「しかしランページさん、宝塚記念に向けての練習を見なくていいのですか?」
「いいのいいの、俺がいない程度で今更揺れるプレアデスじゃないから」
「ランが言うとどんな言葉でも説得力あるからずるいよね」
「でもねぇだろ、俺がおしとやかになりますとかいったら全員頭のご病気疑うだろ」
「「それはそう」」
「微妙に納得いかねぇ」
メジロ家主催のお茶会、と言っても実質的に家族会なのだが……マックイーンやライアン、パーマーと久しぶりに一堂に会して適当な事を駄弁りながら紅茶をお茶菓子と共に味わう的な事をしているだけ。
「ちゃん様とアルダンさんはいねぇのか?」
「ラモーヌ姉様はトレーナー様とご旅行中です、なんでもトレーナーさんが起こしたクラブの経営が上手く行き過ぎてその資金を消化する為だとか……」
「何やらかしたの?」
「なんか、お小遣いについて話をしてたらラモーヌ姉様が札束で殴って来たから、それを使い切ろうとしてたら逆に増えちゃったってアタシ聞いたよ」
「何それ、富豪刑事?」
「ランってさ、マルゼンさんの事言えない位に古い事言うよね」
「俺は良いんだよ、死語程じゃないから」
それにしてもお小遣いか……と言っても自分の場合は、自分も上ちゃんも一緒に働いているし別にお小遣いによる管理とかはいらないかな……それでも共同口座とかは作っておくべきなのだろうか?んなもん作るまでも無く自分の預金は使い切れない位はあるんだが……
「ンでアルダンさんの方は?」
「そっちはほら、態々御呼びするのもあれな位にラブラブだから……」
「現役中からあんな感じだったんかな……」
「いや流石にそこまでではなかったと思いますが……」
比較的にアルダンの所は対等な立場を築いているらしいが……それでも周囲からすると余りにも高純度な純愛っぷりに色んな意味で及び腰になる程だという。どんなものか一回見たい気もするが‥‥‥一度見たらもう戻れない気もする。
「にしても……メジロ家もどえらく俺らの代で発展したな」
「大体ランじゃない?」
「俺よりお前だろ、メジロ初の三冠」
「いやホントそれな、メジロ家歴史上初のダービーウマ娘どころか三冠なんて飛び越え過ぎだよ」
「お前だってメルボルンカップの覇者じゃねぇか」
「そうなると私が相対的に一番下な気もしますわ……」
「いや、お前が一番下とかいったら多分ファンにぶん殴られるぞ」
現に長距離という舞台ではマックイーンは上から数えた方が早い、というか歴代最強ステイヤーとも言われるが、中距離でも十分すぎる位に強い。お前こそがある意味でメジロで最強だろと言いたくなる。
「でもさ……アタシとしてはやっぱりランが一番だと思うよなんだかんだで、アタシの海外遠征だってランの助言が無ければしてない訳だしさ。やっぱり特異点だよランが」
「人を化物かヒューマギアみたいに言うのやめてくれ、俺は唯やりたい事を貫いただけだ。その果てに何があろうとそれはどうでもいい事でしかねぇよ」
「全く、そういう事を言いますから私が次期メジロ家当主になるのですよ?本来ならば貴方が適任でしょうに」
「お生憎様、俺の場合は実績自体は十分でも縁が十分じゃなくて内部から文句を言われるだけだ。だったらお前がやった方が色んな意味でベターなんだよ」
マックイーンは既に時期メジロ家当主としての準備期間に入っている。と言っても元から優等生だった為にマナーや帝王学、経営学なども収めているので今更何を学ばせろというんだ、という感じなのでアサマが現役の間は好き勝手にやれる立場に収まっている。
「それを言ったらライアンだって……」
「いや私は無理だから!?絶対無理!!」
「アタシも断固拒否で……」
「全くもう……栄えあるメジロ家の当主の座を何だと思って……」
「そう言いながらバターサンドを取ろうとしてんじゃねぇ、カロリー爆弾だって知ってんだろ」
「あと一つ!!もう一個だけ!!」
「そう言って4個目じゃねぇか……後で消費しろよ」
北海道銘菓のバターサンドをバクバクと食べているマックイーン、ストレス解消のつもりなのだろうが太り易いんだからええ加減にしとけと止めておかなければ……一つで一般的なお茶碗に入れたご飯半分ぐらいのカロリーはあるのだから。
「そ、それよりも宝塚記念はどのように致しますの?マヤさんにとってこのレースは重要な物です。何せライバルである方々は海外へ行っておりますし」
「お前までそれ言うか?言われるまでもねぇよ……マヤが勝つさ」
「おおっ自信たっぷりだね」
「たっぷりつうか……負けたらそこまでだったってだけの話だ、今後のプラン学見直しになるだけの話よ。俺が苦労すればいいだけの話だ」
「なんていうか、ホント自分の苦労をいとわないよね」
「俺が苦労すればですむんだ、どっちにしろ俺の勝ち戦さ」
ランページは自分の犠牲をマイナスに捉えずにそれで済むならば十分にプラスという考えが持っている。それは自分が何とかすればプラスに持って行けるからというのもあるが、どうしようもないマイナスを経験しているが故の思考なので、アサマからフォローして上げなさいと周囲は言われている。
「周囲が望んでるのはマヤの敗北から俺を貶す材料でしかない、つまりマヤの勝敗には興味がない。そういう事しか出来ないからこの国のメディアは大した事ねぇんだよ」
「なんだか南坂トレーナーみたいな事言うね」
「そりゃそうだろ、俺ゃ南ちゃんの担当だったんだから。色々と似たとしても可笑しくねぇよ、まあ今は……上ちゃんの愛バな訳だけどな」
「嫌に凶暴な愛バいたもんだね」
「何、森川ボイスにでもなればいいの?チェストブレイクでもすればいいのマックイーン」
「なんで私に振りますの、嫌味ですの?これでも私現役時代に比べてバストアップしてるんですのよ!?」
「腹周りとケツも一緒に増量してりゃ分からねぇよ」
「ああ、なんか全体的になんか丸くなってるよね」
「パーマー!?いいでしょう、貴方の得意な距離で決着を付けて差し上げますわ!!!」
「ははっウケる」
「お~いいぞやれやれ~」
「ランページさんは原因ですのに走らないつもりですの!?」
「忘れてる?俺一応妊婦よ」
「「「忘れてた……!?」」」
「おい」