貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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640話

「なんでテメェは少しでも築き上げたテメェの信頼を自分で破城槌でぶっ壊してんだよ、馬鹿か」

「だ、だってぇ溢れ出る愛を止められなくて……」

「それを向けられないお相手さんが気の毒でしょうがねぇよ」

「あっ彼公認ですのでお気になさらず」

「気にするわ……その矛先俺ぞ」

 

現役時代と大きく異なっている事と言えば、フローラと共に食事がとれるようになった事だろうか。クラシック序盤辺りまでは普通に一緒に食べていたような気もするのだが、トリプルティアラになった辺りから徐々になくなり、フローラが変質した時には完全に途絶えていた筈のそれが再開している……歳喰うと考えが変わるというのは本当らしい。

 

「ンでそっちは色んな意味で準備は良いのか」

「みんな頑張ってくれてますからねぇ~」

「ホント、其方はそちらで有力ウマ娘を多数抱えて大変なこって」

「それ言ったら来年からのプレアデスだってそうじゃないですか」

「プレアデス、俺含めてトレーナー三人体制だぞ。リギルに比べたら相当に楽だぞ」

 

トレーナーになって思った事はおハナさん事東条トレーナーのマネージメント能力の高さである。たった一人で数多くの有力ウマ娘を抱えながらもそれらを一切破綻させずに捌き切っているのだから、今年だってイシノサンデー、ダンスインザダーク、ロイヤルタッチの三人をリギルに加えている訳だし……まあそれに負けず劣らずのウマ娘がいるプレアデスは完全に人の事を言えんが。

 

「今年のクラシックはまたリギル旋風吹き荒れるって感じか……毎度毎度の事ながらどうなってんだリギルは」

「と言ってもこれからは不安が残りますけどね、おハナさんは海外に行っちゃいますから私が何とかしないといけませんから」

「んじゃ狙い目か」

「おい人の心無いんか」

「人の不幸は蜜の味って名台詞を知らんのか」

「流石人の不幸で生涯無敗になった女」

「そう褒めるでないゾイ」

「なんで偶にデデデ大王混ざるんですか」

「使いやすい以外にあると思ってる?」

 

そんな事をほざきながらもチーズ入りのカツを頬張る、今日も美味しい事この上ない。

 

「しっかし、改めて見させてもらいましたけど……エアグルーヴちゃんの成長曲線、これ相当にエゲツないですね……今年度に入ってから成長の度合いが著しい……一体何やってたんですか?」

「何も、強いて言うならちゃん様とターボと競わせてるぐらいだ」

「初代と三代目トリプルティアラ様じゃないですか……よくそんなことさせられますね」

「現役時代から腐る程にやって来たからな」

 

強い相手と走るという事はそれだけ経験値を得られる、ゲームのような簡単な走りではないが今の自分を把握する事にも一役買うのでかなり有効。それに真面目なエアグルーヴはそれを真摯に受け止めて発展に繋げてくれるので、相手がトリプルティアラなんだから負けてもしょうがないなんて思う事もない。そういう意味でもこれは有効なのである。

 

「私もやってあげた方が皆の為になるかなぁ~……」

「お前は俺以上に範囲広いんだからやってやれよ、何のための変態性だよ」

「いやその言い方やめて貰えます!!?私が冗談抜きで何でも行けちゃう変態みたいじゃないですか!?いや違うからね!?私そんなのじゃないからね!?」

 

此処は天下のトレセン学園の食堂、そこでそんな事を言われたら周囲の学生連中にも筒抜けになるのは必然。自分の身を守るようにドン引きして後退りしていく周囲の皆を見てフローラは全力で誤解を解こうとするが、解こうとすればするほどに皆引いていく。

 

「お前ら安心しろ、こいつは俺にしか興味がないド変態だ。お前らにそれが向く事はねぇぞ、だから安心して飯食ってな。俺が抑えててやるから」

『は~い!!!』

「うおおおおい何で私の言葉には信頼性が無くて普段から滅茶苦茶やってる貴方の言葉には皆素直に従ってくれちゃうんですか!!?こんなの差別だ、名誉棄損だ!!」

「今までの事を考えれば残当やろがい」

 

そんな大騒ぎするフローラだが、なんだかんだで生徒達には好かれているし相談も気軽に持ち掛けられるトレーナーとして人気を集めている、だけど絶対に専任トレーナーになってほしくないランキングでぶっちぎりの1位を獲得しているという話がある、尚2位は沖ノッチである。

 

「兎も角だ、お前は色々ともちと自制しろ。自制心のかけらもねぇじゃねぇか」

「自制する私なんて私じゃないですか」

「……否定出来ねぇのがどうにもこうにも悲しいなぁおい」

「いやホントに悲しいのは自覚しちゃってる私だから……」

 

まあこれが無くなったらと思うそれはそれで心配にはなるから酷い話だ。これも積み重ねか。

 

「ホント引き返せなくなったってのはこの事だな」

「私をこういう風に変えたのもランページさんですけどね」

「自主的に変質した癖に人のせいにするとは恐れ入ったわ」

 

そんな事を言いながらも完食して手を合わせる。

 

「つうかお前も食うならさっさと食えよ、確か午後の授業の一部受け持つんだろお前」

「―――はぁっ忘れたぁ!!?なんで言ってくれないですか!!?」

「いやそもそも授業を忘れる事自体分からないから」

「くっそ地味に優等生だったわこの人ぉ!!?」

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