貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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偶にこんなに長く書き続けるコツあるんですかと言われますが、ねぇよンなもん。
そんな事考える先にキャラクター走らせればいいんだよ、フローラ見てみろ作者侵食してんぞ。
マジで睡眠薬ねぇと寝られねぇんだぞ、それで寝ても確定で夢に出て来るあいつマジで精神汚染してきてる。あいつ、エヴァの使徒か何かなん?


682話

「……」

「無様な姿だなぁ……これがあのグッバイヘイローの姿か?」

「黙りなさいよ諸悪の根源……」

「そりゃサンデーだ、そもそも自分の状態とか理解せずに全力出したの其方だと思いますが?」

「クッ……」

 

平然と正論を口にして此方を封殺しに来るランページに苛立ちを覚えるがどうしようもない事に更なる苛立ちが募る、本来自分にこんな口を聞ける人間なんて自分の肉親ぐらいだが、相手は相手で自分よりも功績が遥かに大きいので何も言えない。

 

「極めて前時代的、技量を兎に角重視する現代トレーニングを侮辱していると言ってもいいわ」

「なんでそうなるんだろうねぇ……技量も大事だけど基礎体力の方が大事じゃね?」

 

こんな風に自分の考えに疑問を持っていないしそれに対してブレる事がない。技術による掛け算を主とする考えが根付いている現代としては極めて異端的とも言えるそれ。だが実際はウマ娘という身体を使って駆け引きをする者にとって最後にモノをいうのは明確に基礎的な体力。だからそれを伸ばすというのは普通に正解ではあるのだが……。

 

「それならば途中で切り替えるのが理想的でしょ、どうして基礎ばかりなのよ」

「怪我のリスクを下げる為」

 

これだ、ランページにとって重視するのは名声や名誉などではなく単純な選手生命。長い期間を走り切りという事のみだ。

 

「ウマ娘にとってクラシックやティアラが一生の一度にしか走れねぇのは理解してる、特に日本ダービーに向けての熱量はすげぇもんだが……たったそれだけの為のそれ以降の人生で文字通りに足を引きずって生きるのが満足か?何かの拍子に過去が原因だと付きつけられて、苦しい思いし続けて……それで本懐が遂げられたらいいが、遂げられなかったら?」

「……勝負の世界はそういう物よ」

「だろうな、その程度の物でしかねぇんだよ。結局手に入るのは無駄な名誉とリスク、それはその後の人生全てをベットして挑むだけの価値ってマジであるのか?」

 

そう言われるとグッバイヘイローは二重の意味で黙ってしまった。レースの世界で文字通りに心身を削る様な思いで挑んで来たレースに対してランページは平然と嘲笑するような事を投げかけて来る、レース界を文字通りに先頭で牽引し続けてきたウマ娘の発言とはとても思えない。

 

「俺達はレースっていう世界で消費されて代替され続ける存在でしかない。だったらそれに合った戦い方と育て方をするだけでいいんだよ、それだったら俺はあの時は苦労したよなって笑い話にして一緒に酒でも飲んで振り返れるようにする、そのついでに勝てるようにする、それだけの事よ」

「……そんな心構えでG1が勝てると思ってるの?」

「既に勝ってますが、何か?」

「はぐらかすんじゃないわよ」

 

この考えで既にマヤを勝たせているしエアグルーヴだって既にダブルティアラだ。既にそのやり方での証は立てているのだが……強いて言えば、勝ち切る意味はない。

 

「テメェが満足して楽しめるレースをする、その付随品としてレースの勝利を頂く。その程度でいいんだよ。肝心要なのは走った奴が満足するか否かだ、勝利至上主義なのも結構な事だが、そればっかり追い求めていると身体を酷使しまくって身体を終わらせるだけだぜ」

「……」

 

現役当時、自分は勝つ事に執着していた、いやそれは全てのウマ娘がそうだったとも言える。それが当たり前だった、レースで勝つ、その為に苦しいメニューにも耐えて、敗北の屈辱を糧に更なる勝利を追い求めてきたというのに目の前で世界最速最強を手に入れた怪物はそんな思いを嘲笑うように蹴り飛ばしてる。

 

「キング~どうせならお母様にテメェの凄さを見せてやれ~お前のお母さんちょっと煩いから黙らせて」

「望む所よ!!そしてお母様、何ランページさんにご迷惑を掛けてるのよ!!?そんなんだからヘッポコなのよ!!」

「なっ!?誰がヘッポコよキング!!?貴方に言われたくないわ半一流!!」

「ハッ自分の身体が鈍っている事も理解せずに全力に出して今も杖がないと足が生まれたての小鹿みたいな足のお母様に言われても何も痛くも軽くもないわ!!!」

「わ、私のキングが反抗期に……!!?」

「いやこの程度なら反抗期のはの字にもならねぇだろ」

 

自分の娘にも遂に恐れていた反抗期が来てしまったのか!!?と絶望に近い感情に支配されているグッバイヘイローを捨て置くようにキングはタイヤを引きながらも波打ち際を走る。時折大きな波がやって来てはタイヤを大きく揺さぶって走りの邪魔をして来るが、それに負けじと力強く走っていく。その走りは力強くありながらもしなやか、曲げられても、逆にそれを利用して大きく弾かれる竹のような丈夫さを兼ね備えている。自分の走りとは全く違う……。

 

「アンタ、自分のあれが常にレース展開を頭に叩き込み続けて、それを反映させた走りが心身共に負担が掛かるからキングを突き放してたんだろ?クッソ不器用で笑うわ、確かに負担掛かるけどそもそも論としてあいつには似合わない。あいつは負けん気が兎に角強いから競り合いになればなるほどに強さを出せる、つまり―――アンタが恐れてる強者とのレースこそが真価を発揮出来るってタイプなんだよ」

「……それでも、レースは危険なのよ」

「アメリカ程じゃねぇよ日本」

「なら、私にキングの指導をさせなさい」

「当人がクソほど嫌がってるから無理です」

「キングッ少し力を抜きなさい、無駄に力が入ってるわよ!!」

「うるさいわよお母様私の走りを知らないんだから黙ってて頂戴!!!」

「なんで喧嘩になるのかなぁ……母親と娘ってこんなもんだっけ……?」

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