貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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08話

結果から言うとランページの編入は恙なく進行し、無事に編入が決定した。元々がメジロ家からの推薦という事もあったが、学力なども問題はなかった上に選抜レースでも見事な走りを見せ付けた事で合格する事が出来た。

 

「合格おめでとうございます、ですが此処は貴方の家なのですからいつでも帰っていらっしゃいな。貴方は、もうメジロ家のウマ娘なのですからね」

「……有難う御座います。この御恩は一生忘れません」

 

そんな暖かな言葉でお婆様が送り出してくれた、それを胸にしながらもいざ中央トレセン学園へと編入へとなった。そして入寮となったのは美浦寮、本来此処の寮長をやっているのは女傑ヒシアマゾン……

 

「おっアンタが編入試験で合格したっていうウマ娘かい?」

「ああ、ランページだ。アンタが寮長か?」

「ああそうだ、アタイはダイナガリバー。寮長のダイちゃんったぁアタイの事さね、まあ宜しく頼むよ」

 

何処か男勝りな雰囲気を出しつつも接しやすい雰囲気を出しながらも軽く肩を組みながらも挨拶をしてくるウマ娘、だがその名前を聞いてランページは内心で驚いていた。矢張り自分の知っているウマ娘と異なっていて、史実に沿った流れになっているのか……と思いながらも挨拶をして来たのがダービーウマ娘のダイナガリバー。本当に凄まじい……としか言いようがない。

 

「トレーナーから聞いたよ、アンタ面白い走りをするんだってねぇ?良いねぇ良いねぇアタイも走りたいもんさね」

「機会があれば」

「よし、言質取ったから逃げんじゃないよ!!」

 

好戦的な瞳を作ったまま、拳をぶつけて今から走る気満々と言いたげなダイナガリバー。何となくヒシアマゾンを彷彿とさせるが、幾つ前なのか分からないが、確かにこれは先代寮長だと言われて納得が出来る。そんな彼女の案内のまま、自分の部屋へと案内がされるのだが……

 

「さっ此処がアンタの部屋だよ、同室はアタイと同期だけどいい奴だから安心しな」

「いえ不安とかはないです、ちょっと緊張してるだけです」

「ハハッそうかい?んじゃ、行くとするかい」

 

そう言いながらも扉へと手を伸ばすダイナガリバー、姉御気質な所も頼りになりそうな気の良いウマ娘だという事が良く分かった。そんな彼女の言う同期とは一体誰なのだろうか……生憎、人時代もそこまで競馬にどっぷりという訳ではなかった。ギリギリ分かるのが競馬の黄金時代とも言われるオグリキャップから後の世代、故にその前の知識はそこまでない……なので当然ダイナガリバーの世代の事はそこまで……彼女はダービーを取っているからギリギリ分かった程度、その同期となると一体……不思議な緊張感を味わいながらも、扉をノックする。

 

「アタイだよ、同居人連れて来たよ」

「はい、今お開け致しますね」

 

中からは上品な声が聞こえて来た。なんというか、大人の色気のある声というのが分かる、何処か聞き覚えがある様な声のような気もするのだが……何処だっただろうかと思っていると扉が開けられた。そこに居た自分の同室相手というのは―――美しいまでに艶のある青鹿毛、その中に混じっている白い髪、おっとりとしていて本当に学生なのかと疑いたくなる程に色気を感じさせるそれは旅館の女将を連想させた。そして、自分はこのウマ娘を知っていた。

 

「紹介するな、こいつが噂の編入生のランページだよ。アンタの同室相手って事さ。んでランページ、こいつがアタイの同期でアンタの同室相手の―――メジロラモーヌだ」

「まぁっお噂はかねがねお聞きしてます、これから宜しくお願い致しますわね」

「こ、此方こそお願いします……ラモーヌ先輩」

 

思わず引き攣りそうになっている表情を必死に抑えながらも笑顔を作って差し出された握手に応じるのであった。そりゃ自分だって知っている程の超有名馬、史上初の牝馬三冠を達成しメジロの至宝とまで言われる存在だ。此処では史上初のトリプルティアラウマ娘としてその知名度はかの皇帝などにも引けを取らない……。

 

「先輩なんて堅苦しい呼び方しないでも結構ですよ、どうかラモちゃん♪と気軽に可愛くお呼びくださいね♪」

「善処しますね……ラモーヌ、ちゃん先輩」

「ん~ちゃん先輩というのも中々に捨てがたいですね♪」

 

と思っていた以上に軽いというか、ほんわかとしているというか柔らかな性格をしている事に驚いた……が、よくよく考えてみれば彼女はメジロアルダンの姉だ。そう考えると納得が行きそうになる。

 

「思った以上に仲良く出来そうでよかったよ、実は同室とかは出来るだけ同学年で揃えるようにしてるんだけどどうにも部屋割りが難しくてさ」

「私はそこまで気にしませんから大丈夫です……なんというか、トリプルティアラのウマ娘さんが此処までフレンドリーだとは思いませんでしたけど」

「ハハッラモーヌは結構緩いからね、まあ仲良くするんだよ」

「はい、お任せください」

 

んじゃね~と去っていくダイナガリバー。一先ず、部屋の中に入れて貰うのだが……改めてあの魔性の青鹿毛とも呼ばれたラモーヌと同室とは……思っても見なかった。使っていなかった側のベッドを教えて貰い、そこに荷物を置くのだが……二人で使う部屋ではあるが、メジロ家のお屋敷の部屋に比べたら圧倒的に狭いので自分としては心地が良い。本当に寮には入れて良かったとこの一点については心から感謝している。

 

「ランページさん、お婆様からお話は聞き及んでおります。此処に至るまでの毎日……とても苦しい日々であったと聞き及んでおります」

「えっああいや、そうでもなかった……ですよ?ライアンにも色々助けて貰いましたし」

 

荷物を置くと直ぐにラモーヌは真面目な表情で此方を見据えて来る、何事かと身構えたのだが如何やらアサマから話が行っていたらしい。

 

「私に出来る事ならば仰ってください、メジロ家の名に誓って貴方のお力になる事をお約束致します故」

「そんな……俺はもうメジロ家の方々にお世話になり続けてるんです、流石にこれ以上は……」

「違いますよ、お婆様が言っておられませんでしたか。貴方はもう、メジロ家のウマ娘なのです。家族が家族を助けるのは当然の事なのですよ」

 

何の含みも無く、本心からそう言って来るラモーヌに思わずランページは言葉を失ってしまった。自分は家族を失った、親戚には遺産を持ち逃げされた……だがそれを埋め合わせるように自分には新しい家族が出来ていた。それはメジロ家という暖かで優しい人達だった。その言葉に思わず感動しつつも、それじゃあ一つ……と言うと、ラモーヌは早速お力になれますのね、と嬉しいそうに微笑んだ。

 

「トレセン学園の事、色々教えて貰っても良いですかね。何も知らないんで」

「フフフッ勿論ですよ」

「宜しくお願いしますラモーヌちゃん先輩。俺の事は好きに呼んでください」

「はい、承りましたわランちゃん♪」




同室はメジロの至宝、メジロラモーヌ。そして寮長はその同期でダービーを征したダイナカリバー。

今作は出来るだけ史実の流れに沿う形でやって行こうと思っています。まあ出来るだけね。
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