貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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74話

メジロ家所有のレース場を今三人のウマ娘が駆けて行く、それだけならば特段特別な光景でも何でもない。ウマ娘が走る姿なんてこの世界ではどこでも見られる光景……だが、その三人が漏れなくレジェンド級のウマ娘であるという事はドリームトロフィーリーグでもなければ見る事が絶対できないような事。

 

「さあもっともっと飛ばしちゃうわよぉ!!」

「全く相変わらず、速い奴だな!!」

 

先頭を行くのはスーパーカー・マルゼンスキー、その後ろに付けてスリップストリームで風の抵抗を最小限にしつつも追走するのは翔馬・カツラギエース。当時のトゥインクルシリーズを圧倒的な強さで駆け抜け続けていたマルゼンスキーに全く離されない走りをするカツラギエース、そんな二人を追いかけるのは現代のトリプルティアラ、メジロランページ。

 

「如何言うペースしてんだこれ!?」

 

普段から大逃げをする筈の彼女ですら驚くほどのペースで駆け抜け続けているマルゼンスキー、追走こそ出来ているが差を縮める事が全く出来ずにいる。そしてラストの直線に入った時―――

 

「それじゃあ、ギアをアゲアゲで行っちゃうわよ~!!私のスロットルワークに着いて来れるかしら!!」

「後輩が見ているんだ、情けない姿だけは見せる訳にはいかんな!!」

 

そこでさらにマルゼンスキーが加速を開始した。先程までの超ハイペースが抑えていたとでもいうかの如く、更に速くなっていったのだ。だがカツラギエースもそれに続くように加速し始めて行く。

 

「嘘だろ……まだ行けるってのか!!?負けて、られっかよ!!!」

 

モンスニーから伝授された走法を解禁、此処までは何とか離されないように努めていたがもう加減なんてしている時間は終わりだと言わんばかりに本気で走り出す。走り出して行くが……縮まった事は縮まった、だが3~4バ身。それ以上縮める事が出きない、寧ろ一瞬でも気を抜いてしまったらドバっと差を開けられてしまうと悟った、これ以上広げられないようにするのが精一杯。

 

「ゴール!!う~ん久しぶりの感覚だったわ、やっぱり最高よね走るのって!!」

「全く……これで本当に現役引退してるんだから恐ろしい……」

 

気持ちよさそうに1着でゴールするマルゼンスキー、それと半バ身差でゴールするカツラギエース。そしてランページは4バ身差をギリギリ守り切っての3着だった。

 

「これでも本格的なレース形式で走るのは久しぶりなのよ?」

「信用ならないな……確かに最高速度は落ちている気はするが、その分テクが上がっている気がするぞ」

「峠をタッちゃんで攻めたりしてたの、そこで知り合った子に教えて貰ったコーナリングテクを使ったりしてるわ」

「なんで車のテクニックを平然と走りに応用してるんだこいつは……」

 

カウンタックで攻める峠とは一体……とランページは思うのだがそれ以上にあの走りで全盛期よりかは劣っているというのだから耳を疑いたくなった。これがあのマルゼンスキーか……史実では日本短波賞(現ラジオNIKKEI賞)で第3コーナー辺りで間違えて減速したのにも拘らず、7バ身差をつけて大勝したというのも頷けるスペック*1

 

「大丈夫かランページ」

「な、なんか自信無くしそうです……これでも全力だったんですよ……!?」

「まあマルゼンスキーは特別スペックが狂っているとも言われる程に速いから、そこに経験から来るテクニックが加われば……恐らくルドルフやシービーでも勝つ事は難しいだろう」

 

その言葉にも納得が行く、だがそんなとんでもないウマ娘のスピードに付いて行けてカツラギエースもランページからすれば途轍もない存在なのか変わりない。

 

「私は何度もあれとは走った事があるからな、走り方は心得ている」

「それで、あんな差が出るもんなんですか!?」

「ああ。マルゼンスキーのそれは逃げようと思ってのそれじゃない、単純に脚が速過ぎるんだ」

 

