貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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616話

「聞いているのですかランページ」

「聞いとりますし反省も後悔もしまくりですよっと……だけどこちとら妊娠してるとか全然自覚症状なかったんすからしょうがないんですってば」

 

場所をランページの家に移して、そこでお婆様とスーちゃんによるお説教が始まった。と言ってもスーちゃんはスーちゃんで一緒にバーボンを飲んだ仲なのであまり強く言えないので基本的にアサマが説教を担当しているのだが……一応その場に上水流も一緒にいる。

 

「にしても子供、子供ねぇ……」

「実感がわきませんか」

「そもそも上ちゃんとの婚約自体はしてるけど、ぶっちゃけ話をすると人の妻になる事だってピンとも来てませんし、自覚すら育たねぇままに母親になるって分かるとどうにも色々と思う所はありますよそりゃ。母親、母親ねぇ……」

 

ランページにとっての母親は既に死んでいるあの母、自分を引き取った叔父夫婦は父と母という認識を持つ遥か手前で蒸発してライアンに救われるまでは一人でいた身としては何とも表現の仕方が分からない物になっている。

 

「しかし、双子、双子ですか……」

「何よ上ちゃん、折角の授かりものが双子なんて目出度い事この上ないじゃない。ねぇア~ちゃん、貴方だって嬉しいでしょ?」

「いえ、上水流さん貴方の懸念は分かります」

 

上水流は心配している事はズバリランページの負担の事である。妊娠が発覚していると分かった直後に改めて検査をしてみると双子がウマ娘であることが分かった。ただでさえウマ娘の出産は母親の負担が大きいのに、双子ともなると……しかも双子の場合、片方に栄養が偏るリスクがあり、障害を持って生まれてきたりする場合もある。何よりもランページへのリスクが著しく大きい事は明白なのでそれを心配している。

 

「ランページ、一応聞いておくよ」

「俺は産むって決めてる、二人共だ」

「ランちゃん……」

「折角俺の所にまで来てくれた子供、それを拒むなんて野暮な事はしねぇよ。俺は別に快楽を得る為にそういう事をしたんじゃねぇんだからな……こういう事だって重々承知だったよ」

 

現代でも出産は命懸けだ、それが双子ともなると……だがランページは意見を曲げるつもりはないのでどんな言葉を尽くされたとしてもこの決断を曲げる気は毛頭ない。

 

「仮に中絶させる気なら……俺を先に殺せ、俺は子供を犠牲にして生き延びるような親にだけはなりたくない。なる位なら死んだ方がマシだ」

「分かりました、貴方がそういうのであれば私としては貴方を止める気はありません。元より、貴方が決める事なのですから、お好きになさいランページ。但し―――ちゃんと愛して上げなさい」

「誰にモノ言ってんだよお婆様、屑親になる気なんてサラサラねぇよ」

「なんか深みあるわねぇ」

「そりゃ実体験から来てますから」

 

と、大見えを切っていったもののメジロ家には当然支援をお願いする。アサマとしても曾孫の為ならばと最大限の支援をする事を確約、スーちゃんとしても自分にとって孫同然のランページの子供ならば我が曾孫も同じと同じ気持ちである事を言う。せめてそれはルドルフかシリウスに言ってやれと思ったのは言わない方がいいのだろうか……。

 

「しかし双子、双子かぁ……名前とか、どうしよう……」

「気が早いわよ上水流さん、と言っても私もティターンが生まれて来る時には名前をどうしようかと悩んだ物です」

「ある意味、一番の楽しみよね」

「と言ってもウマ娘なんだからなぁ、名前はどうなるんだろう……」

 

ウマ娘は別世界の魂を引き継いで生まれて来るという話があり、生まれてくる前から既に名前を持っていると言われている。それは自然と母や父の中に湧いてくるものらしい、そうなると双子の名前も既に決まってたりするのだろうか……と思っているとランページが笑う。

 

「悪いがもう名前は考えてある」

「えっ早」

「俺の所には三女神が頻繁に来るんでね」

「ランちゃんならジョークとも言えない言葉ねぇ」

 

まあジョークなどではないからな、実際によく降りて来るし……夕食集りに、そのお返しが加護みたいな所もあるし……兎も角、三女神のあれこれのお陰で既に名前は決まっているし、その名前の魂を持っている事も感じられる、確実だ。

 

「先に生まれる方がアマテラス、次女がツクヨミだ」

「あら、日本の神様の名前ね」

「俺は日本を飛び越えて世界の暴君様だ、だったらそれを超えるならもう神しかないと思ってね」

「暴君の上が神って、何段階がすっ飛ばしてる気もするの気のせいかな」

「まあ細かい事気にしないの」

 

三女神が自分の家へと送って来た事もあった未来の子供達、そんな彼女らとも会う日は遠くない未来に確定した。さあどんな未来が待っているか楽しみでしょうがなくなってきた。

 

「しかし一番の驚きなのは……貴方の頑丈さね」

「ホントよね」

「まあランページらしいと言えばらしいけどね」

「おう嫌味かおどれら」

 

『……双子を妊娠されているとは思えない程にバイタリティに乱れが見られませんな……深酒をした事による影響によって体調を崩したところにちょうど悪阻が来たという所でしょうね……お嬢様の頑強さには慣れたつもりでしたが、私もまだまだなようです』

 

「まあ問題なくトレーナー業もこなせそうでよかったわ、取り敢えず明日は理事長とたづなさんに話して定期的な検査のための休みの許諾を取るのと坂原さんには話した方がいいな、後おハナさん……フローラに伝わりそうで怖いけどまあ言っとかないとまずいよな、あと南ちゃんか。沖ノッチは役に立ちそうにねぇからいいか」

「仮にも先輩に何て言い草……」

「まあ彼が役に立ってくれるとは思えませんが……」

「貴方も結構酷い事言ってるわよア~ちゃん」

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