貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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672話

「はい、これでおしまいっと」

「相変わらず早いなぁおい……」

 

職員室で自分に割り当てられた合宿前の手続きやらその他の種類を片付けてしまったランページは暢気にコーヒーを啜っているとそれを見ていた沖野が呆れたような声を上げてきた。

 

「何度でも言ってやろう、遅いだけだろそっちが。俺のテンプレートは共有フォルダにぶち込んであるし使っていいって許可も出して、使ってる癖に遅いのは単純な能力差と要領の良し悪しでしかないんだぜ?」

「こいつ、全員が理解してても言わなかった事を……」

「ハッ、人の能力を妬んで自己研鑽もせぬ奴らの戯言など聞く耳持たんなぁ~?」

「お前何時か殺されるぞ」

「やってみろ、そん時は世界中からつるし上げられて一族郎党諸共大追求だハッハ~」

 

本当に怖いもの知らずだ……と言ってもランページの言葉は耳が痛い事実でもあるので他のトレーナー達は自分の能力や手際の悪さの改善に臨んでいくしかないのであった。

 

「ンで南ちゃんよ、カノープスとの合流は何時頃にすんの?」

「そうですね……前半戦が過ぎようとする頃合から始めたいですね」

「あいよ、んじゃその時に合わせてやるか。そっちの感じは如何なん?」

「あいも変わらず順調そのものです、ツヨシさんの体調も改善されてきましたし、この合宿を機に本格的なトレーニングに入っていこうかと思っております」

 

スペ曰く、ツルちゃんは身体は強くなく休みがちだったのだが……南坂お手製の食事メニューと体質改善メニューを一つずつコツコツと積み上げていった結果として一般的なウマ娘と遜色ない程度には強く出来たと言っている、まあ南坂の一般的なウマ娘というのがいまいち信用ならないのだが……

 

「貴方にもツヨシさんの身体に付いては見て貰いたいですね、私見を聞いてみたいですし」

「お手柔らかに頼むぜ?これでもまだまだ新人の域は出ねぇ零細トレーナーだぞ俺」

『何処がだよ!!』

 

どの世界にG1レースを複数勝たせている新人トレーナーがいるんだよ!!しかもチームで!!!と一斉にツッコミが入るのだが、ランページはどこ吹く風。

 

「つっても実際問題よ、幾ら体質改善と基礎トレーニングを繰り返した所で身体を強くさせる事が出来る幅は限られてんじゃねぇのか?それこそ改善じゃなくて改造じゃねぇか」

「ええまあ、ですから内部からの改善と外部という名の筋肉などの改造を同時に行う事で強くしたのです。ぶっちゃけた話、ローレルさんの足の脆さを何とかするより楽でした」

「ああ、そういえばローレルも足がネックだったんだっけ……すっかり忘れ取ったわ」

 

南坂の本領は此処かもしれない、ウマ娘の身体を強く、頑強へと作り変える事に長けている。結果的にカノープスのウマ娘は基本的に怪我などをする事が極めて少ないし下としても基礎的な体力と代謝に優れているので他と比べても圧倒的に早く治る。

 

「ローレルの方は良いのかい、おハナさんに任せっぱなしなんだろ?」

「ええ、フォア賞に出走予定です。おハナさんにはローレルの体力どうなってるの?何度メニューの変更をしたか分からないわ、って言われました」

「そりゃそうだろうな……カノープスは基礎ステータスを上げて殴るみたいなチームだし……」

 

管理主義で総合力で勝負なリギルからしたらビックリする事も多いだろう、特にその練習量にも驚かれるだろうが、同時に回復力にも驚かれているとか……。

 

「それと同時に―――ファイン殿下のお姉様が凱旋門賞の出走が決定したそうです」

「ピルサドスキーか……どんなレースになるか楽しみだねぇ……」

 

そう言いつつもブライアンとローレル、そしてハヤヒデがそれに挑むとどうなるのか分からない。個人的には凄い観てみたいのだが……流石に予定が合わない、というか下手したらもうそんときには出産してる恐れすらあるのでマジで欧州に行ってる暇なんてない、エアグルーヴやマヤのG1レースもある上に新人連中のレース管理もある。

 

「南ちゃんから見てピルサドスキー、どうだった?」

「以前の印象ではありましたが、端的に言って化物かと。あなたほどではありませんが」

「いまいち比較対象がなぁ……俺が言うのもなんだけど」

 

そこで自分を出されても喜んでいいのか嘆いていいのか分からないが……兎に角あの殿下の姉だけあってとんでもないという事だ。というかあと2年もしたらファインがこっちに来るのかと思うと時間の流れも速くなったもんだと感慨に耽りそうになる、やっぱりプレアデスに来るんだろうなぁ……いや下手したらピルサドスキーも一緒に留学する可能性もあるのか……そうなったらエアグルーヴと一緒にしたらマズいのかな……。

 

「なんか、夏合宿が近いってのに別な事に気が取られてまくってんなぁ……まあ無理言うなって話なんだけどさ……面倒な性分だな事」

「まあそれが貴方とも言えなくもないわけですが……色々とある前なのですから気を強く持ってください。言うまでも無いですしランページさんの気が弱くなった所なんて見た所ありませんが」

「失礼な、これでも気が弱くなって折れそうになった時はあるんだぞ数回は」

「それでも数回なんですね、そして周囲をご覧ください、絶対嘘だ、みたいな顔をしてる人が多数で御座います」

「おめぇら後で覚悟しとけよ、お婆様とかウ~ちゃんとか連れて来てトレセン学園トレーナーの実務見学会開催してやる」

『それだけはご勘弁を!!!??』

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