迷子の魔物使い   作:火取閃光

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第13話

 女神官ちゃんのオススメでやってきた水の街。

 

 何でも屋の知名度を上げるために頑張るぞーと意気込んだものの、街の人達は田舎者扱いをして碌に相手をしてくれない。

 

「はぁ。人間はやっぱり冷たいなぁ。仕方ない。アレをやるか……」

 

 売店でそこそこの量の魚を買い漁り指笛をする。水の街の人達は田舎者がなんかやっているとせせら笑っている。

 

 そうするとなんと言うことでしょう。水の街の中や外から猫や犬、カモメや海鳥が彼に集まってきた。

 

「この街で困っている事をオイラは解決しに来た。情報を提供してくれるならこの魚達をあげよう」

 

 猫達も指笛で来たのだが、まさか言葉が通じる人間がいるなんて驚き固まりびっくら仰天していた。

 

 水の街の人達も動物と会話をし出すシュードを見て道化の類だと笑っていた。

 

 しかし、水の街に実際に住んでいないと分からない事をペラペラと話出しては魚をあげるシュードを見て気持ち悪がって離れて行った。

 

 シュードの指笛は獣や鳥などの耳に良く通る音で何となくその後の発信源へ向かってしまうそうだ。

 

 シュードもこの特性を活かして人間の情報収集に上手く行かない時は餌代を確保してから獣達と交渉に入る。

 

 その方がより正確な情報を安く手に入れることができる。

 

 情報屋と言えどランクはかなり上下してしまい結果大損なんてよくあることだ。

 

 ランクが高いつまり信用度が高い情報屋ほどその情報に対しての対価はかなり吹っかけてくる。

 

 お金とかなら稼いで仕入れる事は可能だが、人によっては無理難題や宝石の類を要求される事があるのでこの方法を使っている。

 

 まぁ、その分情報屋からしたら滅法嫌われる。

 

 彼等からしたら命懸けで仕入れた情報を安く簡単に手に入れるのだから商売上がったりだった。

 

 彼等のお陰で水の街の困り事は何となく分かった。ただ、知名度を上げる為の獣医的な仕事は無さそうだ。

 

 ここは水産物の街。海洋魚類の類と共存でもと願っていたがそんな事はなく網船や釣りでの漁獲がメインらしい。

 

 冒険者ギルドでは傭兵な立ち位置に近いらしくモンスター討伐よりも貴族や商人の護衛依頼が多いらしい。

 

 一度拠点に戻ろう。ここではオイラのやる事はほとんどないだろうと思いルーラを発動して拠点に戻った。

 

「あ、シュード君帰ってきたの? 早かったね」

 

「牛飼娘さん、しばらくの間家の警備をありがとうございます」

 

「警備だなんて大袈裟だよ〜」

 

「いや、あの狂信者共のことだから悪魔の本拠地だ〜! とか言って家を燃やしかねないと思うので見ていた頂き感謝します」

 

「あはは……。でも、本当に良いのかな?」

 

 苦笑いした牛飼娘は回復の奇跡を家畜に使って良いのもなのかと疑問に思った。

 

「んん? 何がです?」

 

「回復の奇跡を家畜の為に使うのってさ……」

 

「回復なんて使うに越した事は無いんですよ。冒険者の場合は戦士とかに使えば継戦や生存能力が高まります。

 

 しかし、牛や豚、羊や鶏などの家畜と呼ばれるモノ達に使えばそれ等で生活している人達が救われます。

 

 どっちも人を救う力なんです。使わない事こそ神様に傲慢だとバチが当たりますよ」

 

「そう言うものか〜〜」

 

 どっちも人を救う力だと聞いて心にストンッと納得するモノがあった。

 

 家畜が居なくなればその人の生活が危ぶまれる。それは畜産業で生計を立てる自分達には1番分かっているからそう思った。

 

「それに俺の回復の奇跡は別世界のモノで回復の魔法となっています。それをこっちの法則で言われても……な所が正直な感想です」

 

