『今年の宝塚記念は一味違う、だがそれは決して劣っている訳などではない。ナリタブライアンがいないからなんだ、サクラローレルがいないからなんだ、ビワハヤヒデがいないからなんだ!!いない者はいないと割り切って理解しろ、不満を垂れてみるレースは楽しいか、俺は楽しくない、楽しくないなら見なきゃいいだろうとかの独裁暴君メジロランページは言いました。私も同意見です。寧ろ考えましょう、この場の全てのウマ娘に輝かしい夢の可能性の星があると!!この場に皆々様、敢て、敢て聞きましょう!!ワクワクするでしょう!!?』
「「「「「オッ~!!!!」」」」」
『ではそのワクワクを募らせて、その夢の出航の時を今か今かと待ちましょう!』
「なんで俺の言葉を引用するんねん」
「そりゃレース前のインタビューであんな事を言ったせいでしょ」
「もうちょっとパンチ利かせればよかったと後悔してるよ」
「何、デンプシーロールでもすんの?」
「相変わらずですねぇランページさん」
「よっ南ちゃん」
観客席で出走の時を待っている中でランページは南坂と再会する、と言っても毎日トレセン学園で顔を合わせているのだが……。
「今回、ネイチャとライスが出るのにあいつらが1番人気にならなかったのはビックリだぜ」
「お二人とも調整に少し苦労してましたから、ですが何とか間に合ったので何とか滑り込みセーフでした」
「他のお相手からしたらご愁傷様って奴だねぇ……」
対抗バとなるのはマベちんにフジ、ジェニュインにブリザード、その上からはタイシンやチケット、そしてネイチャにライスというウマ娘まで出て来る。ライスがギリギリの2番人気なのはそれらと競合しているのと長距離ほどの役者になれないのではという懸念があるからだ。因みに3番人気はネイチャである。
「あ~わが友~ランページちゃ~ん!!」
「おおっと、その声はタンホイザか。元気そうで何よりだ」
「えへへへ~」
「ターボもいるぞ~!!」「私もおります」
「なんだ勢揃いか?」
引退して現在はトレセン学園生として勉学に励みつつもターボの経営する会社の食堂を任されるかもしれないという話が来ているマチタン、そこへ色々と話を振っているターボ社長と秘書イクノもやってきて黄金世代カノープスが勢揃いした事になる。
「ネイチャの調子は?」
「ライスのは聞かないの?」
「どうせライスは問題ないだろ」
「ご慧眼の通り、ライスさんは何方かと言えば精神を高めるのに時間が掛かってしまった程度でそれ以外は絶好調です」
「ネイチャも今回は気合入ってるぞ~」
ダービーウマ娘としての意地もある、と言ってもそれ以上にもまだまだカノープスは健在だという所を見せてやりたいという事が大きいらしいが……今季で引退する癖に、と笑ってしまうがある意味でネイチャらしい。
「チケットは?」
「ハヤヒデが海外行っちゃって少し寂しそうにしてるけど、その分タイシンと楽しくやってたぞ」
「仲良く、なのでしょうか。何方かと言ったら世話を焼かれてただけな気も……」
兎も角、カノープスも現在も悪くないとの事。それ以上に新規入部希望者が多くてまた選抜レースを開く事を検討しているとの事、つまり顔を出してくれという事だ。勿論了承である、意気が良いのがいたら自分が引っ張るのもありだ。
「ンでターボ、お前会社は何やるか決めたのか?」
「ターボがやりたい事をやる会社!!」
「会社ってそんな適当なノリで決めていいもんだったか……?」
「問題ありません、私が補佐していますので」
「それはそれで不安が増すのはあたしだけでしょうか南ちゃん」
「ノーコメントで」
メントスコーラやろうぜ!!と提案したターボに対して500じゃなくてリットルのコーラでやろうぜと提案して来るイクノというのはある意味とんでもない組み合わせなのではないだろうか……不安になって来るが、ランページは正式に起業したターボの会社、ダブルジェットは世界に名が轟く大会社になっていく姿に言葉を失っていくのであった。
「それよりもさ、今回ランとこのマヤが一番人気だけどどうなの?」
「期待してくれていいぜ、つい最近ではあるが10倍シンザン鉄を扱えるようになったからな。多分まだまだ伸びてくれると思ってる」
「ゲッあれ使うようになったの!?結局ランしか満足に扱えなかったのに!?」
「いやイクノとライスもだろ」
「あくまで私とライスさんはそれをつけて走れるだけです、貴方みたいにG1レースで付けたまま走るとかは流石に無理です」
それは今のカノープスでも同じらしく、チケットでも8倍が限界点だという。う~んシンザン鉄友は中々に増えないなぁ……後発に期待するしかないか、いや後発になればなるほどあんなバカみたいなのを使う奴はどんどん減っていくか……。
「まあ、俺っていうか坂原さんのウマ娘だからな、俺の愛弟子はまだデビューしたばっかよ」
「あ~そっか、エアグルーヴも元々はこっちだもんね」
「サイレンススズカ、でしたか、噂には聞いていますよ貴方の継承者だと」
「へ~それじゃあその子もシンザン鉄使うのかな?」
「俺=それっていうのもなんだか複雑なんだがな……まあ兎も角、今日は宜しく頼むぜ」
「ええ、お手柔らかに」
そんな風にレース場であった嘗ての相方は既に敵、火花を散らしているのだが、そっと上ちゃんが隣を確保して咳払いをするので、隙を付いて腕を組んで胸を押し付けてやる。
「焼くな焼くな、これで我慢しなさい」
「……逆に顔が焼き上がっちゃうよ」
「可愛いねぇ」