貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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661話 特別編パート3 その6

「で、如何でした?」

「お前の母親は、何そんな事で悩んでるとかマジ受ける、ばかみてぇ。だってさ」

「……やばい普通に凹む……」

「……そんな、事っすか……」

「は、ははっ……そんな、事……」

「ちょっとランページさん何言ってんですか!?」

「だってマジでそういう反応だったじゃん」

「流石にバカみてぇとか思ってないですって!!?」

「それ以外は確りと思ったと」

「……ハァッ!!?」

「「「……」」」

 

走り終えた三人娘へフローラが抱いた感想を伝えるのだが……その結果として燃え尽きるように白くなっている娘たちの姿が母であるフローラの胸を抉る、ない癖に。

 

「誰が天井の穴をあけた後の板の活用法だって!!?」

「なげぇしクドいな、つうか誰に対してのツッコミだよテメェ」

 

と言いたい所ではあるのだが……ランページもその意見には同意するところがある訳なのだ。トレーナーとして活動していると良くも悪くもウマ娘たちの相談を受ける事が多数だ、自分の走りを見て欲しい、相談に乗ってほしいなんて事はしょっちゅうだ、但し沖野は除く。そんな相談の中には地方に編入直前の生徒も多くいたわけで……

 

「だけど、実際お前らはもう答えに手を掛けているのも事実だ。その事実から意図的に目を背けて全く別の答えを望んでいるに過ぎない。背けてる答えが自分にとっての大正解で至ってから修正可能って事にも」

「……ってなるとやっぱり……」

「ああ、そのまま駆け抜けた方が色んな意味で有用だ、第一楽だぞ」

「楽、っすか……でも、そんな楽をしていいんすかね……」

 

ポジトロンはぼそりと呟きながらも続けた。

 

「確かに、俺達にとっての正解がお袋なのはある種分かってるんすよ。俺達にとっての完成系の第一段階こそが母さんでそれを踏み台にして高みに至るべきだって……でも、ランページさんには言いましたよね、虐められた事あるって」

「ああ聞いたな」

「……それ、お袋関係なんすよ」

 

ああ……と言いたげにフローラを見てしまう、確かにこの娘ともなると弄られる要素の塊だ。自分の娘も同じだろうが……フローラの場合は自分の比ではない位に弄られやすい事だろう。何せ、世界が注目している公共放送で妄言を垂れ流す事が出来るバカだ。

 

「ランページに生涯勝てなかったからアマテラスやらに絶対勝てるわけがないとか、あれが母親でかわいそうとか、永遠の二番手が決定してるとか……散々言われたっすよ、その度にお袋がダイナミック・エントリーかますせいで学校のドア殆ど歪んで開け辛いし」

「お前……」

「いや今の私じゃねぇですからね!?未来の私ですよ!!?」

「「「「同罪だろ」」」」

「酷い!?」

 

そんな母と同じ事をしたくないと思うのは思春期の子供からしたら当然の事だろう、だが―――

 

「ぶっちゃけさ、その悩みにすら到達出来ねぇ奴だって沢山いるからなトレセン学園。それ公言してみ?方々から殴られるぞ」

「……マジっすか?」

「うん、俺にアドバイス求めて改善の傾向見えたけど遅すぎて地方行った奴だっている。結果的にダートで結果出して頭角現し始めてるけどさ」

 

偉大な親と比較され、その才能を継承出来ずに競争の立場にすら立てずに親に生まれてきたことを謝罪する奴だっていれば、競争の立場にこそ立てたが才能を伸ばす事が出来ずに開花する事が出来ずに圧倒的なそれに潰された奴だって沢山いる。それが勝負の世界だ。

 

「だからそれにマシ、とまでは言うつもりはねぇよ?じゃあお前らは如何する、本当に最初っから探す為にこれまでの自分を捨てる覚悟はあるのか?」

「そ、それは……」

「その覚悟がお前らにない、という訳でもないだろ。母親の名前を出される事がお前らは完全に嫌って訳でもない、光栄でありつつも自分が見られない事に苛立ちを募らせてる。器用に生きられないだけなのさお前らは」

「逆にランページさんの娘さんたちはどうなってんですかね……私の娘よりもある種激しいと思うんですけど……」

 

アマテラスやツクヨミの同期であるトランザムから言わせると、二人は全くにも意にも返していないとの事。寧ろ自分は自分じゃん、それを他人と同一視する事しか出来ない奴は二流で審美眼が皆無で他人を評価する資格もないと断言してしまう程に自分を確立している。

 

「逆に考えるんだ、こいつを存分に利用すればいいって」

「り、利用っすか?」

「そう。それならこいつがこうなるまでに蓄積されたら練習のメソッドやら戦術とかを取り入れて自分の強化する事だって出来る訳だし……他人にどうこう言われる?言わせときゃいいんだよ、どうせ他人なんてもんは自分の見た物についての感想しか述べねぇ第三者だ。そんな奴らに振り回されるだけバカバカらしいだろ?だったら自分の信じてくれる人やら自分の苦労を知ってる人の為に頑張ってるって思った方が合理的だろ」

「……そういう考えした事なかったな……」

「アマテラスやツクヨミもそんな事言ってたっけ……」

「フォーちゃんそんな事言ってた気が……」

 

矢張りというべきか、自分の娘は基本的に図太いらしい。防御が高いのか……。

 

「でも利用していいんもんなんすかね、読まれやすいだけなんじゃ……」

「考えてみ?こいつが増えるって思ったら他者からしたらとんでもなく厄介な上に強敵を増やすだけ、つまりお前らがそう思って躊躇する事自体が敵にとっては大いにプラスなんだよ」

「……そうじゃん!!?なんでそういう風に思えなかった訳!!?」

「くそ俺達まんまと乗せられてたのか!!?」

「……あれ、そうなると私ってすっげぇ恐れられてたの……?」

「二代目フローラなんてそれこそ恐怖の象徴だろうな」

「……あれ?私が良い感じに娘を導く流れだと思ったんですけど……全部持ってかれた?」

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