「んっ~……全く以ていい天気な事だぜ」
太陽の下で身体を伸ばしながらもそんな事を呟きながらも海を見つめる、折角だから思いっきり泳いでやりたい気持ちがあるのだが、それをやると世間一般的な観点だと妊婦には危険性が高いなどと上ちゃんが怖い顔をするので遠慮しておく。自分にそんな常識は適応できないのだが……まあ、旦那様を下手に怒らせるべきないと思いながらも波打ち際を歩く。
「なんかこういうEDあったよなぁ……艦これだっけ?」
「何くだらない事を言ってるのかしら」
「いやだって、ってゲッ……マジでなんで居んの?」
「何よ、私が居たらまずいっていうの?」
「そりゃマズいでしょ、此処メジロ家のプライベートビーチっすよ」
マジでなんで居るの?と言いたげな顔を作ってしまった、そこにいたのは……日傘を差しながらも不満気な顔を作っているウマ娘、キングの母親であるグッバイヘイローであるのだが……マジで呼んでいないぞ、マジでなんで居るんだ。
「安心なさい、許可は取ってあるわよ」
「肝心要の俺の許可は、追い出すぞこら」
「待ちなさい、これでも私はG1を7勝したウマ娘よ、もう少しするべき対応があるでしょう」
「我、凱旋門とブリーダーズカップのワールドレコードホルダーぞ」
「ぐっ……」
勝ち鞍とレコードで勝負しようと思ったら大間違いだ、こちとら30戦30勝の生涯無敗で幾つのワールドレコードを持っていると思っているんだ。マジで喧嘩売る相手を誤ってるぞ。
「ンでマジで何しに来たんだよ、アンタ呼ぶとウチのキングが乱れるから呼ばなかったのにさ……ったく態々こっちの不和を煽る為に来たってか?迷惑ださっさと消えろ」
「待ちなさいよアンタのキングじゃなくて私のキングよ!!?」
「ハッハッハッハッ、言葉足らずの子の心親知らずのボケナスがなんかほざいとるわ、キングは立派にやってんのにアンタがいるだけでそれが乱れてそれがたメンバーにも波及すんだわ。マジで消えて、消えてくれるんだったら少しはましなデザインの仕事を回してやらぁ」
「貴方辛辣過ぎない!!?」
「今アイツは良い所なんだ、それが他の奴らにもいい影響を与えてるのにそれを乱すようなら全力で相手取るのが俺ちゃんなんだよ、つうか誰だよマジで許可出したの」
「おっなんだ漸く来る気になったか」
そこへ顔を出して来たのはサンデーサイレンス、近場ではネメシスも合宿が来ているので彼女がいても可笑しくはないのだが……
「サンデー、まさかアンタかよ、キングとのあれこれはまだ解決してねぇって何度言わせんだ」
「こいつもこいつでうるせぇんだよ、こいつから娘がランページに毒されたって愚痴言わされたって言われる身にもなってくれよ」
「知らねぇよそれこそ……つうかなんだ毒されるって」
「……お願いよ、あの子と話をさせて頂戴」
最近、キングとの仲は以前ほど酷くはなってはいないのだが、デビューを来年に控えているキングをヘイローはどうしても心配してしまい、あれこれ口を出しそうになっているのを何とか控えているのだが、どうしても出てしまう所があってりもする。それでも聞いてくれたりもするのだが、キングからすればトレセン学園でいる時間がどうしようもなく楽しすぎる為に、もうずっと家に帰って来てくれない状態が続いており、母親としてどうしても時間を作りたくてしょうがなかった。というのが素直な所。そこでサンデーサイレンスに頭を下げてでも、この合宿に参加して娘との時間を取りたかった……という事らしい。
「なんだそりゃ……流石に引くぞ」
「だ、だってぇ……」
「はぁ……伝説的なウマ娘も娘の前じゃ形無しだな。だからもう少し素直に口に出せっつったのによ……わぁった、わぁったよ。じゃあ取り敢えず明日までは顔出すなよ、合宿所で大人しくしててくれ、本格的な顔合わせは明日させる、今あいつはビーチでの一時を楽しんでんだ、そこに親が口挟んで更に気まずくなりたくはねぇだろ」
「っ~か、感謝するわ!!」
「だったらもう少し現場に掛かる負荷とか迷惑を考えて貰えませんかね。マジで迷惑なんで」
これが一般的なトレーナーだったらこういう事は絶対に言えないんだろうな、とケラケラと笑うサンデー。まあ一般トレーナーでもこれは流石に確りというべきなんだろうが……。
「ああそうだ、おいヘイロー参加させる条件忘れてねぇんだろうな?」
「海外の有力者をゲストとして招けって奴でしょ?全く普通はそういう要望は叶えられないものなのに無茶を言ってくれたわね……一応探しておいたけど予定が付いたのは一人だけだったわ」
「なんだよ一人だけかよ、お前それでもレジェンドウマ娘の一人かよ、こいつとか平然と3~4人は都合着けんぞ」
「それが普通有り得ないって言ってんのよ!!」
なんだろう、このツッコミ、キングを感じる……この辺りって親譲りだったんだなぁ……と適当な事を思いながらも誰かを呼んでくれたのかと思う。
「ンで誰を呼んだ?イージーゴアつったらぶっ飛ばすぞ」
「アンタ誰でもいいって言ったの忘れたの!!?それで仮に呼んでぶっ飛ばされたら理不尽極まり無いわよ!!?」
「知らねぇよこっちの都合考えねぇテメェの落ち度だろ」
「暴君より余程暴君じゃない……安心なさいよ彼女じゃないわよ、というか彼女だって今アメリカで忙しいのに呼べるわけないじゃない」
「でもランページだったら多分呼べるぞ、な?」
「そうだな、まずはマブの大統領とセクレタリアトに連絡を取って―――」
「やめてマジでやめて頂戴、頭痛がして来る……」
その気になれば出来るのが目の前にいてマジで頭痛がして来た、自分が可笑しい訳じゃないよな……と何度も自分に言い聞かせるように冷静になるように深呼吸をしながら染み込ませる。
「ンで呼べたん?」
「はぁ……ええ、呼べたわよ。貴方が日本のスクールで教育指導に回ってるって話題を出して興味を誘って独裁暴君もすぐそばにいるって言ったら是非に、と言ってきたわ」
「ははっお前見向きもされてねぇな、ざまぁ」
「るっさい!!!」
「それで名前は?」
「キングマンボ、今は海運業の傍らで後進育成のスクールを設立してる子よ」
「運命か、それを感じさせる子供が日本にいる……運命、定まっているのかまだ揺れている物かは知らないが……面白い、だからこそ私は日本へ来たのだから」
糸田ひろし様よりキングマンボを頂きました、有難う御座いました!!