貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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644話

無敗のダブルティアラの誕生は日本中どころか世界に広まる大ニュースと化した。既に世界中では日本のレースは外国の一レースなどという事に収まらない、此処で活躍したウマ娘が将来的に海外へと意欲を見せるのか、それとも国内に重点を置くのかも重要な事になりつつあるので、世界中の報道各社が日本にアンテナの設置などに必死になっている。メジロランページのお膝元たる日本のプレアデス、愛弟子エアグルーヴの活躍は、既に全世界が注目し、ジャパンカップへの意欲も益々高まっていく事だろう。

 

「ンで態々んな事を俺に言う為に呼んだんすかお婆様、これでも俺暇ないんすけど」

「そう言いながら平然と来ながらアッサムティーを啜っていては、説得力という物がありませんよランページ」

「そりゃお婆様のお呼び出しですぜ?孫としては来るのが道理ってもんすよ、これでも俺ってば家族には甘い所がありますから」

 

そんなオークスから数日、ランページはアサマからの呼び出しを受けてメジロ本家のお屋敷へとやって来ていた。途中途中でメジロの分家やら本家筋のあれこれと顔を合わせたが、本家筋の方には嫌味を言われたが、逆にその首をひっつかんで言いたい事があったら素直に言ったらどう?と凄んだら腰砕けになって逃げて行った。生憎、嫌味を言うならもっとうまく言わないと駄目だ。

 

「全く、あれらもランページの功績を理解していながら……面倒を掛けたわね」

「いいえ可愛いもんすよ、途中入りの分際でとか可愛い事言ってくれるじゃないですか」

「その途中入りに嫌味を言うのではなく素直に超えようとしないから困ったものなのよ……全く、度し難い俗物共めが……一度駆逐してやらんと自分の身の程という物を理解せぬらしいな……」

 

あかんウマーン様モードに入ろうとしている……吐き出すものなどないとか言いながら相手を追い詰めかねんぞ……

 

「ンで、なんで俺呼ばれたんすか?曾孫の出産予定ならまだ先っすよ」

「それについては全然心配していませんよ、因みに予定は?」

「今年の10月辺りから12月辺りって主治医は言ってましたね」

「にしては全然お腹目立ちませんね……」

「現役時代にライアンと鍛えまくりましたからね」

 

尚、これが主治医情報だが、三女神情報だと今年の秋ごろには産まれて来ると言われている。天皇賞秋辺りと被るとマジで地獄な気もしなくもないのだが……まあその辺りは何とかしよう。

 

「メイクデビューに関してです、貴方は皆のデビュー戦に出向くと聞きましたが……正気ですか?」

「それ、エアエアとの調整のために走ってる段階で言われたい言葉っすね」

「……そうだった……」

 

アサマが呼んだのはランページに妊婦であるという事を確りと自覚させて下手な強行軍をやめさせるためであったのだが……既に走っているランページからしたら今更過ぎる話なので冗談抜きで今更過ぎるのである。

 

「……まあそれは置いておくとして、本当は貴方の法務関連を完全に委託する相手を紹介する為に呼んだのよ」

「法務関連って……基本弁護士に投げてるあれっすか?」

「そうそれよ、これから出産するとなると色々と面倒な事になるし確実にそこを狙って来る奴らもわいてくる……世界最速最強の血を手に入れる為に何でもする奴が出て来る」

「来るでしょうね」

 

メジロも家柄がいい為に許嫁関連のあれこれの話というのは舞い込んで来る、アサマとしては今時そのような事をするのは錯誤的だと認めてはいないが……それを利用して自分を追い落とそうとしている者がいない訳ではない。なのでランページにも注意を払って貰いたい、特にランページは、メジロ家としてもかなり特殊な立ち位置に居るし、その子供に毒牙は確実に伸びてしまう筈。

 

「なので、貴方にも紹介しようと思ったの。それに……貴方のご両親の遺産を取り戻した上に叔父夫婦を監視の手配なんかもした相手を貴方だって知りたいでしょう」

「そりゃ知りたいっすよ」

 

そう言うと、アサマは手を叩いた。それに合わせて扉が開けられて部屋に入って来たのはライアンに似ているウマ娘、腰にまで届くロングヘアーに鋭くありながらも優し気な瞳はスーちゃんを連想してしまった。だが、この人は何処かで……

 

「お久しぶりねランページちゃん、私の事、覚えてるかしら?」

「あ~……え~……」

「無理もないか……あったのは貴方がメジロ入りする数年前で、ほんの僅かな時間だったものね」

 

如何やら向こうは自分と会った事があるらしいが、生憎ランページとしては全く覚えがないのが情けない……一体誰だと思っていると不意に古い記憶が思い出された。苦労して生きていた時、極稀に余裕が生まれた時があって、一日や二日は新聞配達をしなくてもいい時があった。その時にライアンと遊んだことがあって、その時にライアンと遊び過ぎて門限を過ぎてしまった事があったのだが……

 

『ライアン、お友達が出来たのね。大切になさいね』

『はっはい!!』

『うちの子と仲良くしてくれてありがとうね、どうかしら一緒ご飯でも?』

『あっい、いえそんな……流石に……』

『そう、でも何時でも遊びに来て良いからね』

 

そんな風に声を掛けてくれた優しそうな瞳の……

 

「ああっ!!?思い出した、あの時、車から半身出してライアン迎えに来てた!!?」

「そう、そう思いだしてくれた!?」

 

そう、この人こそライアンの母親にしてメジロ家の当主であるアサマを裏から支え、メジロの法務関連を一手に担う会社の役員も務めているメジロチェイサー。

 

「改めて宜しくねランちゃん、ライアンがいつもお世話になってるわ」

「ああいえ、此方こそ……」




糸田ひろし様からメジロチェイサーを頂きました、有難う御座います!!
態々メッセージに細かく設定まで付けてくださって……嬉しい限りで御座います。
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