貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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73話

「此処って……確かメジロ家所有の……」

 

バイクに乗ったランページ、ヒトソウルに刻まれていた物を利用して一発で免許を取ったランページ。身分証明書として使うつもりだったのだが……免許を取ったのならば使えばいいと言われてお婆様からメジロ家保有のバイクを一つ譲り受け、今はそれを使わせて貰っている。そんなバイクに乗りながらやって来たのはメジロ家が保有している練習用のコース場、作り自体は東京レース場と同じになっているその場所にランページは行くように言われたのでやって来た。

 

「目的地は此処だよな……行けば分かるって言ったけど……何があるんだ?」

 

一先ずバイクを止めながらもコース場へと入っていく。ジャパンカップやこれから先のシニアクラスで戦う為に、まず日本という力の最高峰を知るべきだと言っていた。その最高峰とも言える二人と会うと良い、だがそれは一体誰なのだろうか。

 

「最高峰って言ったら……会長とシービー……とかか?いやでもそれなら普通にその二人の名前言うよな、じゃあ誰だ?」

 

一体誰なのだと首を傾げ続けていると駐車場へと凄い勢いで車が入って来た、それは見事なドリフトをしながら完璧な停車をして見せた。

 

「な、なんつう荒っぽい……」

 

思わずそう言ってしまう程の駐車だが、余りにも完璧すぎるコントロールに感動すら覚える。深紅に輝く美しくシャープな流線型な車体が眩しい、と感動した時にまさかと思った。車には疎い自分でも分かるほどの超有名なスポーツカー、その名も……カウンタック。そんなカウンタックのドアを上へと上げながら一人の女性が降りて来た。

 

「んっ~パーペキな駐車ね!!」

「あ、相変わらずだ本当に……寿命が縮んだ気分だ……」

 

気分上々元気いっぱいと言わんばかりに元気なのは運転席から出て来たウマ娘のみ、もう一人のウマ娘の方は其方ほどの元気も無ければ覇気も無かった。そりゃあれだけの速度で侵入しながらのドリフトを行ってピッタリと駐車スペースに停めるような神業を助手席で体験すればグロッキーにもなるだろうに……這い出るように下車した其方は気分が悪そうに膝を付いていたので、バックから水筒を出して差し出した。

 

「あ、あの~……飲みますか、唯の麦茶ですけど……」

「た、助かる……」

「あっ貴方ね、ナウでイケイケなウマ娘のランページちゃんって」

「ああはい、確かに俺はランページですけど……」

 

随分と言葉廻しが古いなぁ……と思いつつも何だかんだで自分も古い言葉を使いそうになるので人の事は言えないな……と顔を上げてそちらを見ると思わず身体が硬直した。そうだ、この車、カウンタックを見た瞬間に理解すべきだったのだ……ウマ娘でこのカウンタックを愛車とするのが居たではないか。

 

「フフフッ会えて光栄よ、メジロのお婆様から貴方の走りを見てあげる事になったのってちょっと大丈夫?」

「誰のせいだと思ってるんだ誰の……」

 

カウンタックに手を付きながらも何とか立ち上がったウマ娘、水筒を返しながらもキリッと顔を直すのだが……そちらも見た事があった。アプリ云々ではなく、授業や南坂からの講習で、だが……。

 

「それじゃあ改めて自己紹介ね、あたしはマルゼンスキー。引退しちゃってるけど知ってるかしら、知っててもらえると嬉しいんだけど」

「……いや、ウマ娘で貴方を知らないと唯のモグリでしょ」

「あはっ♪ねえ聞いた、それだけあたしってば有名なのかしら~これは手応えバッチグーね!!」

「はぁっ済まない騒がしくて……私の事は知っててくれているかな、カツラギエースだ」

 

お婆様はなんという人を紹介したんだ……と思わず気が遠くなりそうになった。目の前にいる二人のウマ娘はハッキリ言ってレジェンドも良い所なのである。

 

 

マルゼンスキー。8戦8勝、全勝無敗の競走馬。朝日杯では13馬身の大差圧勝かつ3歳1600mのレコードタイムを叩き出し、当時のスーパーカーブームに準えてスーパーカーという異名で呼ばれていた。その強さ故に同じレースに出走する筈だった競走馬の多くが勝負を避け、8戦の内4戦が5頭立て、つまりレースを開催する為の最低頭数で行われたという逸話すらある。

 

カツラギエース。自他ともに認める中距離の王者、ミスターシービーとメジロモンスニーの同期。モンスニーが最大のライバルとするならば、カツラギエースは最高のライバルだと称される。そして、カツラギエースはジャパンカップにおいてミスターシービー、シンボリルドルフの三冠馬を同時に下したうえで海外馬を下して初の日本馬によるジャパンカップの優勝を打ち立てたという記録とクラシック三冠馬を2頭まとめて倒した記録*1を保持している。

 

「聞いたわよね~無敗でのトリプルティアラなんてルドルフと同じね♪」

「年を重ねるごとに有望な後輩が次々と現れて嬉しい物だな……」

 

レジェンドにも程がある。まさかすぎる先輩の登場にランページも緊張してしまう、それを見抜いたのかマルゼンスキーは背後から思いっ切り抱き着いて来た。

 

「緊張なんてしなくていいのよ、今日はお姉さん達と気持ちよく走るだけなんだから♪フフッエースのジャパンカップみたいな走り、期待しちゃってもいいのよね?」

「さて、如何だろうな。まあ気楽にしてくれ、私とマルゼンスキーは既に引退している身だ、そこまで畏まられても困る」

「ハァ……分かりました」

 

だが、同時に解せた。何故お婆様がこの二人を呼んだのかを。

 

「それじゃあ早速走りましょうか!!久しぶりに腕がなるわね~あっこの場合は脚ね」

「どっちでも構わないと思うが……さてと、ランページ君の走りを間近で見るとしよう」

 

カツラギエースはジャパンカップにおいて逃げ戦法を選択して勝利を収めた、そしてマルゼンスキーは余りにも速過ぎた為に結果的に逃げとなったと言われるウマ娘。自分にとって、これから先の戦いで自分の逃げを磨く相手としてはこれ以上ない相手。特にカツラギエースは世界の強さをその身で体験している。

 

「お二人とも、今日は胸を借りるつもりで頑張ります!!トリプルティアラとして恥ずかしくない走りをお見せします!!」

「期待させて貰おう」

「わぉいい気迫ね♪それじゃあコースへレッツラゴー!!」

「……如何でもいいが古いな相変わらず」

*1
類似している馬では、令和のクラシック三冠馬であるコントレイルと無敗の三冠牝馬のデアリングタクトを、同じくジャパンカップで破ったアーモンドアイがいる




という訳で、マルゼンスキーとカツラギエースのエントリーだ!!

史実の馬の性格を取り入れるのはあり?

  • あり、見てみたい。
  • 無し、見たくない。
  • 寧ろ逆を見てみたい。
  • どっちも見たい。
  • 興味なし。
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