貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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628話

「お疲れさん、タンホイザ、ネイチャ」

「お疲れ様~……いやぁ見事に負けました!!」

「いやはや、若いこの躍進ですなぁ~」

 

天皇賞春を終えて戻って来たタンホイザとネイチャ、タンホイザはタンホイザで引退の挨拶を終えてだが……観客からはやめないで~という声で溢れかえっていたがそれを笑顔で返しながらも堂々と競争ウマ娘としてのピリウドを打ってみせた。

 

「ネイチャは7着でタンホイザは9着か……」

「いやはや、チケットに負けてこの結果だからねぇ~完全に世代交代だね」

 

相手も強いなかでこの着順は健闘としたと言っても誰も文句は言わないだろうが、当人達的には少々苦々しい結果になったのは変わらない事だろう。

 

「カノープスもカノープスでローレルが引っ張ってくれてるし、アタシ達はそのサポートしながら前に進んでいくつもりだよ、タンホイザにも今年はそうして貰いながら行くつもりだし」

「ああそうか、このタイミングでの引退だから卒業来年か」

「そだね~でもマヤちゃん凄いじゃん、ライスちゃん相手にそこまで走れるなんて中々できないよ」

「悔しいがアイツも天才って奴だからな、教える側としては辛いわぁ……そしてこの後、俺はエアエアのオークス対策だぜ?それが終わったらスズカ達がメイクデビュー、と思ってたら宝塚記念とくらぁ……全くトレーナーっつうのは忙しいな南ちゃん。これをやらせてたと思うと頭下がるわ」

「私はそこまで大変ではありませんから、ねぇ佐々田さん」

「今からプレッシャー掛けるのやめて貰えるかな……」

 

佐々田の言葉に一同が笑うが、当人からしたら笑い事ではないだろう。何故かと言われたら、休養が終わったら今度は凱旋門賞に向けての海外遠征が待っている。南坂はそこに同行してローレルをサポートする事が決まっているので、それが終わるまでは佐々田がカノープスのメイントレーナー代理に抜擢される事が決定しているのでタンホイザはその補佐をする事が決まっている。

 

「そう言えばライスにも話が掛かってるって聞いたが、どうするんだ南ちゃん」

「ライスさんですか……ハヤヒデさんから話を持ち掛けられたらしいのですが……予定にない事ですので、当人の希望優先で組んだとしても長距離優先ですね……出るとしてもパーマーさんコースですね」

「だろうなぁ……ハヤヒデも色々頑張ってるだろうけど」

 

ライスを誘ったのもライスが勝てると見込んでのこと、という事よりも既に海外を経験しているからのとライスのメルボルンカップではパーマーへのリベンジを目指していた相手からの猛チャージを受けていたのにそれをものともせずに勝利した強さを見込んでいるからこそだろう。

 

「兎も角、おハナさんと相談の上で決めるしかありませんね。同行するとなれば早めに決めなければなりませんし」

「だな、余りにも急すぎるし……トレーナーって大変だなぁ」

「そんな大変な仕事の中でアンタは双子妊娠してんだからちゃんとしなさいよって」

「おっとこりゃ痛い所を衝かれたな」

 

一時の安らぎを得るカノープス、と言ってもすぐに嵐の中に飛び込む事になると思うとこの安らぎは尊い物になるであろう。

 

 

「さて、改めまして……マヤ、天皇賞はお疲れさんだったな」

「は~い」

 

ところ変わってプレアデスの部室、天皇賞での反省会とこれからのスケジュールについて詳しい話し合いの場を設けたおやつ会。皆がケーキに舌鼓を打っている中でランページが状況を進めていく。

 

「掲示板は何とか確保の4着だったな、と言っても相手が相手だからしょうがないと言えなくもないが負けてもいいって免罪符って訳じゃないからな?」

「分かってるってランページさん、次は勝つもん」

「ならよし。そしてお次はエアエア、お前さんのオークスが遂にやって来る、お前の最大の目標だったなオークスは」

「はい、ハッキリ言ってしまうと桜花賞よりも此方の方が大切です」

「お~お~言ってくれますねぇ我らが女帝様は」

 

エアグルーヴが真に目指すのは母も制したオークス制覇、母娘二代によるオークス連破。ティアラ路線の二冠が掛かっていると言われてもエアグルーヴからすればいまいち興味の分からない話であり、憧れでもある母と同じ舞台に勝つ事を至上の命題としている。

 

「それに当たって、ちゃん様先輩ことラモーヌ姉様にお前を徹底的に鍛えて貰う事になってるから覚悟しとけよ。場合によっては俺とターボとも走って貰う事になってる」

「ラ、ランページさんは走っていいのですか!?」

「まだそれ言うか。お前何、車運転中に目の前で突然バックした車が後ろの車にぶつかった事を何度も何度も繰り返して言うタイプ?」

「死ぬほど具体的だけどなんかあったか?」

「うんにゃなんにも」

 

強いて言えば作者の実体験である。

 

「ンでその後にはお待ちかね、スズカ達のメイクデビューが控えとる。一応お前らバラバラに出走する手筈にしてる、と言っても別に負けても気にせずに出走させるしデビュー成功させたとしても俺はお前らを同じレースにぶち込む事を躊躇しないんでそのつもりで」

 

それを聞いてスズカ達もいよいよか……と身を引き締める。宣言通りに初戦こそ配慮してくれるが、カノープスと同じく、同レースへの出走も平然とあり得るのでその辺りは自分で出たいレースを申告しなければならないので注意。

 

「パール、お前さんはまだプレアデスに来て日も浅くて適応出来てないかもしれないけど……」

「No problem!!ご心配なくよランページさん、このシーキングザパール、全く問題なしよ!!それに同じチーム同士で走れるなんてワクワクするじゃない!!私の場合はタイキかしらね、チームメイトでライバルなんて楽しいじゃない!!」

「YES!!勝っても負けてもお祭り騒ぎデース!!」

 

なんだかんだで仲はいいけど戦う事になったら一切の躊躇なくやるだろうからその辺りは問題なく走ってくれることだろう。このチームだけでレース制覇が出来そうな勢いだなと、笑う。

 

「んじゃまあ皆の物、今年もまたトゥインクルシリーズは大変ですけど頑張っていきましょう!!」

『お~!!!』

「うい~っす」

「ステゴ、せめて合わせない?」

「いやこれがアタシだし」

「逆に安心するな」

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