、ツルちゃんって最近本当に休んでないよね……?」

「……ッ!?言われてみたら、いつの間にか当たり前のように教室にいて一緒にご飯食べてるわ!?」

「ロ、ローレルさんの脚をジョーブにしたみたいにツルちゃん、南坂さんのメニューでスゴイコト、ナッテルデスカ……?」

 

最近南坂のメニューを見る機会があったが、ツルちゃんことツルマルツヨシが色んな意味で凄い事になっていた。3倍シンザン鉄を付けてイクノと耐久並走というのが書いてあった、体質弱くなかったっけ……と宇宙猫になりかけたのを覚えている。

 

「と言いつつ、タイキお前はお前で辛いぞ~」

「What!?」

「それは―――入っといで~」

「もう良いよ~!!」

 

良い声且つ大きな声で入って来たのはくるくる回転しながら見事なポーズを取ってみせたサングラスをかけたウマ娘、彼女はサングラスを魅惑的に上げながらもウィンクをする。

 

「シーキングザパール、宣言通りに来たわよっ!!本日からプレアデスに加入させて頂くわよ!!」

「WOW pearl!!I see!!ワタシはパールと対決するんデースね!!?」

「イエ~ス、という訳で皐月賞が行われている裏で俺達は俺達で忙しくなるという事です。上ちゃん頑張ろうな」

「はぁ~……残業は趣味じゃないから頑張るか~」

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