貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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648話

「ねぇランページさん、お願いあるんですけど」

「何よ、こちとらさっきサニーのメイクデビュー決定してスケ調整で忙しいんだけど」

「そう言いながらもなんでこっち見ながら作業できるんですか……」

「勿論です、プロですから」

「は、腹立つぅぅぅぅっ!!?」

 

東京でのメイクデビューに出走が出来る事が明らかになってのでそれに合わせたスケジュール調整をするランページ、一応タイキと一緒の会場ではあるのだが……物の見事に別日になってしまって調整大変だ~とぼやきながらも平然と通常時の仕事を片付けているランページに対して、何やら相談事があるフローラ。

 

「ンでなんだよ」

「いや実は、会って欲しいって言うか会わせたい人がいるんですよ」

「何方?海外の大物とかじゃねぇよな、マイケル位引っ張ってこねぇと会わねぇぞ」

「ハードル上げないでくれません……?いやまあある種海外の人ではあるんですけど」

「おっ俺の山勘も捨てたもんじゃねぇな、ンで誰よ」

「私の婚約者です」

 

思わず、職員室の空気が死んだ。余りの静寂っぷりにフローラが困惑するレベルの静けさが一気に現れたのである。普段からとんちきな事と言動をしているが故の反応とも言える。

 

「……えっお前の頭の中だけの存在じゃなかったの?」

「そういう事言われたら予定確認してOK出たから会わせたいって言ってるんですよ!!というかね、流石に失礼すぎるっていう気持ちはないんですか私に対して!!?」

「自販機の裏から出てきたり踏まれて喜んだりその時に人の体重把握したりする奴に対して割と的確な評価を下している自覚あるんですけどねぇこれでも」

「グッ……言い返せねぇ……!!!?」

「言い返せないが正しいからねぇ……」

 

しか、フローラの頭の中だけの存在ではないとすると一体どんな相手なのかは冗談抜きで気になってしまう……というかこいつでいいのだろうか、こいつの婚約者になれるって事は、その他の相手でも十分すぎる程の合格点……というよりも超上位層という事になるのではないのだろうか……。いやむしろこいつの相手の場合はそれ位のレベルの聖人でなければ務まらないのだと言われてしまったそれはそれで納得するしかないのだが……。

 

「どんな人なんだ、何やってる人?」

「お茶農家さんで自家栽培したお茶を売りにしてる和菓子屋さんですよ」

「は~自家製のお茶と和菓子をセット販売か」

「私も最近よくお手伝いに行ってるですよ、看板娘って言われちゃって嬉しくなっちゃって……」

「仮にも中央のトレーナーだろお前、しかもリギルの代行」

「この程度で身体を壊してたら貴方を追っかけなんてやってませんよ」

「寧ろやめろ、今すぐにでも」

 

傍から聞いたら、というか聞き耳を立てている他トレーナー達は信じられない……と言いたげな顔をしている。専属契約をしているトレーナーでも多忙な事は珍しくなく、チームのトレーナーにもなればチームの経費計算やらチームメンバーの調整やらも加わってエグい忙しさになるのに、それを維持したまま相手の家の家業の手伝いをしている?何の冗談だよ……と言いたい顔をしているトレーナーが複数名いる。

 

「いやぁランページさん追いかけたので鍛えられたって感じですかね、この程度じゃまだまだですよ~フラちゃんに色々言われた時の方がきついですし」

「何、お前マジでウマ娘という壁でも凌駕してんの?」

「それに関してはランページさんにだけには言われたくないんですけど」

 

だからってそれを追いかけた結果として壁を超えるなんて聞いた事もないのだが……まあフローラだからそういう事もあるのか……。

 

「ンでなんで俺を会わせたいんだよ、イマジナリーフレンドじゃないって事を証明したいって事なのか?」

「まあそれもありますけど、シンプルに桃真さんが会ってみたいって仰ってるんですよ。あっ桃真さんっていうのがお名前なんですけどね」

「いやまあそれは良いんだけどよ、こっちだって忙しいって言ったばっかじゃねぇか……まあお前の相手になってくれるって言う奇特な相手を見るのも一興だから作ってやらなくもないが……ンでなんでその桃真さんとやらは俺に会いたいんだ?」

「えっと……」

 

『多分大丈夫だと思いますけど、どうしてお会いしたいんです?』

『メジロランページさんに会いたい、なんて日本に住んでる人なら誰でも思ってると思うよ』

『ああまあそりゃそうか……』

『それと……惚れた相手が好きな人とは会ってみたいからね、ランページさんが好きなフローラさんに惚れたんだから会ってみたいんだ』

『―――……うっやばいガチでキュンと来た……襲いますよ?』

『いいよ、おいで』

『……やばいマジで心臓に来るレベルで来たぁ……しゅきぃ……』

 

「って感じの会話がありましたね」

「最後辺りの要りました?」

 

桃真とやらはマジでフローラに惚れているらしい、しかも自分にぞっこんなフローラに惚れていると確りと言語化した上でフローラのあれこれを受け止めると言外に言ってしまえるほどの度量があるのだと感じさせる。世が世ならマジで聖人認定がされるレベルの人間ではなかろうか……その場合はどの守護聖人になるのだろうか。

 

「お前、マジ惚れしてるんだな、よく出会えたな……」

「いやぁ出会い方は私の痴態を晒した感じなんですけど、その時に桃真さんってばそれを全部受け止めてくれたので……それで新しい扉が開けたって言うか……」

「その言い方やめろ、なんか変な捉え方させるわ」

 

こいつにそれだけ言わせる……これに興味を持つなという方が無理だ、よし会おう。と、決意するランページなのであった。メイクデビュー関連で忙しいのだが……こういう時の為のサブトレーナーだ、二人に相談して仕事の隙間を捻出しよう。

 

「分かった何時会う」

「今すぐは如何です?」

「アンタバカぁ?」

「素直な罵倒ってシンプルに心に来るんですよ……?」

「因みにフルネームは?」

「桃真・クローリスさんって言います。日系ニュージーランド人だとか」

「ある種国際婚になるのかこの場合って?」

「た、多分……?」




という訳でフローラの婚約者の桃真・クローリスさんが次回登場するかも。
婚約者表に出す予定なかったのにガンバスター様が詳細作ってくださいました。オリキャラを出してくださって嬉しい限りです。このSSバースがどんどん広がっていく……。

ガンバスター様、有難う御座いました!!
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