貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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678話

「はぁはぁはぁはぁはぁ……」

「どうしたどうした、かのグッバイヘイローも引退しちまったら形無しかぁ?」

「ム、無茶言うんじゃないわよ……」

 

無理矢理合宿のゲストとして乱入したに近いグッバイヘイロー、ゲストとして動く気があるなら合宿者が感じている物に近い物を感じろという事でシンザン鉄を渡されているのだが……足場の悪い砂浜で重量のキツいシンザン鉄の組み合わせは最悪に近いので軽く動くだけでも汗と疲労が噴き出してくる。そんな自分をからかうような言い回しのサンデーサイレンスに苛立ちが生まれる。

 

「こちとらあんたと違って現役引退してからはもう体形維持しかしてないのよ……」

「成程、自分から牙を捨てた負け犬って訳か」

「言い方ぁ!!!」

「ランページ見てみろ、あいつ引退してんのにシンザン鉄外してねぇぞ」

「あの規格外と一緒にすんじゃないわよ!!!」

 

未だに併走には自分が走り、自分のトレーニングも欠かしていないのにトレーナー業の質も全く落としていないのは端的に言って化物としか言いようがなく、デザイナーとしての仕事をしている自分とは色んな意味でかけ離れている。

 

「何よこの蹄鉄、前時代的すぎるじゃない……」

「それで結果出して世界一になっちまってる奴が居るからなぁ」

 

と視線を向けてみると平然と先頭を走りながらも皆を先導しているランページがおり、その後ろにはプレアデスの面々が付いて行っている様子がある。

 

「ついてくついてく、ライスちゃんの真似~♪」

「ツイテクツイテクデース!!」

「ふぅふぅふぅっ……やれやれ、これをやっていると本当に合宿をしている感じになるのが本当にプレアデス流だな」

「ぬおおおおおっ‼」

 

先頭を走るのは最大負荷のシンザン鉄の扱いになれる為の習熟を行っているマヤ、ついでタイキ、そしてエアグルーブと続いている訳だが……その次に同率のサニーが来ている。

 

「ぬおおおっやっぱり砂浜でのこれは効くなぁぁぁあ……!!」

「負けないわよっ……!!」

「下手に競わずに楽に、自分にあったペースで行こうぜ~」

 

そしてキングと来るのだが、次点がステゴ。体格の差もあるというのに此処に食い込んでいるのは流石という他無い。此処からは基本的に4倍の横ばいが続いていく形になるのだが……皆シンザン鉄に怯む事も無く確りと取り組みながら駆け抜けていく。

 

「お前の娘はマヤ除けば4番手だぞ、ギリで掲示板内って所か……そんなのと同じ負荷使ってて母親がこのザマか……ふぅ~ん……まっ休んでれば?」

 

明確な嘲笑と煽りが入り混じったそれにグッバイヘイロー、キレる。

 

「いい加減になさい!!この私を誰だと思っているの!?最強、最速、超一流のグッバイヘイローよ!!この位、負っけるもんですかぁぁぁぁあ!!待てえええええ!!!」

「ハハッ俺に追いつける訳ねぇだろブワァ~カ!!!」

「やってやろうじゃないの!!!

 

「お~向こうも派手にやってねぇ、流石ダートが本場の国出身だわ、この砂浜で良い脚してるぜ」

「お母様……」

 

煽るサンデーを追いかけていくグッバイヘイロー、怒りが肉体に作用して全盛期の実力に戻しているのか走りのキレと一切無駄のないフォームが美しいコントラクトを生み出し、圧倒的なスピードを発揮している。ネメシスの指導教官として今も走っているサンデーサイレンスに追い付きそうになっているのは流石。

 

「わ~キングちゃんのお母ちゃん凄い……」

「流石グッバイヘイローさんデース……」

「凄い凄~い!!キングちゃんのお母さんもサンデーさんも頑張れ~!!」

「これ、応援していい物かしら……?」

「純粋な応援だからいいんじゃない?応援はポジティブな気持ちでするものだもの」

 

素直に応援するウララにアヤベさんが首を傾げるが、パールがそれを肯定しつつも圧倒的な走りを見せている二人のそれを目に焼き付ける。こんな機会は中々訪れる物ではない、流石プレアデス、とパールは素直に喜びを持っていた。

 

「しっかしあれ大丈夫かね」

「何が、なんですか?」

「いやだってさ、キングの母さんもう現役引退して今はデザイナー集中してんだろ?」

「ええ、偶にトレーニングしてるみたいだけど……基本体系維持の為の筈よ」

 

つまり、普段はそこまで動いたりする人ではなく、動くにしても軽い流し程度の筈。

 

「それなのにいきなりあんな全開の走りしたら多分、明日全然動けなくなるぞ。普段運動しないお父さんが偶の休みだからって子供の遊び付き合って翌日動けなくなってるみたいな」

「いやお母様に限ってそんな……そんな、いやでも……」

 

絶対には無いといい切れないキングなのであった。確かにグッバイヘイローはそこまで動かないし、いやでも自分の母親だしその辺りは見極められる筈……。

 

「というかゲストのあれこれは明日からの予定だから、今日はメンバーの合宿メニューこなしてる所見て貰って、それで色々手伝って貰おうとしたのに……」

 

翌日

 

 

「はい、グッバイヘイローさんは先日サンデーサイレンスに追走しようとして全力出し過ぎた結果として筋肉痛になったそうなので動けないみたいなので今日はお休みです」

「何やってんのよお母様!!?マジで何しに来たのよ唯のヘッポコお邪魔虫じゃない!!?」

「ホンマそれな」

 

「お前マジで何やってんの?」

「あ、貴方のせいじゃハゥッ……!?」

「ハハッウケる、写真撮ってお前の旦那に送ったろ」

「や、やめなさヒギィッ!!?」

「草www」

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