今日も今日とてランページは走る、トレーナーではあるがウマ娘である為にチームの総力を調べるにはこれが一番手っ取り早い。ドローンをフル活用して各所から撮影する手法を取るそれはトレセン学園内のチーム全てにおいて最先端、リギルやスピカもやろうと思えばできなくはないが……シンプルに金額面の問題やドローン操作などの知識も求められるので導入には踏み切っていない、今の所導入しているのはプレアデスとカノープスのみである。
「これはビックリね、他のチームよりもずっとハイテクノロジーで先鋭的。それなのに洗練されてもいるのが不思議よ」
「ランページさん曰く、ハイテクも使い手次第じゃローテクになるっていってますからその辺りは注意してるそうです」
「流石ね~」
チーム入りを果たし、興味津々と言いたげな視線を向けているウマ娘はシーキングザパール。史実においては日本初の海外G1レースの勝利を勝ち取った名馬、モーリス・ド・ギース賞にて叩き出したレコードたる1分14秒70のタイムはレースレコードで15年間にわたり保持された程だった。その場のインタビューで森調教師が来週出走するタイキシャトルはもっと強いという発言をした為に一時単勝オッズが1.1倍にまでなったという。
「ったく全身走法レベルアップさせるの早過ぎね?何あれ、テイオーのステップまで取り込んでんじゃん。何になりたいんだよ完全ハイブリットのスーパーウマ娘か?」
「えへへ~ランページさんをビックリさせるためにテイオーちゃんにお願いしたの♪」
「(そういえば同室だっけ……普通に考えたら皇帝越えの生徒会長と同室とか胃がぶっ壊れそうなもんだけどな……)」
流石マヤ、テイオーとも良質の関係を築けているのが分かる。テイオーはルドルフと比べると皆から慕われてつつも敬意を向けられる友達みたいな先輩として扱われている、悪い言い方かもしれないがルドルフのようなオーラがないために近寄りやすいのもあるだろう。改めてなんで親しみ易さをダジャレに求めたのだろうか……。
「どうだいパールゥプレアデスは」
「最高ね!!リギル、スピカ、カノープスも巡って来たけど此処の雰囲気が私には一番合ってるって感じしてるわ!!」
「あそこまで巡ったのかよ」
「というか全チーム回ったわ」
「マジで?」
より正確に言えば、受け入れ可能という看板を出している全てのトレーナーの元を巡っていた。当然NGを貰ってしまったトレーナーもいたが、可能な限り巡り続けて来た。
『今日まで有難う御座いました!!』
『残る気はないのかしら?』
『あるとしたら全部終わってからですね、それでは!!』
『じゃあその気が出来たらいらっしゃい』
『んなぁぁぁ……やっぱり行くのか?』
『ええ、そういうお約束でしたわよね?』
『仮にもスピカはトレセン学園でも指折りのチームなんだけどなぁ……』
『だからこそ私には価値がありましたわ』
『それでは次がいよいよですね』
『南坂トレーナー、貴方は私を引き留めたりしないのね』
『ウマ娘の向かいたい先を邪魔したりする意味はありませんからね、トレーナーはその途中にある石を片付けたり、この先にある苦難を教えて道を行くか否かを手助けするのみの存在で良いんです。道とは、自分で歩くもの。他人に言われて変えるのは歩き方とスピードだけでいいんですよ』
『Oh……その格言頂きね!!これから使わせていただくわ!!』
『ええご自由に、ランページさんにもよろしくお伝えください』
「リギル、スピカ、カノープスの三強って言うのもよく分かったわ。中でも一番肌にあったのはスピカとカノープスかしら」
「リギルはちょっち違う感じか」
「なんて言うのかしら、なんか合わないって感じだったのよね~」
まあ自由な気質を持っているパールは個を尊重するスピカとカノープスの方が相性的にはいいのは確か。東条も悪い人ではないのだが……。
「まあパール、言っとくが俺は基本的にメイクデビューを6月にしてる。仮に負けたとしてもガンガンと未勝利戦にも出していくつもりだ」
「望むところよ、各地チームを渡り歩いてきた私は様々な価値観や指導方針、理論に触れてきた。これすなわち世界を渡り歩いてきたと言っても過言ではないわ!!そう、私は既に新しい世界挑戦をしてきたのよ!!これは貴方をすでに超えた、と言っても過言ではないわ!!」
その言葉に一同の目が点になった。キングやエルもぽかんと口を開け、同期のドーベルなんてランページお姉様になんて事を……!?と顔を真っ青にしている。
「俺を既に超えたか」
「イエース!!だってそうでしょ、貴方はカノープスだったわ。だけど私は多くのチームを渡り歩いた、一つ一つの理解度という意味合いでは負けてしまうけど視野や考え方の広さでは負けるつもりはないわよ!!浅くて広いだけ?いいえ違うわ、それらを全て私の力になってNEWシーキングザパールとして今、貴方の前にいる!!それが答えよ、フォーアンサー!!」
「クククッ……ア~ハハハハハッ!!そうだなそういう意味合いじゃ俺より上だなこりゃ一本取られたわ!!そりゃいいな、良い超え方だ!!」
大笑いするランページを見てエアグルーヴやスズカはやっぱりね肩を竦める、今でも勘違いされがちだがランページは別段自分を特別視しないし自分を超えると言われて簡単に怒ったりはしない、寧ろできるのならばやってしまって構わないというスタンス。
「どうせだ、そのまま俺を過去にしちまってくれ。特にスズカには期待してるぞ、俺のワールドレコード更新は期待してるぜ」
「2000なら何とかなるかと思いますけど、2400はどうでしょうか……?というか芝2000の方って取ってましたっけ?ランページさんのは如何して2400の方が印象的で……」
「おいスズカ、お前幾らなんでも失礼では……」
「あ~……俺の2000のベストってなんだっけ?」
「ランページさん貴方がそれ言っちゃダメでしょう!?」