貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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79話

『ターフの独裁者、ジャパンカップへ殴り込み!!?』

『ジャパンカップへ出走表明!無敗の四冠、メジロランページ!!』

『クラシックでのジャパンカップへの挑戦、自信の現れか無謀な挑戦か!?』

『独裁者、遂に綻びを見せるのか!?』

 

「お~お~好き勝手言い続けやってこの野郎、応援のおの字もねえってのか死ねよマスゴミ共」

 

何処かで買い付けて来たのか、新聞を読み漁るようにしながら笑いながら文句を付けるランページ。何処の新聞社のそれも自分の事を煽る事ばかりだ、全く以て応援する気はないらしい。ジャパンカップでの日本総大将は変わらずオグリキャップ、副将ヤエノムテキと言った所だろうか。自分は現状で8番人気、完全な伏兵扱いだ。

 

「『独裁者、伏兵扱いに不満か!?』最初に独裁者扱いしたのは実況でそれに乗ったのテメェらじゃねえか、俺はそれに乗っただけだこの野郎」

 

そう言いながらも新聞の出走表を見る、そこで一番気になるのが対戦相手だ。名だたる海外ウマ娘がいる中で一番人気となっているのがヨーロッパからの刺客、しかも自分と同じくクラシックでジャパンカップへと挑むエルグッツ。

 

「直近は凱旋門、その前はグレートヴォルティジュールステークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス……」

 

凱旋門賞、世界最高のレースと名高いレースへの出場経験がある。残念ながら凱旋門は5着だったらしいが……その前の二つは勝利している、特に後者はヨーロッパにおける凱旋門やダービーと同格の扱いをされるG1レース、それを征している為か一番人気へと押されている。

 

「んで二番がベストルーティン……これまでにG1を6勝……んである種のキャラ被りのゴーストフリーズ……」

「此処良いか?」

「んっああオグリさん、ええどうぞ」

 

読み漁っていると隣の席にオグリが大量のご飯を持ってやって来た、まだ少食の癖が抜けない自分としては本当に凄い量に見える。少しの量を食べ、それから増やしてお代わりをする自分からすればもう異次元級だ。

 

「次のジャパンカップは宜しくな」

「ええ、負けませんぜ」

「私もだ……新聞好きなのか?」

「いえね、ジャパンカップの記事が載ってるから見てるんすよ、なんか一番人気が俺と同じクラシッククラスのウマ娘らしいんですよ」

「ほう、どんな子だ?」

 

そう言いながらも新聞を指座してエルグッツの事を教える。

 

「凱旋門は私でも分かるが、その前は全然知らないな」

「それは俺もっすよ、まあ海外のレースなんてその位で向こうから見たジャパンカップもそうなのしれませんね」

「フム……長いんだな、海外のレースって」

「同感です、これなんて長すぎますよね。キング&クイーンステークス」

「その位なら覚えられるな」

 

G1、しかも国際競争であるジャパンカップに出る者同士の会話とは思えないほどに内容の無い軽すぎる会話に周囲は脱力しかかっていた。だが此処でオグリは新聞を見て首を傾げた。

 

「……私やヤエノの記事はあるけどランのは全然ないな」

「そりゃそうですよ、期待されてねぇですもん。無謀な挑戦って笑われてますから」

 

ターフの独裁者、遂に失策!?と書かれた記事を見せながらランページは肩を竦める、なんというか仮にも無敗の四冠ウマ娘に対しての言葉とは思えない。クラシッククラスな上に前走がエリザベス女王杯で中1週しかないのも大きなマイナスと見られているのだろう。完全に調子に乗っている若者、という認識をされているのかもしれない。甚だ心外ではあるが。

 

「酷いな、出走する以上応援するのが当たり前じゃないか」

 

そう言いながらもプンプンと怒るオグリ、気にする事なんてないぞと言いながらも巨大ニンジンハンバーグを一口で飲み込む。一方ランページはこれが簡単オグリか……と全然関係ない所で感動していた。オグリからすれば同じウマ娘なのに此処までの扱いに違いがある事が分からない、寧ろ凄い挑戦だと思うし尊敬出来る。だから一緒に頑張ろうと応援したい。

 

「気にせんで良いですよ、言いたい奴には言わせておけば―――後で後悔しても俺は絶対忘れませんから」

「成程そういう事か、ランはタマと同じで怖いな」

「タマ先輩と一緒にされるのはちょっと心外だなぁ……」

 

オグリ曰く、タマはタマでそういうのを絶対に忘れないタイプらしいので、その手の記事を書いた記者が取材に来たらまずその記事の記者さんやな!!どうやった、今回の走り?というらしい。しかもその時は豪くニコニコしているとの事。

 

「そうだオグリさん、一緒にメジロの療養所行きませんか。明日行くんですけど」

「私が行っても良い物なのか?」

「俺が許可取っておきますよ、というか俺が行く所にはオグリさんのファンが多いのできっと喜びますよ。おっきな温泉もありますし」

「温泉……ろっぺいも一緒に行ったら喜ぶかな」

「南ちゃんも一緒に行った事ありますから多分大丈夫ですよ」

 

あれよあれよという内に、ジャパンカップに向けての療養にオグリも同行する事になった。流石に南坂は同伴出来ないが、オグリのトレーナーである六平(むさか)トレーナーが一緒に行く事になった。

 

「にしてもいいのかい、俺まで一緒で」

「お婆様から許可取ってますし、寧ろ療養所の人達はオグリさんのサイン欲しがるから諫めなさいって言われちゃいましたよ」

「その位幾らでも書いてやれ、世話になるんだからな」

「うむ。私ので良ければ書くぞ」

 

ランページはエリザベス女王杯からの疲労を癒してジャパンカップに間に合わせる為、オグリキャップは前回の天皇賞(秋)が6着と沈んでしまったので心機一転を図る為に六平トレーナーが許可を出した。

 

「おおっ……凄い、まるでテレビの時代劇に出て来るお屋敷だ」

「流石は天下のメジロ家の療養所だ……金が掛かってやがる」

 

到着した療養所はまるで江戸時代のお屋敷のような風情のある旅館を中心とした施設、此処で少しの間過ごせる事に感動を覚えるオグリとメジロの財力に改めて驚く六平トレーナー。

 

『お待ちしておりましたランページお嬢様。そしてオグリキャップ様、六平銀次郎様、メジロ家一同、誠心誠意御もてなしをさせていただきます』

「ラン、この人達にサインを書けばいいんだったか?」

「せめてもうちょっと後で言ってやってくださいよ、まあそういう事ですね」

 

そしてオグリキャップはスタッフにサインや写真撮影に応じると……早速療養に入るのであった。温泉だけに飽き足らず、最新の栄養学に基づいた食事やマッサージなどなどトレセン学園を超える数々のものに圧倒され、そして癒され、就寝用の部屋に入った時には

 

「はふぅ……」

 

ランページが困った笑いを浮かべる程の簡単オグリになっていた。

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