今年もやって来たトレセン学園の夏休み、と言ってもトレセン学園に所属しているならば大半の生徒達は遊んでる訳ではない。トレーナーと個人契約をしている場合でも夏合宿をするのが大半で、未契約の場合でも生徒達が自分達で合宿を計画する事も多い。そんなこんなで夏と言えばの合宿が始まる事になったのだが……
「はい、という訳で―――今年もちゃんと合宿に行きます」
『やった~!!!』
合宿前の最後の会議という名のお茶会駄弁り会を始めたプレアデス。期末試験の結果、全員が赤点を回避する事が出来たので問題なく、合宿に向かう事になった。
「つってもまあ、赤点回避つっても中にはマジでギリギリな奴もいて、俺直々に注意してくださいとか言われたけどな……さ~て誰の事か自覚あ~る人、手~挙げて」
「だだだだだだだ誰デース!!?」「い、いいいいいい一体誰なんだろうねぇ!!?」
「エル……先輩、それ言ってるような物よ」「スペちゃん……」
お察しの通り、エルコンドルパサーとスペシャルウィークである。唯一赤点ギリギリなのはあくまでも一部の教科なだけで全体的に赤点ギリギリではなかったという点だろうか……。
「ででででで、でもウララちゃんだって頑張ってんですよ!!?」
「そうデース!!?」
「いやウララを免罪符みたいに使うじゃありません、というか、ウララは赤点ギリギリじゃないから勘違いすんな」
「「ええっ!!?」」
「ムフン!!」
「ウララさん、胸張る所じゃないわ……」
胸を張るウララだが、その勉強を見ていたキングとしては本当に頭が痛い話である。去年も同じように勉強を見て上げていたのにこの点数……赤点回避とは言うが、赤点からプラス10点前後の点数で何とも言えないのである……キング的には頑張ったと褒めてあげたかったが、ウララ曰く
「迷った所もあったけど、なんかあってた!!」
と素直に証言され、ある種の山勘で正しい答えを導き出しただけだったのが頭痛の種であった。
「まあ正直な所、お小言の一つや二つ、いやみっつ、よん……いやむっつ……」
『一気に増えていった……』
「言ってやりたい所が素直な所ではありますが、折角苦しいテスト期間を乗り越えたんだから今回ばっかりは勘弁してやることにします」
「私としては授業が早く終わるから嬉しかったです」
「流石スズカさん、ブレねぇ……」
唯一テスト期間万歳と喜んでいたスズカ、テストが終わったら軽く自習をして直ぐに走りに出ていただけはある。これで成績が悪かったら問題だが、成績は上位なのでいえる事も無い。
「さてまあ、それでは三日後から合宿は開始しますので各自準備は怠らないようにしてください。それと予告通りに合宿は辛いので覚悟をしておくように」
「と言っても今までの合宿も全部辛かった気が……」
「ですので、今回は割とまじでキツいです。最初っから俺のコネ全開で色々と用意してますので、楽しみにしていてください」
「ま、まさか最初からラモーヌお姉様が来るとか……」
「ああリクエスト?」
「違いますよ!!?」
全力で手を真横に振っているドーベルの顔は真っ青になっている、どれだけラモーヌを恐れているんだ。まあ気持ちは分からなくもないのだが……そもそもラモーヌと簡単に接する事が出来るのはお婆様とかその辺りで、妹達は基本的にラモーヌと話すのは緊張しまくる。
「つってもまだサンデーとかその辺り呼ぶんだろ?というかネメシスは良いのか?」
「大丈夫だよネメシスも呼ぶから」
一応ネメシスの統括チーフでもあるのでそっちの仕事もしなければいけないのが大変な所。と言ってもそれはネメシスの合宿も近場で行う事でカバーリングしておくのであまり問題にはならない。一応サンデーもいる訳だし……。
「それと最後に一言だけ」
「そう言ってそれで終わったためしがないんだが?」
「まあそう硬い事言わんと……デビュー組はこの合宿の出来次第で年末のG1レースに向けてのあれこれが代わる上に、場合によってはG1レースに出さない事も検討する、でたきゃ真面目にやるこった。はいという訳で……本日のお茶会は此処までです、お疲れ様でした」
『お疲れ様でした~』
まあ疲れる事なんて欠片もしてない訳だが……細かい事はツッコんではいけないの精神で各員は残っていたお茶菓子を貪った後にそれぞれが準備の為に寮に戻ったり買い物に出たりしていくのであった。マヤも坂原と共に買い物へと出かけていった。そんな面々を見送ったランページは新しく珈琲でもを入れようとしたら、上ちゃんの手によってノンカフェインの麦茶珈琲を手渡される。
「君はこっち」
「うっす。さてと、今年はちょっといい水着でも着て愛しの上ちゃんでも悩殺するか」
「これまでも割とドギマギしてたのに勘弁してよ……何着る気よ」
「スリングショットとか」
「唯の紐じゃねぇか!!?妊婦って事思い出せよお前!!!」
「ああそうか、忘れとった」
「うおおおい!!!」
本当にこいつは……と頭を委託しながらも自分がしっかりしてブレーキ役にならなくては……という決心を固める上水流であった。
「まあまあそう興奮しなくてもいいじゃん、折角の夏なんだから俺も楽しませて貰うぜ」
「それが本当に出産予定日が近い妊婦の発言か……」
「だってまあ俺だし」
「一瞬納得しそうになった自分が恨めしい……」