貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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618話

「きょ、驚愕!!?か、確認っ!!その話は事実なのか!!?」

「態々メジロ家お抱えで俺の主治医の診断書を態々偽造するドッキリ何で流石に俺でもやりませんぜ理事長、お~ハテナ、どうしたお腹に耳当てて」

「ミャ~」

 

理事長室は今日は凄い騒ぎに包まれていた、来客用に準備されていたソファーに腰掛けながらも甘えて来るハテナがお腹に耳を当てつつ、喉をゴロゴロと鳴らしている。ハテナもハテナで小さい命が宿っているのを感じ取っているのかもしれない。そんな微笑ましい光景とは裏腹にトレセン学園のトップ二人、いや厳密に言うとトップは一人なのだが、トップ二人は現役時代から振り回してくれていた暴君から驚きの言葉を掛けられた。ランページの妊娠、しかも双子。

 

「え~っと上水流トレーナーと御婚約したのは知ってましたけどそこまで進んでたんですか!?」

「いやぁ酒の勢いって怖いよな、皆もお酒とは正しいお付き合いをね」

「誰に向かって言っているんだ君は!?」

「最近見た映画の真似っす」

 

兎も角冷静さを取り戻そうとして秋川、改めて診断書に目を通しつつもランページの姿をたづなと共に見比べる。そして自分の中にある知識と照らし合わせるのだが……

 

「た、たづな確認だ。妊娠5か月目というのはもっとお腹が大きくなる時期ではないのだろうか……私の認識間違いか……?」

「わ、私も詳しく知ってる訳でありませんけど……5か月あたりですと……誰が見ても分かる程度には大きくなるはずですが……」

「基本的に5か月だと子宮がサッカーボールぐらいの大きさになるっぽいっすよ。俺の場合、腹筋やらインナーマッスルやらが極めて頑強かつ柔軟性に富んでるからそこまで子宮が目立たないらしいです。にしては胎児の状態が極めて健康的なのが凄いって言われましたぜダハハハハッ受ける」

「「何処が!!?」」

「だって産婦人科の先生が5か月、マジで?みたいな顔すんですよ?笑わずにいられるかってんだwww」

 

本当にこのウマ娘は何処まで破天荒になるつもりなのだろうか……本当にこれまでの常識が通用しない……常識とは、18歳になるまでに身に着けた偏見であるとは誰の言葉だったろうか……と脳内検索を掛ける理事長であった。

 

「まあという事なので、俺がこういう状態なので色々と支援をお願いしたいんすよ。場合によっては体調不良で俺自身がレースに出られない場合とか出るかもしれないんでそういう時の場合に備えてのマスコミのあれこれとか」

「それについては承知したが……双子とは……」

「なんだよ理事長までそういう事言っちゃいますのん?おめでたい事だって純粋に喜んでくださいよ、独裁暴君の初の子供が双子のウマ娘ですぜ?」

「いえそれについてはとても喜ばしいと思います、思いますが……ランページさん、双子のウマ娘についてのリスクについてはご承知ですか?」

 

並の双子でもあれこれがある、だがウマ娘の場合は危険性が跳ね上がる。生まれてきてくれても競走ウマ娘として大成したという記録は全くない。

 

「何言ってんだよちゃんと生まれて来て元気に育ってくれればそれでいいんだよ、別に俺は競走ウマ娘として大成しなくても、その子の人生として満足できるものが送れればそれでいいんだ」

「……謝罪、野暮な事を思考し口にしてしまった」

「私も申し訳ありません、ついそういう事を……」

「トレセン学園の上役としては当然の事だとは思うからお気になさらず」

「という事は、これからは並走は控える方向性で?」

「あっそっちはバリバリやります、三女神からのお墨付きあるんで」

「……あの、それってジョークですよね?」

「知ってます?俺って死んだ後は神格化するらしいですよ」

「冗談とは思えぬから怖いのだが……」

 

ガチなんだよなぁ……と思いながらも二人に頭を下げつつも、ハテナを理事長の頭に戻してから軽く頭を撫でてから理事長室を後にする。ハテナは名残惜しそうにミャァ~……というのだが、妊婦は余り猫と触れ合わない方がいいとも聞いた。まあハテナその辺りは確りしていると以前理事長から聞いたが、一応念のためだ。

 

「あっランページさん」

「うわっ……」

「顔合わせていきなりその反応はないでしょ、何ですか今の言葉にならないうわっ……は……どっかの世界に拒絶された挙句、東京タワーを赤く染めた英雄の末路を見た時並の声じゃないですか」

「死ぬほど具体的だな」

「私も似たような声を出した記憶が……」

「ああ成程……」

 

いきなり出くわしてしまったフローラ、もう少し時間を空けてから顔を合わせたかったと心の底から思っている自分がいる。

 

「ランページさん理事長室から出てきましたね、何かありました?」

「お前に話す義理があるとも思えんねぇ……」

「ひっどいなぁ知らない仲でもないのに」

「黙れド変態レズ野郎」

「違うわドノーマルだわ!!?というか野郎じゃないんですけどぉ!?」

「すまん、バイだったな」

「だから違うっつの!!」

 

現役時代に思い起こされるあれらからフローラがそうじゃないと断定できる情報は残念ながら存在しない……如何に本人が必死に否定した所で如何にも説得力がない。

 

「それとご懐妊、おめでとうございます」

「―――」

 

本気で言葉を失った、そしてゆっくりと後ずさりをした。まだ限られた人間しか知らないそれを何故知っているのか……本気で怖くなったように身体を抱きながら逃走する準備をする。

 

「いや引かないでくださいよ!?私は貴方の事なら分かる自信がありますから。どれだけ徹底して貴方の研究をして来たと思ってるですか……一度会えば貴方の身体の状態なんて分かりますよ。つまり、以前のあれは悪阻だったんですね、いやぁ病気とかじゃなくてよかったよかった……そして―――なんと双子!?おめでとうございますってあ、あの本気で引かないでください……」

「引くに決まってんじゃねぇかお前何なの、何なん!?冗談抜きで怖いんだけど!!?」

「甘いですね、以前の私は貴方の足音から体重の計算をしてましたが、今の私ならそんな無粋な事などしなくても観るだけで分かってしまうんですよ……」

「……お前、ウマ娘辞めてきたな……マルチすぎる変態になりやがって……キモ……」

「いやキモはないでしょ!?」

「いやキモいよ……怖い、ライアン助けて……」

「そこまで言うか!!?」




発狂すると思った?私も思ってた。だけど夢に出てきたフローラがね

「私が分からないとでも?」

って言って来て納得しちゃったの。こいつマジでなんなの?
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