貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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649話

「改めて考えると自分のチームの為にこの時間って使うべきなんじゃねぇのかな」

「今更それ言います……?」

「一時のテンションに身を任せてしまう時ってあるじゃん、お前のイマジナリーフレンドじゃないってのを確認する為だけにこういう所に来てるのってバカらしくてしょうがなくなってきた」

「酷い私とは遊びだったんですか!!?」

「遊び以下だわ」

「即答!!?」

 

とある喫茶店でランページはフローラと合流した、此処で件の婚約者の面を拝む事になった訳だが……本当にこいつは見てくれだけは本当に美女なんだよなぁ……トレーナーになってからは順調に大人の女性になって来て身長も自分に近くなって、女性としては高身長になりつつある。まあ、相変わらず胸部装甲は無いわけだが。

 

「何ですかランページさん先程から私の身体を……はっまさか」

「そうだな、お前の薄い胸部装甲でどうやって男を落としたのかなって考えてた」

「うおおおおおおおおおおいっ!!?アンタと比べんじゃねぇよ私の何倍あんだよ!!?つうかその脂肪を少しは私に寄こせェェ!!!?」

「誰がくれてやるもんか」

 

そんな事をぎゃあぎゃあと騒ぎ立てて遊んでいると喫茶店に一人の客が入ってくる、男の客だ。誰かを探すように視線を彷徨わせると……此方を発見し、嬉しそうな顔をしながら近づいてきた。

 

「ごめん待たせた?」

「ううんっ今来た所―――」

「15分は待ってたかな、20分以内なら許容範囲内だから気にしなくていいぜ」

「いやそこは来た所って言う所でしょ……」

 

呆れたようなフローラと我が道を行く感じのランページのやり取りを見て彼は少しだけニコやかに笑うながらも席に着き、珈琲を注文しながらもランページに向かい合うように姿勢を正す。

 

「本日はお時間を作って頂きまして有難う御座います、かのメジロランページさんとお会い出来て光栄の極みで御座います」

「ああ別に畏まる必要はないぜ?俺はこいつの同僚として、こいつの頭の中だけにいる疑いのある婚約者さんの顔を拝みに来ただけの愉快犯だからな。その程度の奴に畏まるなんて理由はないだろ?ここには独裁暴君としては来てないってこった。気楽にランページさんって呼んでくれ」

「成程、世間一般に出回ってる噂なんて当てにならないもんだね。結構苛烈な性格をしてるって聞いたんだけど凄い親しみがわく人で安心したよ」

「だから言ったじゃないですか桃真さん、それらは唯のネガキャンでしかないって」

 

まあ自分を快く思わない連中によってそういう記事は大量に出回ってるからなぁ……未だに配信はしているしそこに来ればそれらが噓っぱちだというのは分かる筈なのだが……ある程度は当てにしてしまっている人もいるのか……にしても、なんか二人が並ぶと姉弟のように映るな、フローラの方が年上だったりするのだろうか……軽いオネショタみたいになってる気が……。

 

「改めまして、桃真・クローリスと申します。親戚がお世話になってました」

「親戚ぃ?なんか世話したのがいるのか俺」

「ええ、よく貴方も知っている人かと―――アームドリンクス、ご存じでしょ?」

「えっアイツ!?」「えっランページさんのダートのライバル的な人じゃないですか!?」

 

そう、ランページのダートのライバルの一人でもあったアームドリンクス、その日本側の親戚にあたるとの事。なんて世間の狭さなのだろうか……と思わざるを得ないランページとフローラであった。

 

「はぁ~……分からねぇもんだな世間ってのは……」

「いやマジですね……」

「そんなもんだよね世の中」

「そうかねぇ……まあそうだ、桃真さんよ、ちょっと言葉を預かってるから聞いて貰っていい?」

「何でしょう」

「端的に言えばそこにいるバカの妹、アンタからするとこれから義理の妹になる事になるウマ娘二人からちょっと預かったんだが……本当にこれでいいのか、他にもっといい人がいる筈だ、早まるな人生を捨てるにはまだ早い、富士の樹海を探索するようなもんだぞ、って散々な言われようしてるぞアンタ」

「フラちゃんタキちゃんんんんんんんんんん!!!!!???」

「あとデジタルからはおめでとうございます!!お姉さまとどうぞお幸せに!!ってのを預かってる」

「ああっ私の天使デジちゃん……!!!」

 

実の妹二人からの容赦ない言葉にフローラは叫びをあげる始末、それを見ながらも桃真はそっと彼女の背中を撫でてやっている。

 

「実の妹からもこんな事を言われるような奴ぞ、凱旋門勝利後という世界中が注目してる舞台でとんでもない妄言をまき散らした奴ぞ、良いのこんなので?というかこいつの何処がいいの?」

「う~ん……そこも彼女の個性の一つだと思っている、かな。好きになった部分はそれこそレースでの輝きだったし、色んな所を見せてくれるのも好きだし……ランページさんに対するそれらも含めて好きになった輝きの一側面って言うか……強いて言うなら全部、かな」

「と、桃真しゃん……!!!」

 

ああこれお互いにベタ惚れなんだ……と思ったランページであった。まさかあのフローラに対して此処までのベタ惚れできる人がこの世に存在していたとは……割れ鍋に綴じ蓋というか……これはもうフローラはこの人を逃したらもう結婚できないな、という確信がある。

 

「聖人かな?」

「なんか偶にそれ言われるけどそんな事ないと思うけど……他人が自分と異なる事なんて当たり前の事過ぎるし、同じ人がいっぱいいる事の方が怖くないかい?人の数だけ個性の色があった方が楽しいじゃないか」

 

これはもうマズいな、フローラの目の輝きが凄いことになってる。これも普通の恋愛に含まれたりするんだろうか、自分は速攻で決めちゃったからなぁ……こういう事をすべきだったかなぁ……。

 

「因みにどういう風に出会ったん?」

「元々はフローラさんが家のお茶とかをよく買っててくれたからお客と店員の関係だったんだけど、偶然居酒屋で同席になって、そこであっ、ってなって話してたんだけど……その時に随分と深酒しちゃっててね、フローラさん溜まってる物を吐き出したがってたから受け止めてあげたのがスタートになるのかな」

「……お前さ、せめてそれ同僚にやらんとダメな奴だろ。無関係の人にそれはマズいぞ……」

「さ、流石に反省しております……」

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