貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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656話 特別編パート3 その1

「お前マジでどうなってんの?」

「開口一番になに抜かしてんの沖ノッチ」

「メイクデビューに失敗しないとか中々ねぇぞ」

 

仕事を片付けていると珈琲片手にやって来た沖野と駄弁りが始まる、こっちは仕事をしているんだけどなぁ……まあ沖ノッチも休憩中かもしれないので敢て何も言うまい。うん、珈琲が美味い。

 

「リギルでもメイクデビューには二回目が必要とかザラなのに、6人同時期にデビューさせて全員問題なくデビュー成功とか……中々ねぇ事だぞ」

「それに関しては知らん、あいつらが頑張ったからな。問題なのはそれこそサニーの戦術ぐらいでそれ以外は寧ろ蹂躙したった位の勢いだしな」

「実際そうなのがマジでなぁ……俺として頭がいてぇよ」

「まあ沖ノッチの頭痛がそう言う事なのか財布が薄い事なのかは置いといて」

「置いとくな、主に後者を置いとかないでくれよ」

 

そこは自分の管理が甘いからだろうに……俺はお前のお母さんじゃないんだから……。

 

「俺は取り敢えず宝塚記念だな……いやぁトレーナーってのは終わりが見えなくて大変だな」

「だろ?その上で無双しまくるバケモンがいたから俺としては本当に頭が痛いお話だった訳よ」

「へぇっ一度でもいいからお目に掛かりてぇもんだ」

「テメェの事だテメェの」

「ケヒヒッ」

 

実際問題としてランページとして取り込むべきなのは宝塚記念なので一々気にしてもいられない……のだが、合宿の事をも踏まえると本当に大変なのである。そりゃトレーナーの結婚事情が色んな意味で厳しい訳だ。

 

「さてと……んじゃ俺はちょっち出て来るか」

「おいまだ残ってんじゃねぇのか?片した方が楽だぜ」

「もう終わった」

「……なあコツとかねぇ?」

「あっても教えてやらん、3回奢ってくれれば教えてやる」

「そこは一回じゃねぇのかよ!!?」

 

好感度が足りませんという奴だ諦めろ。そんな事を思いながらも歩き出すランページ、歩く度に腹へと振動が来るのだが、三女神の加護もあってそこまでの心配はしていない。こんな事を気にしていたら併走なんてバカみたいな真似は出来ないのだから……。

 

「折角だ、噴水前で祈願でもしとくか」

 

無神論者で神なんて信じていないのに神への祈りをささげる、まあこの場合は友達になっているので形だけでも信仰を捧げておく程度なのだが……手を合わせていてもまだ授業中なので生徒達の目もないので全く問題ない……と思っていると頭の中に声が響いてくる。

 

『今、貴方の心に、直接語り掛けています……』

「なに清楚っぽい声出してんすかダー様」

『なんだそこは乗ってくれてもいいじゃないか俺の子羊君』

「生憎俺は上ちゃんのです」

『それは今だろう?こちらに来た時は俺の物さ』

「何、アンタフローラなの?」

『流石に心外だぞ』

 

当たり前のように会話するのはダーレーアラビアン、当たり前のように会話する事自体が大分頭可笑しいのだが……

 

「ンで今度は何すか、また未来からなんか送り込まれてくるんですか」

『おっ勘がいいじゃないか』

「もうこれで三回目っすからね……いや三回目もある事自体がおかしいんすけど……」

 

これ本当に未来大丈夫なのかと不安を覚える程度には来るじゃん、マジで未来大丈夫なのかと不安を感じるのだが……ダー様曰く、全然平気との事。時系列的な問題は起きないし、向こうからすれば夢に近い感覚との事、自分の娘を除いては。

 

『今回はとあるウマ娘ちゃんの希望をかなえてあげて欲しいのだよ』

「態々三女神がそれをするって余程の相手なんすよね?」

『まあ端的に言えば……君関連ではあるね』

「結局俺か……」

 

どれだけウマ娘の歴史に干渉してしまっているんだ……と言いたい所だが、凱旋門とBCを勝っている時点でそんな言い訳も通用しないか……

 

「ンで、俺は何をすればいいんで?」

『ぶっちゃけ何もしなくてもいいよ?好き勝手やってくれればそのウマ娘ちゃんの願いも叶うだろうから』

「ホントかなぁ……」

『はははっまあ宜しく頼むよ』

『おい、まさかまたランページに丸投げしたのではあるまいな!?』

『ゲッターク!!?いや違うんだ事情を考慮したら子羊君に任せるのが―――』

 

交信が切断される寸前、タークが出てきたような気がするのだが……そんな事を思っていると女神像が輝きだして来た、なんか既視感あるなぁ……と思いながらもそのまま待っていると、光の渦の中から叩き出されるが如く、出てきた。

 

「何、何、何が起きてんの!!?」

「人が寝てる時に騒がしく……ってあれ、何でトレセンにいるんだろ」

「あ~……これ、またなんか母さんがやったか?」

 

とやってきた三人のウマ娘がそれぞれな反応を見せる中で、そりゃそうなるよなぁと思うランページだが……妙な既視感がある。何なんだろうと首を傾げてしまう。

 

「よう突然現れたウマ娘ちゃん達、何がどうしてこうなったのかは知らないけど取り敢えず落ち着いとけ。落ち着けたら人生何とかなる」

「いやそんな楽観的な―――ってラ、ランページ叔母さん!?」

「おういきなり人をおばさん呼びか歯ぁ食い縛れ」

 

別にそういう年になったら呼ばれる事もやぶさかではないが、まだ若いつもりなのだこれでも。もう直ぐ2児の母にはなるが……そう思うともうおばさん呼びは妥当なのだろうか……。

 

「あ、あれっ私さっきまで一緒に……あれアマテラス達は!?」

「あれ、タキオンさんは?フライト叔母さんは?」

「フライトを叔母さん……おいまさか、念のため聞くが、お前らのお母さんの名前は?」

 

三人は全く同時に母の名前を言ってみせた、そしてランページは頭を抱えた。

 

「「「アグネスフローラ」」」

「……あいつのかよ……今度は」




ランページ産駒やったんだからフローラ産駒もやったら?って言われたので。
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