迷子の魔物使い   作:火取閃光

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第11話

 いきなり現れたグレーターデーモンとデーモンロードの群れを瞬殺して何が何だか分からなくなっているハイエルフ達。

 

 流石の女神官もあんな大怪獣バトルは初めて見るものなので夢か幻か呆けていた。

 

「ゴブスレさん達、お待たせ〜。女神官ちゃん、呆けているとイタズラしちゃうぞ〜」

 

 バッとシュードは女神官の顔の前でニヤけ面を見せると彼女は驚き尻餅をつく。

 

「っ!? きゃっ!? や、やめてくださいよ!?」

 

「いや、オイラもゴブリンの血肉で濡れた女神官ちゃんを本気でイタズラしようなんて思わないよ? 汚いし臭いから」

 

 さっきまでのイタズラ顔から真面目にスンッとなって自分でも自覚している事を言われて女神官は激怒した。

 

「そ、そそ、そんな事を私が知っていますから!?」

 

 女として、淑女として別に意中でもない男性から真面目に相手にされない事へ女神官は恥ずかしい思いをした。

 

 女神官とシュードのやりとりにハイエルフ達は現実が見え始めたくらいには精神が回復したのを皮切りにシュードは大袈裟に背伸びした。

 

「そう。それじゃ帰ろっか」

 

 マイペースに何事も無かったかの様に出入り口へと引き返すシュードに呆れてモノが言えなかった。

 

「魔剣士、結局アレはゴブリンか?」

 

「ゴブリンの親玉で別種だと思いますよ? さっきのオーガの上司って自称してましたしゴブリンとは関係ないですよ」

 

「そうか」

 

「だから、依頼は達成しましたことですので帰りましょっか」

 

 もうこの砦には用がないと軽快なステップでもするかの様にシュードは歩く。

 

 久しぶりのモンスターバトルをしたからちょっとだけテンションが上がっている。

 

 まぁ、相手はショボかったからその点で言えばテンションは下がるがあの時のワクワクは今でも忘れずにいたのだった。

 

 アレが噂に聞く魔神王だったらなぁと内心ため息を溢しながらギルドが用意した馬車に乗りシュード達は帰還したのだった。

 

 しかし、数日が経過した後、シュードだけが冒険者ギルドから呼び出しをくらい尋問を受けていた。

 

「魔剣士さん、貴方達の報告書とギルド調査官の報告書を確認しました。これは全て事実ですか?」

 

「相違ありません。全て事実です」

 

 そう、シュードはグレーターデーモン達を相手取る為に本業のモンスターマスターとしてバトルした。

 

 旅の途中にも言った通りシュードにとっては最早冒険者ギルドに所属するメリットが無さすぎる。

 

 だから、正直に全てを詳細に書いた結果、今に至る。

 

 尋問は昇級で使われている部屋で行われておりベテランの受付嬢や嘘判定の奇跡使い、槍の銀等級とその相方の魔女の銀等級だ。

 

 嘘判定の奇跡使いの女がシュードの言葉に嘘はないとベテラン受付嬢へ話している間も槍の男はジッとシュードを戦闘態勢で睨み付けていた。

 

 まるで一瞬でも気を抜いてシュードから目を離せば自分は殺されると言う強者のモンスターと対峙している様で武者震いをしていた。

 

 冒険者ギルドとしてもこれには判断が困っていた。シュードは次元転移者である事や本業が魔物使いである事。

 

 そして、先日受けた依頼では魔神王の将軍であるオーガ以外にも魔神王直属の側近であるグレーターデーモンとデーモンロード複数体を討伐している。

 

 これがもしシュードが魔物使いでなければ今すぐにでも金等級か白銀等級として昇級させる偉業だが、当人は魔物使いである事を誇りに思っている。

 

 次元転移者と言う数百年から数千年に1人居るか居ないかの要するにこの世界の常識を持たない人種に何を言っても無駄なのだ。

 

「魔剣士さん……いえ、シュードさん。貴方には3つの選択肢があります。

 

 1つは魔物使いである事を辞めてギルドに属して偉業に見合った昇級をして王都へ向かう事です。

 

 2つは冒険者ギルドとして、街の役人にこの事を話して処分を受ける事です。

 

 3つは冒険者ギルドを辞めて街から出ていく事です。どれにしますか?」

 

「3つ目で構いません。これを返却しますね」

 

 シュードは受付嬢に紅玉等級の証を返却した。これでシュードは冒険者ではなくなった。

 

「……冒険者ギルドとしても受付嬢としてもその選択は残念で仕方ありません」

 

「元々、自分の世界に帰る為の情報収集でギルドには属していました。

 

 その中で、毎度のことの様にその世界で脅威になっている魔神王的な立ち位置のモンスターを倒せば帰れると思っていたのですが……」

 

「勇者様の存在ですか?」

 

「そう。勇者と呼ばれる存在がいて魔神王も倒されそうな勢いの強い存在がいるならオイラ、必要かなぁって思って……」

 

 あのグレーターデーモンですら恐る勇者と言う存在がある以上、協力して魔神王を倒すのかと思っていた。

 

 しかし、調べると勇者の強さは破竹の勢いで混沌勢を倒して行きこのままの勢いで魔神王を倒す勢いじゃないかと思った。

 

 つまり、魔神王はこの世界にとって脅威かもしれないが同時に脅威ではない存在なんだと素直に思ってしまった。

 

「……つまり、勇者様と言う存在が居なかったら魔神王を倒す事が元の世界への帰還する鍵だった、と?」

 

「そうなんですよね……。グレーターデーモン達も修行で良く行くダンジョンでは序盤で出る程度の強さだったので、魔神王も期待できなかったなぁって」

 

「っ!? オイオイ、マジかっ……!?」

 

「う、嘘は、つ、付いていません!?」

 

 シュードのぼんやりと呟く物騒な発言に槍と魔女は固まり、嘘判定の奇跡使いは嘘じゃない事に戸惑っていた。

 

 シュードは異世界を旅する中であの程度のモンスターとは何度も戦ってきた。

 

 会ったこともない魔神王。側近のレベルから考えても中ボス程度。ゾーマやシドーに比べれば淡いと思った。

 

「多分、精霊の加護が繋がっている辺り本当に不慮の事故臭いんですよね。多分ですけど……。

 

 まぁ、その内帰れますよ。それまでの間のんびりとモンスター達と暮らしていこうと思いますよ」

 

「そ、そうですか……」

 

「それじゃ、オイラはこの辺で。もしも、用事があればゴブスレさんの幼馴染の牛飼さんに言ってください。

 

 その隣人付近に家を建てて何でも屋みたいな事をするつもりなんで次からは競合他社ですね。よろしくお願いします」

 

 そして、意気揚々とシュードは退室する。もう、モンスターマスターだと言っても困らないから気が楽だった。

 

 冒険者ギルドはこの事を国に報告した。もう国に投げてしまえと言う投げ槍だった。

 

 そして、国もギルドと同様に驚愕してどう対応すれば良いのか分からなかった。

 

 まぁ、国に被害が出ているわけではないので次元転移者だし本人も誇りに思っている魔物使いと言う職業を特別に許してやろう。

 

 それが魔神王の側近であるグレーターデーモンとデーモンロード10体を倒したせめてモノ礼だ思い街の出入りの許可が出たのだった。

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