貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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659話 特別編パート3 その4

「ロオオオオオオラァァァァ……」

「お母さん、お母さぁぁぁぁぁん……」

「マジで帰っちゃダメ?もう一杯ひっかけて寝たいんだけど」

「いやランページさんが招いたんじゃないんすか」

「勘弁してください。ただでさえ過去に来たとかいう意味不明な状況なのにこの人との一緒の空間に取り残されるとか唯の苦痛なだけじゃないですか」

「そこまで言うかトランザムテメェ」

 

抱き合って涙を流し合っているフローラとローラ、一見すると母娘の感動の再会という感じの荒れなのだが、問題は子供たちは未来から来ている事とフローラに関してはそれらの情報を与えていない筈という事である。ダー様辺りが気を利かせた的なあれだろうか……。

 

『いや子羊君、今回ばっかりは俺は何もしてない。フローラは自力で未来の記憶を取得したんだ』

「……何それ怖い」

『いや冗談抜きで怖いんだよ、三女神的にも。タークがドン引きするとかいうレアな光景が広がってる』

「うっわぁ……」

 

マジでこいつ何なんだよと言いたくなってきた……。

 

「フローラ、いい加減にしてくれるか。感動の母娘対面を邪魔するのは野暮天だと思わなくもないが、なんでお前は娘だという事を理解した上で名前まで分かってんだよ」

「何言ってんですか、私がお腹を痛めて産む子ですよ。分からない訳ないじゃないですか」

「分かるかお前、そのお腹を痛めて産んだ二人にドン引きされてんのが」

 

自分だってドン引いている。なんでこいつは時々自分を遥かに凌駕する何かを発揮するのだろうか……本当に何なんだといいたくなる……。

 

「ンでまあ……今回お前を呼んだのは丸投げする為だったんだが……二人の娘が心底俺がいなくなるのを嫌がってるので取りやめます。なんでお前、タキオンとフライトみたいな感じで娘にも嫌われてんの?」

「未来の私何やらかしてるんです!!?」

「いや多分、この時代でランページにやってる事を変わらずにやってるだけだと思うっす……」

「いやそこは娘ちゃんを優先しなさいよ!?親でしょこども第一でしょ!!?」

 

そういう認識はあるんだ……と思わず全員が思ってしまった。ならばなぜそれを出来ないのだろうか……と思っているとポジトロンが溜息交じりに言った。

 

「口だけなら色々言えるもんすよ、それを行動に移してこそでしょうが……ランページさんみたら衝動的に飛び出していくとか最早ただの薬中のそれなんすよ。禁煙しようとしてるのに言い訳しながら吸い続けるヘビースモーカーだよ」

「……そ、そんなに?」

「家族水入らずの旅行でご当地ランページさんグッズを見たら速攻で飛びついて買い占めるレベルだからね、自分のお金を使ってるから強く言えないのがまたひどい……そしてそれらの数が余りに多くなりすぎて、ちゃんと許可を取った上でランページ博物館みたいなのを作り出すからね……本当にもう、友達とか呼べなかったわよ……」

「なんか理由付けてランページさんの家行ってた記憶しかねぇわ」

「……そ、そんなに?」

「「「そんなに」」」

「ローラまで!!?」

 

何だろうな、色々と立派な母親然と色々と頑張っている事だけは窺い知れるのだが……それ以前の所で全部台無しになっている感じがする。

 

「取り敢えず、こいつ呼んじまったけどさ……如何する?今からでも追い出す?」

「待ってくださいよそれじゃあ私が唯何の考えなしにランページさんの呼び出しに応じたバカみたいじゃないですか!!?子供達がいるというのに母親の私が何もしないとか有り得ないんですけどぉ!!?」

「「「……」」」

「ちょっとなんですかその顔は、トランザムとポジトロンはまだしもローラまでそんな顔をするんですか!!?マジで未来の私そんなに母親失格なんですか色んな意味で酷すぎて泣きますよマジで!?」

 

もう勝手に泣けばいいとすら思うのだが……取り敢えず母親としての体裁位は整う位の事はしてやるにしようかな……思えば自分はともかくフローラは現役時代の力を保てているとは言えない。いや逆説的にそれに関しては自分が可笑しいだけだし、自分と走る時には現役時代を凌駕する力を発揮する化物がフローラなのだが……。

 

「こいつらは未来だとお前の娘としてしか見られないんだと、それで色々と悩んでるだとさ」

「なんと!?私の娘の力を正確に判断できない所か私のネームバリューでしか判断出来ないとか三流も良い所じゃないですか!!?偉大な選手が母親になった所でその能力が継承される保証なんて何処にもないでしょうに……全く時代が進んでも世界が変わるという事はあり得ないという事ですか嘆かわしい……」

 

それについては深く同意するが……何故かこいつにそれを言われると微妙に説得力が落ちるのはなぜなのだろうか……本当に不思議と言わざるを得ない。

 

「ならば、娘たちよ!!ターフへ出なさい、私があなた達の走りを見てあげましょう!!そして私と走りましょう!!」

「……母さんよりもランページさんの方が……」

「私もそっちの方が良い……」

「ちゃんと俺も走ってやるから勘弁してやれ、フローラが号泣一歩手前みてぇな面してるから」

「よし母さん急いでターフへ行くぜ、置いてくぜ!!」

「何ぐずぐずしてるの母さんハリーハリーハリー!!」

 

先に外へと出たポジトロンとトランザムを見て、フローラは色んな意味で何も言えなくなってしまい、本気で辛そうな顔をし始めた。自分ってそんなに母親として頼りないというか、ダメなのか……?と思っているローラがさり気無く背中を撫でた。

 

「なんだかんだでお前さん、フローラのこと思ってんだな」

「まあうん……一応目標で大好きなお母さんですし……」

「ロオオオラアッァァ……」

「ギャアア化物ぉ!?」

「なんで!!?」

「涙で化粧が破綻して化物みてぇになってんぞ」

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