「そう言えば別世界から来たんだっけ? 家族とかは?」

 

「居ないですね。5歳の時には孤児だったのでモンスターに殺されたか捨てられたかどっちかですかね……」

 

「……ごめんさなさい、私」

 

 ゴブリンを滅することに囚われた幼馴染を思い出してしまった。

 

「そんな事を気にしてないですよ。何だかんだで師匠に拾われてモンスターに恵まれている訳で悲しまれる事はないですよ。

 

 それにモンスターマスターになれば故郷に帰る時間の方が多分短いですので今回もそんな感じです」

 

「そっか……。私はこれしかしらないから行ってみたいな……」

 

「ぜひ、我が故郷である若葉の国へ来てみて下さい。ゴブスレさんもきて欲しいですけど……無理そうかな……」

 

「あはは……うん。多分無理だと思う」

 

 別の世界に自由に行けたとしてもあの幼馴染が簡単に行く様な場面は想像し難いモノがあった。

 

「割とあの世界では小さい島国なんですが、こっち換算では結構大きな領土を持つ大きな島国なんですよ。

 

 オイラはそこの伯爵位を持つ貴族なので島の目一杯を紹介出来るしなんなら王様にも紹介出来ると思うんですが、ね……」

 

「へぇ〜。その話本当なんだ〜」

 

「嘘じゃないですよ? 流石に王様もいきなり伯爵位はくれませんでした。

 

 しかし、7歳から旅を始めて1年ちょっとで男爵位の実績を作り、9歳の後期頃には国の代表になり子爵位を貰ってからの伯爵位ですからね。

 

 まぁ、賛否両論です。主に男爵からでしたが……こんなポッと出の孤児に伯爵位は勿体無いとか言って王様を激怒させてましたしね……」

 

「でも、貴族か〜。ちょっと憧れちゃうな〜」

 

 貴族でフリフリのドレスに煌びやかな宝石を纏う自分を想像して少女趣味かなと笑った。

 

「憧れでよしておく方が良いですよ? 実際には学ぶべき事が多過ぎて貴族らしい事なんて出来ませんでした。

 

 オイラにはモンスターマスターとして旅をして人やモンスター達と関わりのんびりする事が好きですから」

 

「モンスターマスターが本当に大好きなんだね〜」

 

「こっちの世界で言うと国同士で代表を立てた武闘大会や魔術大会に近い感じでしょうか?

 

 それで最強の戦士や魔術師を決める類の大会にオイラは10歳で出場して5カ国中の3位でした」

 

「10歳って歴代の出場者でも最年少だったんじゃないの?」

 

 実際に例えられて聞くとそんな凄い大会に10歳で出場した事すら凄いと思っていたが当の本人が否定した。

 

「そんな事もないです。今でも語り継がれる伝説のテリー選手とミレーユ選手弟姉はもっと低い年齢でした。

 

 弟のテリー選手は大樹の国と言う5カ国最大国家の代表に7歳初出場で優勝しました。

 

 姉のミレーユさんは丸太の国と言う歴史深い国の代表に9歳初出場準優勝を飾りました。

 

 そして、この2人は決勝戦で争いその年の星振りの大会で優勝争いをしたのです。

 

 僅か1桁同士の姉と弟がその年の大会の優勝争いですよ? オイラも見たかったな……。

 

 だから、モンスターマスター界隈では2人は伝説の勇者として語り継がれているのです」

 

「それはすごいね……!!」

 

「そうなんですよ! あっ!? お仕事中なのに長々とすみませんでした」

 

「良いよ。休憩中だったし良い話が聞けたから」

 

「えぇ、オイラもモンスターマスターの話が出来て良かったです。また話しても良いですか?」

 

「良いよ。その時はまた面白い話をして欲しいな」

 

「楽しみにしていてください。オイラ達の冒険譚は飽きさせませんから」

 

 それ以降度々牛飼い娘は休憩中にシュード達の旅の話を聞くことが楽しみの1つになっていた。

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