貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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646話

「やれやれ色んな意味で面倒な事になったなぁ……」

「今更言うセリフでもねぇぞ上ちゃんよぉ」

 

オークスを制し、まもなく夏合宿に入ろうとするプレアデス。その準備追われていると不意に呟いた上水流の言葉にランページは反応するように言葉を漏らすのであった。

 

「俺の伴侶兼プレアデスのトレーナーになった時点でこういう事になるなんて事は分かり切ってた事でしょうが。冗談抜きで今更過ぎて笑っちまうぜ」

「だからってさ、俺にまでこんな書類送られてきます?」

「僕にも来てるけどね」

 

上水流と坂原、プレアデスのサブトレーナーの二人に送られてきたのは二人のウマ廻集、詰まる所供回りを務める事になったというウマ娘のリストだった。ご丁寧な事に全員がばんえいウマ娘且つ格闘技の経験を積んだ護衛のスペシャリストの名前が列挙されている。

 

「こればっかりは致し方ねぇって事で我慢してくれや」

「いやでもリギルでもこんな事ないでしょ……」

「覚えてる限り、無かった、いやあったね。ルドルフが三冠達成した辺りでおハナさんにマスコミが集中して冗談抜きで二進も三進もいかなくなった時とか」

「それと同列にするのもどうかと思うけど……」

「安心しろ、あれより上だから」

「出来る要素が皆無な件について」

 

これもランページが世界を制してしまったが故の弊害、そしてトレーナーになってからまだ4年目だというのにバリバリと結果を出し続けている。いい加減にランページのトレーナー疑問視論も、唯のやっかみだの現実を見ていないという意見が主流になってきている。

 

「俺も色々と訴訟とか抱えてる身だからな、逆恨みしたドアホとか出版社のあれこれを避ける為にライアンのお母さんから色々言われてな。それで当然のようにそっちにバカ共が行く可能性を考慮した上での事だから。安心してほしいのが分かり易く周囲を護衛するんじゃなくて、二人の視界外からひっそりと守る系だ。忍者と言われるような訓練を積んでるらしい」

「どんな訓練してんだよ……というかばんえいウマ娘にそれさせる意味ってあるの?」

「あの巨体で神出鬼没って別の意味で怖いよね」

「どこぞの王族のSPはそれを平然とやるからすげぇぞ、俺も経験したけど笑っちゃうレベルの人数がすげぇ機動するからな」

 

勿論、どこぞの殿下がいる所の話である。そんな殿下繋がりでリギルの遠征について思い出した。

 

「……そう言えば、今年凱旋門賞挑戦するっつってた相手の所に送り込んだことになるのか」

「えっ何の話?」

「いやさ、リギルは今どこにいるでしょうか」

「アイルランドだよね、そこの王族が面倒見てくれてるって聞いたけど」

「うん、今年その王族から凱旋門賞挑戦する奴がいるんだなこれが」

「「えっ」」

 

 

いやリギルからもそれに関する抗議のメールとか電話が来てないので問題にはなっていないとは思うのだが……しまった、完全に忘れていた……ファインの姉ことピルサドスキーが今年凱旋門賞に挑戦するので時間さえあれば是非!!というメールが来ていた事を今思い出した。流石に行けねぇよwwwでもこっちからまた送り込むからお世話宜しく、というのは送った。返事はファインと笑顔のVサインでの了承だったのでリギルに紹介したのだが……。

 

「まああのピルサド殿下が妙な公私混同する訳ねぇか……」

「もししたら?」

「俺が配信で抗議する」

「せめて電話とかしなさいよ!!!?配信でんな事やってみろとんでもねぇ事になるぞおめぇ!!?」

「ギャグよ~ギャグだってば~」

「だから君のギャグは分かりにくいんだよ!!?」

 

そんな所に向かっていったローレルとブライアンは……まあ問題はないだろうが、おハナさんの方は王族のお世話になるなんて……と胃を痛くしていないだろうか……

 

「んでそのピルサドスキーって殿下様は強いの?」

「今ん所はG3を勝ったぐらいではあるが……あいつは強いぞ、バケモンかもしれん」

「そのレベル……?」

 

史実でのピルサドスキーになるが、来年のジャパンカップで馬っ気を出しながらも勝ったという話ばかりが取り上げられるのだが……通常、そんな状態ではレースに集中していない為に能力を発揮出来ないと言われる。その為に史実でもピルサドスキーの馬券購入をやめる者が続出。そんな中で国際G1であるジャパンカップを勝ち切るのは怪物級の偉業なのである。

 

「能力的には晩成型ではある、だが……その成長曲線がエグい、というか今現在の能力だけ取り上げてもG1に出ても違和感ないレベル」

「……マジで?」

「今回の凱旋門賞で一番怖い相手かもしれん」

 

今回の凱旋門ではほかにも色々と怖い相手が出て来るのだが……ピルサドスキーは今回、自分に会いに来るという誓いを立てている、しかも自分に準えてレースのスケジュールを組んでいる。そうあるとあの殿下がやるのは……凱旋門後にBCに出場した上でジャパンカップに来るというとんでもない強行軍を敢行する恐れがある……。いや流石にやらないかな……来るとしても来年かな……だとしても来年は来年でエアグルーヴとぶつかる可能性が高くなる……。

 

「ピルサドスキーは濃度を100倍薄くしたフローラみたいなもんだからなぁ……いや一緒にするのは極めて失礼か……あいつは正常な範囲で雑食なだけだし」

「それ、正常か?」

「女が女性アイドルに熱中する的なあれだから」

「ああそれなら正常だわ」

「あの、なんで私が出されるんですか?明らかに不当に貶められてますよね?」

「質問です。お前は俺の事をどう思ってる?」

「愛してますよ勿論―――何言わせるんですか!!?ちょっと待って素直に自分の想いを言っただけなのに職員室の皆様からの視線が怖いんですけど!!?違うから今のノリですから!!ランページさんにだけだからね!?だから距離とらないで葵ちゃん!!」

「じゃあ仮に、本当に仮定の話で俺が愛してるって言ったら?」

「絶頂してヘブン状態です、ハッ!!?」

「お前、それでも本当に相手おるんか?お前の頭の中だけの話じゃないよな?」

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