貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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671話

『勝って当然のG1レースねぇ……そういうのってさ、他のウマ娘に対する侮辱でしかないと思うのって俺だけかい?絶対ないのが勝負の世界だってあんたら理解してないの?ああそうかしてないからああいう事言えるんだもんな』

 

「見ろよこれ、見事に青ざめてるよ。ウケる」

「本当に私達のトレーナーってなんでこうも怖いもの知らずなのかしら……」

「頼もしいだろ」

「否定出来ないわ……」

 

宝塚記念の勝利者インタビューで我らが独裁暴君は勝って当然のレースだと言われましたが、見事に勝利しましたねと言われた際のコメントが上記のそれである。形式上の繕いすらせずにシンプルな罵倒を叩きつけるという破天荒っぷりにいつもの、流石暴君、俺達には出来ない事を平然とやってのけるという意見がネット中で言われまくった。

 

G1レース勝利の名誉を何だと思っているのだと現場の記者から言われたが、それ自体は光栄だと思ってるけどお前ら記者連中の思考が気に食わんと返しておいた。それによってその通りだと思っていた者たちからの電話やメール爆撃で飽和状態になっているとか……。

 

「まあそういう訳で、プレアデスの重要イベントが終わったので、いよいよ夏合宿編に突入するわけですが……その前に期末テストがありますので皆さん、赤点を取らないようにね」

「ダダダダダダダダ大丈夫デース!!!よよよよよよよ余裕デース……!!」

「こ、声震えまくってるよエルちゃん……!?」

「スペちゃんもじゃない……」

 

どの世界になっても学生にとっての最後の関門である期末テスト、去年は赤点はいなかったのだが、今年もいないことを切に願う。

 

「初めに言っておくけど、赤点だった奴にはもっとドギツいコースになるから覚悟しとけよ」

「ぐ、具体的には……?」

「夏休みの宿題を合宿中に終わらせる事と通常メニューとは別に勉強メニューも組みます。ハッキリ言って遊んでる暇なんてありません、皆が楽しく遊んでる間もやらせます、美味しいご飯もゆっくり食べさせません、流し込ませますので覚悟しなさい」

「頑張ろう皆!!!」

 

テストの出来に不安があるのか、スペが迫真の顔でそう叫ぶとそれに同調するように一部メンバーが声を上げるのであった。まあ理由が何であれやる気がある事は良い事である。

 

「ついでに言っておきますと、来年デビュー組は最初からキツめのメニューを組んでますので覚悟しておきなさい。デビュー済みもキツいです、ぶっちゃけ全員キツいです」

「じゃあもうそれでいいじゃないのよ!!?」

 

キングのツッコミも本当に冴えて来てるなぁ……と思いながらもお茶を啜る。

 

「後そうだ、今年はカノープスの面子と合同練習も計画してますので皆にも南ちゃんのメニューを受けて貰う事になると思います」

 

それを聞いて一部はランページを育てた南坂のメニューに心を躍らせ、どんなものなのかと期待する一方でシンザン鉄を導入した元凶なんだからきっととんでもないの何だろうなぁ……と思うメンバーに分かれていた。

 

「どうせアンタのトレーナーなんだ、俺たち全員にシンザン鉄導入とか言い出すじゃないか?」

「いや全員じゃないと思うぞ?分かり易い所だとスズカには使わせないだろうし……まあ他は知らん、俺だって南ちゃんの思考を全てを読める訳じゃないからな」

 

思わず全員、坂原と上水流も含めた全員が嘘つけ……と思ってしまった。ランページと南坂のベストパートナーっぷりは学生の中でも有名な話だ。上水流が嫉妬する程度には完璧な相棒同士。

 

「そして、夏合宿明けには……ドーベル、スズカ、タイキ、パール、ステイ、サニー、お前らをレースに叩き込んでいく。基本的には可能な限りレースに突っ込み続けていく、今年で競合させるのは年末のG1レース位にする予定だが……前々の宣言通りって事だから覚悟しとけ」

「もう耳タコだぞ」

 

ステイの苦笑いしながらのそれにランページも肩を竦めるが、他のメンバーは息をのむ。容赦する事もなく同じレースに放り込まれる状況が迫っている、チームメイトでありながらもライバルになるという事が迫っている。相手の能力が分かっているが故に本番のレースではそれがどう出るのか……緊張してしまう。

 

「まあぶっちゃけ、ちゃん様とかサンデーとかを相手にするより遥かにマシだから気が楽だろ」

「いや、あれらと比較するのは余りにもあんまりだと思うのだけど……」

「そんな事言ってるとおめぇのお母様にも話通して併走させっぞ」

「それだけはやめて頂戴!!?お母様と併走とかどんな地獄よ!!!?」

「気持ちは分かるけどさ、実の母親に向かって地獄はねぇだろ……」

 

まあ流石にこればっかりはやる気はない、彼方にも都合はあるし態々呼びつけるのは面倒臭い。それだったらサンデーで妥協した方がなんぼかマシなもんだ。

 

「という訳で、今回のお茶会はお開きにします。スペ、おめぇはいい加減に茶菓子のお代わりやめろ、この後俺と併走でカロリー消費すっぞ」

「は、はいっすいません!!」

「それにしても、本当にランページさんってお腹出ないわよね……本当に妊婦なの……?」

「本当所か正真正銘の妊婦だわ。確か10月頃に出産予定だわ、流石にG1レース当日に被らない事を願うわ」

「いやそこは普通に自分の身体を優先してほしいんだけど……」

「大丈夫大丈夫、じゃなきゃ併走もしないから」

「ホント常識が通用しないわね……フローラさんと一緒」

「あれと一緒だけはマジでやめろ、最近ガチで妹からさん付けがし出されてメンタルが砕けそうになってんだぞあの変態」

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