マルゼンスキーが生まれながら持っている能力は異常の一言。其処まで技術が無くてもスペックによるゴリ押しが出来てしまう、しかも今の彼女はそのスペックが落ちてきているがそれを経験によって培った技術によるブーストが掛かるので現役時代とそこまで強さが変わっていない。

 

「ウチにもツインターボって、破滅逃げするチームメイトいますけど……それなんかとじゃ比べ物にならない……息も全然切れてない……」

「フフフッだって凄い楽しかったもの♪ランちゃんってばゴイスーね♪」

 

笑顔でサムズアップされるが、素直に喜ぶ事は出来ない……そんな彼女を見つつもカツラギエースが肩を叩く。

 

「だから私も来たんだ。恐らくだがアサマさんはマルゼンスキーを海外のウマ娘に見立てろという事なのだろう、そして私が君に技術を教えよう。ハッキリ言ってマルゼンスキーがまともに教導出来るとは思えんからな」

「もう、失礼しちゃうわ。プンプン」

「あれで出来ると思うか」

 

ワザとらしく頬を膨らませながらもそっぽを向くのを指差しながら言うカツラギエースにランページは反論する言葉を持ち合わせていなかった。

 

「ランページ、君は確かに強い。それはこれまで無敗でトリプルティアラになったことが証明している。だからこそ君に足りない事は―――圧倒的な敗北だ」

「敗北……」

「敗北とは負ける事ではない、今の自分に何が足りないか、自分を客観的な評価を行うに於いてこれ以上ない程に相応しい成長材料だ。勝ったとしても、自分に不足な点があったとしても気付き辛いだろう、だが負けたとすれば自分を徹底的に洗おうとする」

 

思わず、納得してしまった。無敗であるが故に気付けない何かがあるのだろうとカツラギエースの言葉がそのまま入って来た。お婆様がマルゼンスキーとカツラギエースを紹介したのは―――自分と同じ無敗且つ圧倒的な実力を持つマルゼンスキーに負けさせ、その改善点を世界に勝ったカツラギエースによる教導によって修正して上を目指させる為だった。

 

「……なんというか、フローラがやってた皇帝様とシービーとの特訓それみたいだな」

「ああシービーから聞いたな、フローラという後輩の為に一肌脱いだと。それに近いな、さあ君もそれをするぞ、まあ安心していい。倒れる前に休憩は入れてやる」

「倒れる事は決定なんですね」

「ああ、特にマルゼンスキーの特訓はキツいぞ。横G耐性に自信はあるか?」

「―――えっ?」

 

 

「さあこれが私が峠で身に付けた超絶コーナーリングテクよぉ!!その身体で確り覚えるのよぉ!!」

「なんでその為に態々峠を攻めるんだぁぁぁぁぁ!!?」

「さあお遊びのパワースライドは此処まで、此処からが本番のタッちゃんドリフトよぉぉ!!!」

「頭文字Uを始めるなぁぁぁぁぁ!!!??」

 

ある意味での地獄の特訓が行われたのであった。

 

「……何であれでコーナーリングのコツが分かるんだろう……」

「恐怖心が薄れるからだろうな」

「……納得できる、自分が居る……」

「テヘッ♪」

*1
コースの下見をした際に中野渡騎手が馬場状態を確認する為に減速したのを、此処がゴールなんだな。とマルゼンスキーが勘違いしてしまったとの説が有力。そう言われる程にマルゼンスキーは頭が良かったらしい。因みに、その時実況からなんか止まった。と言われた。




体力が20下がった。
スピードが10上がった。
パワーが10上がった。
根性が20上がった。
「弧線のプロフェッサー」のヒントLVが4上がった。

史実の馬の性格を取り入れるのはあり?

  • あり、見てみたい。
  • 無し、見たくない。
  • 寧ろ逆を見てみたい。
  • どっちも見たい。
  • 興味なし。
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