貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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96話

「ランページさ~ん今日はありがとうございました~!!」

「ご一緒出来て光栄でした~!!」

「応、こっちもありがとな。今度配信に招待するから是非出てくれよな」

「という事は、ゲスト枠で?!」

「そういう訳で、イカよろしく~!!」

『イカよろしく~!!』

 

練習も一段落、腰を落ち着けながらものどを潤す。次走をフェブラリーステークスに決めているのでダートの経験を積む為の練習をお願いしていた、向こうも自分と走る事を光栄と思って好意的だった。

 

「お疲れ様です」

「南ちゃん、現状で何%ぐらいかな?」

「そうですね……7割ですかね、当日までには完成にまで引き上げるつもりです」

「そっか」

 

それならもっと上げられるように努力しなければ……ダートのG1で今の走りで行けるかどうかは分からない、芝と同じように走れるようにする必要がある。

 

「うおおおおおっっ!!ターボ全開~!!!」

「やれやれ、だけどこの距離なら持っちゃうからなぁターボ……だから仕掛けは早め!!」

 

視線を上げるとそこでは気合が入りまくっているターボとそれに付き合うように走っているネイチャの姿があった。気合が入るのも必然だろう、間もなく二人のクラシックの初戦が行われる。ターボはきさらぎ賞、ネイチャは共同通信杯に出走が決まっている。何方もG3の1800、クラシックの初戦だからと余計にやる気に満ち溢れている。

 

「ターボさんとネイチャさん、調子良さそうですね」

「だな。そういうお前だって快勝だったじゃねえか」

「私のプラン通りの完璧なレース運びが出来ました」

 

イクノはイクノで自分の東海ステークスより前に京都記念に出走し、勝利を収めた。ランページと一緒に出走しその後ろである二着の印象が強いイクノ、それ故か1番人気でありながらもマークを受けていなかった。そんな周囲をブッちぎって大差勝ちをしてのけた。

 

「イクノ先輩の走りも凄かったよな~あ~アタシも早くデビューしたい!!」

「来年にはデビュー出来んだから大人しく待ってろ、んでライスとタンホイザはどうするんだ?」

「早めにデビューを行って経験を積んでいただく事を考えています、何せ同期が同期ですからね……」

「ああ、トレセンの龍か」

 

頷かれる。ライスとタンホイザの同期にはかなりのビックネームが控えている、短距離にはサクラバクシンオー、マイルにはニシノフラワー、そして……中距離にはミホノブルボンが存在する。バクシンオーもフラワーも怖いのだが、距離が被っているという意味で一番怖いのがミホノブルボン。

 

「ブルボンさん、昨日は坂路を4本やってたよお姉様」

「私は2本が限界だったよぉ……」

「タンホイザ、2本でもすげぇよ」

 

坂路の申し子、サイボーグ、そんな風に言われたのがミホノブルボン。トウカイテイオーに続いて2年連続で出現した無敗の2冠馬、本来は短距離の血統だが、調教師の鍛えれば距離は走れるという理念を具現化するかの如く、徐々に距離を伸ばしてダービーさえも取った。ライスとタンホイザにとってこれほど恐ろしい同期は他にいないだろう。

 

「俺と同じ逃げだったな……南ちゃん、二人はブルボンに勝てるか?」

「長距離であれば確実に、中距離ですと……2400ならば勝ちの目はありますがそれより短くなると途端に厳しくなります」

 

ライスとタンホイザ、何方もステイヤー。長距離であれば無類の強さを発揮するのだが、中距離では最大限の強さを発揮するのは難しい。長距離を走り切れるスタミナをどんな風に使って中距離を走るのかというのが今の課題となっている。

 

「ブルボンをどうやって抜かすか、だな……まあいざとなったら俺がブルボンの仮想敵やるメニューを組めばいいしな。大逃げじゃ負けないぜ?」

「そうですね、ワールドレコード保持者がこういう時便利ですね」

「言い方ぁ…まあ二人もなんかあったら俺に直ぐ声掛けな、それに逃げならターボもいるし練習相手に困る事は無いだろ」

 

二人は確かに……と頷いた。そういう意味でブルボン対策メニューの構築は簡単なのかもしれない。

 

「向こうもどんどん長距離に適応してくるでしょうから、此方もメニューの構築を急ぐとします。その時はランページさんもお願いしますね?」

「任せとけ」

 

こういう時に役立ってこそチーム。それにライスの力になるのならば惜しむ事なんてあり得ない。

 

「えへへっお姉様と一緒に練習できると何だかポカポカして安心しちゃうね」

「そうだね~頼りになるもんね~」

「ランページさん、ランページさん大丈夫ですか?」

「―――……ハァッ!?マジで意識ぶっ飛んでた……やべぇよ一瞬父さんと母さんが見えた……なんか慌てて戻れ戻れ!!って言ってた気が……」

 

それを聞いて南坂は何も言えなくなった、チームの皆に話す訳にも行かないというのもあるが……尊すぎて昇天する、という話を聞いた事があるが本当に昇天するとそういう事になるのか……今までは笑って見過ごす事が出来たが、ランページの事を思うと本格的に笑えなくなってきた。

 

「ランページさんはどうしますか、長距離練習は」

「あ~……如何するかな、ぶっちゃけ俺には長距離はキツいと思うんだよなぁ……」

 

メジロと言えば天皇賞、ランページも一応メジロなので天皇賞の事を気にしていないという訳ではない。だが、天皇賞(春)は3200mでランページとしては少々長い。

 

「今はダートの適応もあるから最低でも今年はパスだな、狙うとしたら秋かな」

「分かりました、まずはフェブラリーステークスですね」

「ああ、そっちに集中だ」

 

そう言いながらも南坂はタブレットに予定を入力していく、先程は7割だと言ったが実際は8割を超えている。この調子ならば確実に芝のようにダートも走れるようになる……そして、そうなればいよいよ本格的に海外への道が開く事が出来る。

 

「さあ続きを始めましょうか」

「応よ南ちゃん」




「提案!!トレセンオープンキャンパスを君の配信でやるというのは如何かな!?」
「あんま調子に乗ってるとハテナに今度はみだれひっかきさせますよ」
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