貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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89話

メジロランページ @dictatorship

 

諸先輩方、ウマ娘の姿、お借りします!!

 

これで文句ないやろ。

 

 

一つの呟きを投稿しながらも、改めて挑戦状を見る。ドが付くほどにシンプルな内容だろうか……だが問題もある、挑戦状の中には明らかにダートのレースもある事だ。自分で聞いた事があるレースだけに限定しても幾つかダートが混ざっている。

 

「南ちゃん、海外ってダートの方が主流なのか?」

「半分正解、半分外れですね」

「どゆこと?」

 

曰く、ウマ娘のレースの起源に違いがあるとの事。欧州はイギリスの王族などが行っていた娯楽が起源となっているとされている、自然の地形を生かしたハードなコースをどれだけ耐えられるかというモノが主流。一方アメリカは庶民の娯楽が起源、広くない土地にコースを作りどれだけ早く走れるかを競っていた。

 

「この差が主流のレースを分けたとされていますね。日本は欧州を範としているので芝コースをメインとしていますが、アメリカのダートコースのようなバ場の上に芝を植えてますのでどちらかと言えばアメリカ寄りですね」

「へ~人に歴史あり、ウマ娘のレースにも歴史ありだな。普通に面白い話だぜな、んじゃ欧州のウマ娘的には日本のコースって走りにくいのか」

「ええ。欧州の芝と日本の芝は全く違います、ですので慣れる事を始めるのが大前提ですね。ジャパンカップに来た皆さんだってそうしている筈ですよ」

 

そうなると、自分は欧州の芝に適応する必要がある訳か……まあ、洋芝式のコースはアサマに聞いてみたらメジロ家所有であるらしいので練習は何とかなるだろう。

 

「因みに俺ってダートの適性はあると思う?」

「寧ろ何故無いと思うんですか?」

 

真顔で返球され、捕球できずに間抜けな声を上げてしまった。

 

「えっあんの?ダートだぜ、俺走った事ないのに」

「だって、砂浜をあんなに走れてたじゃないですか」

「いやだってそれならターボ達だって」

「ターボさん達よりも、ずっと足場の悪い波の中をタイヤを引きずって歩いていたんですよランページさんは。そもそもダートの適性があった方なんだと思います」

 

曰く、元々の素質的に自分はダートの素質もあった。でなければ砂浜特訓でもっと海の中に沈んでいたと南坂は断言する。A~Eの五段階で表現すると、最初からC程度の適性はあり、砂浜での特訓でそれがB程度には上がっているとの事。

 

「んじゃダート走ろうと思えば走れるって事か、俺ってば」

「はい。と言っても、ダートを専門にしているウマ娘に比べてしまうと劣ってしまいます。経験値が0な訳ですからね」

 

基本的に日本では芝が主流、故にダートの知名度も規模も劣っているモノがある。だが、欧州で勝つよりもアメリカのダートコースで勝つ方が幾分か現実的であるという意見もある。

 

「つまり、経験さえ積めば?」

「ええ、走れます。本当のバ場の適性なんて分からない物ですからね、芝の三冠を取ったウマ娘が実はダートの方が得意……なんて事もありえるんです。だからこそウマ娘の走りは奥が深いんです」

 

日本の芝はアメリカのダートコースのようなバ場の上に敷いた高速バ場、だから体感的にはアメリカの方が走りやすいとも言える。技術と経験さえ積んでしまえば、ランページは恐らく今の芝並みに走る事が出来る。いや、寧ろ平坦でスピードの出るダートコースでスピードを競わせるこそがレース、と考えるそちらの方が……とさえ南坂は感じる、そう、これまであったウマ娘と照らし合わせても……。

 

「ダートか……」

 

そう言えば史実でも実はダートの方が適正あったんじゃないか?なんて競走馬が居た、それこそ金色の暴君と言われる三冠馬のオルフェーヴル。産駒が馬場が重い方が活躍する、ダートでも活躍するから本質的には実はダート馬だったんじゃないか?なんて話があった事を思い出した。凱旋門も連続で二着だし、本当にあれはどっちなのだろうか。

 

「(……というか、あれ、もしかしたら何れこっちにもあれらが出てくんの?)」

「兎に角、海外への遠征を目途に入れつつ今年はその調整に使いましょうか。いきなり挑戦して勝てる程、甘い世界でもありませんし」

「だな、それには俺も賛成。嬉しい事に、挑戦状には来年の凱旋門とは書かれてなかったし……そう考えるとエルグッツかな、書いたの」

「ランページさんと同じくクラシッククラスですものね、そう考えるのが妥当かもしれませんね」

 

向こうだって、まさかいきなり殴り込みを掛けて来るなんて思わない筈だ。寧ろそれをやってしまったら自分は無謀なチャレンジャーにしかならない、それにロマンを感じない訳ではないが……そこまでロマンに命を掛けている訳でも無い、トレーナーの言う通りに走るだけだ。

 

「仮にこっちで海外に向けてのレース走るとしたら、何を走るんだ?」

「そうですね……日本でも洋芝の重賞レースがありますので、札幌記念ですかね。ダートは……来年の二月にG1がありますけど、目指してみます?」

「ああ、折角だから目指してみる」

「分かりました、それではそのようにメニューを考えて置きますね」

「悪いな南ちゃん、ターボにネイチャのレースもある上に、来年はライスにタンホイザがデビューすんのに……」

 

申し訳ない気持ちもある、かと言って遠慮するのも間違っている。それでも謝っておくのが筋だと思う。ハッキリ言ってカノープスの本格始動は来年から更に本格化する。ライス達の次はチケット、入部したいというウマ娘の事も考えたらさらに増えるかもしれない……それに、自分の代わりに会見に出たりと苦労を掛け続けている。

 

「大丈夫です、この位全然平気です。貴方のトレーナーは強いって知りませんか」

 

そんな不安を一言で振り払うかのように南坂は笑った。その笑みには本当の余裕がある、全く末恐ろしい、底が見えない深海の様だ。だが、同時に味方でいてくれるなら有難い存在もいない。

 

「頼むぜ南ちゃん、俺もその分走る」

「期待、させて貰いますよ」

「応よ任せとけ!!」

 

ハイタッチをする。矢張りこの人しかあり得ない、自分のトレーナーは。

 

「そうだ、南ちゃん一緒に写真撮ろうぜ。ウマッターで今年もお疲れ様、来年も頑張るって呟くから」

「すっかり慣れましたね」

「だろ?ってうわ……通知がすげぇ事になってる」

 

スマホの通知が凄い事になっている事に漸く気付いた、原因は勿論ウマッター。

 

「また、何かを上げたんですか?」

「いやさ、この前会長とちゃん先輩との写真を撮ってあげたら〈ライアンが居ない、やり直し〉ってコメント来たんだよ」

「それでライアンさんも入れて写真を撮ったと?」

「いや、ついでに会長がシービーさんを誘った。んで俺は丁度またタッちゃんに乗らない?ってメールをくれたマルゼンスキーさんも誘ったらなんかカツラギエースさんまで着いて来たんだよ。んで皆で撮った」

「やり過ぎです、ライアンさんが居ればその方だって満足だったでしょうに……」

「やられたらやり返す、倍プッシュだ!!」

「なんか違いませんそれ」




<誰が此処までやれと言った!!?>

そんなコメントが来るのは直ぐだった。
そして、またトレンド入りした。
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