貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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650話

「しっかしフローラの頭の中だけの存在じゃなかったのなぁ……知ってるかい桃真さん、こいつ職場、中央トレセンのトレーナーが集まってる場でも妄言まき散らすようなド変態なんだぜ?こちとらもう相手もいるってのに愛してますとか平然でいうから周囲からドン引きされまくってんだ」

「フローラさんらしいですね」

「おうフローラこの人やべぇぞお前の妄言暴走を平然と受け止めた上でニコやか笑顔とかハンパねぇぞ絶対逃がすなよ逃がしたらお前独り身確定だぞ」

「あげません!!」

「いやNTR(そっち)の趣味はねぇ。せめてBSSぐらいだ」

「それはそれでどうかと思うよ」

「いや、略奪するよりも早い物ガチの方がまだ納得いかね?」

「それはそう」

「あれ結構桃真さんもいける口ですか!?」

 

ランページなじみの喫茶店でなければ数回は蹴り飛ばされているような会話が平然と行われている。マスター曰く趣味でやっている店だから客なんていない方が良いとの事、だったら何で店にして開けてんだよって何度ツッコんだことか……。

 

「ンでまあ正直な所さ、そっちの家の反応とかどうなの?だってこいつ、凱旋門勝利インタビューであんな妄言垂れ流して血の繋がってる妹からガチ拒絶されるような奴ぞ、幾らアンタが良くてもご両親は流石に……ってなっても可笑しくないんじゃね?」

「あの、ランページさん当事者がいるのにそういう事聞きます……?」

「だってお前の言葉って信頼性ないし」

「泣きますよ!!?」

「おう勝手に泣いてくれ」

「ヒドイッ!!?」

 

そんなやり取りをしている2人を見ながらも桃真はニコニコと笑っていた。単純にこの場を楽しんでいるというのもあるのだが……フローラとランページが本当に気心置ける相手である事が分かった上にランページは宿敵なだけではなく単純に友人としても信頼している事が伺える。そして…‥同時に自分は彼女への愛を上回る必要が出て来る、ちょっと燃えて来るなとテンション上がっている桃真もフローラを好きと言えるもの好きなのだろう。

 

「大丈夫、というか元から家族はフローラさんのファンだよ」

「えっそうなんですか!?あっでもサイン求められませんでしたよ?」

「だってあそこでサインを求めるのは違うだろう?君は挨拶に来てくれて、此方はそれを迎えてその話を聞いて吟味しなければいけない立場、それなのにサインを求めるのは違う。それにさ……想い人を連れて行くんだよ、もっと嬉しいに決まってるよ」

「と、桃真しゃん……!!!」

 

少女漫画か、と言いたくなるほどに輝くフローラの瞳に僅かな笑みを口元に浮かべている桃真は紛れもない本音……よくもまあそんな言葉を平然と口にできる物だと言いたくなる。

 

「母さんはお店を手伝ってくれるのが有難いって言ってるし、父さんはフローラさんが来てから売り上げが今まで5倍近くになって在庫になりかけてたのも全部掃けたって喜んでるよ」

「5倍……ああそうか、こいつにもそういう効力あるんだ……」

「貴方と一緒にしないでくれます!!?貴方がやったら5倍どころじゃすまないでしょうけど!!?」

「というか、あんだけの激務やった上で店に出てるってお前の身体どうなってんの?」

「双子妊娠してんのに悪阻も平気そうで走ってる人も言われたくねぇです!!!」

「えっ妊娠?」「何……?」

「おいバカ」

「あっ」

 

こいつ世間一般には伏せてる事を……桃真は自分でも信頼出来ると思ったが、此処には閑古鳥が鳴く喫茶店のマスターだっているんだぞ……現にマスターだって怪訝そうな顔をした。あ~あ……と思いながらコーヒーを飲み干そうとしたら、マスターにそれを取り上げられた。

 

「妊娠中ならコーヒーはやめておけ」

「1,2杯なら許容範囲っしょ」

「それでもだ、俺の城だ俺のルールに従え。こっちにしとけ」

 

そう言いながらマスターは別の物を出して来た。軽く飲んでみると珈琲の味がするが珈琲ではない事が分かる。麦茶的な何かだ。

 

「後それは黙っておく、いい子を産んでからまた飲みに来い」

「あいよ」

 

答えを聞いてから席に戻るマスター、今度は新聞を広げながらもラジオを付けて此方の話を聞こえない状態を態々作ってくれた。

 

「話の分かる人ですねぇ……」

「伊達に俺が普段使いしてねぇって事よ、来過ぎだって言われるけどな。こっち客なのに」

「だ、黙ってた方がいい感じかな?」

「取り敢えずこっちが発表するまで胸の内にしまっといてくれ」

 

発表は隠しきれない段階にしたい、三女神曰く、加護のお陰で出産直前まではバレないようにするつもりだと言われたが、それでも何かを特定してくる奴らがいないとも言えない。特定班は本当にとんでもない人間の集まりなのだから……何があっても可笑しくない。

 

「まあ兎も角、今日はいい収穫だった。こいつのイマジナリー婚約者じゃないって事が分かって何よりだ」

「かの独裁暴君様にそう言われるなんて光栄だな」

「将来的には、そちらさんの子供とウチの子供が競うのかねぇ……フローラみたいな変態じゃなきゃいいんだけどな」

「ちょっとまだ生まれてもない子供を悪く言わないでくれます!?絶対いい子になりますから!!」

「期待されてるぞ桃真さんよ」

「フフフッ期待に沿っちゃおうかな?」

「あっまっ流石にここでは……」

「当たり前だろお前頭ン中ピンク色か」

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