迷子の魔物使い   作:火取閃光

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第16話

 ある日の早朝の事だった。

 

 ゴブリンスレイヤーが日課をこなしていると牛飼さん達へ向けて大規模のゴブリン軍勢が押し寄せてくる予兆があると言ってきた。

 

 その為、最近まともに戦えずフラストレーションが溜まりっぱなしのモンスター達を解き放つ方向で話し合いが勧められてた。

 

 ゴブリンスレイヤーも冒険者ギルドにその旨を伝えて警告と勧告をして掃討作戦に望んだ。

 

 警告とはゴブリンの大群が牛飼さんの家を通って街に来るかもしれない事で十中八九ゴブリンロードがいる事であった。

 

 そして、勧告とはその間に森に一切近付かない事で、万が一にもシュードのモンスターへ攻撃した場合は敵対行動としてゴブリン同様の対応をすると伝えて貰った。

 

 掃討作戦に挑むメンバーはレオ君とシュードのペア。トルレちゃんとゴブリンスレイヤーのペア。バウムレンは全体のサポート。牛飼さん家にはロックンを配置した。

 

 牛飼さん親子とは既に何度もモンスターを出して交流していて、生理的かつ人間的にダメなレオ君とトルレちゃん以外の2匹とは撫でる程度の関係な為にこの配置だ。

 

 冒険者ギルドも協力を願ったが討伐に関してはこの布陣の方が効率的なので、それ以外の人質とかの回収は任せた。

 

「みんな、存分に暴れても良いけど森や草花はあまり燃やさない、薙ぎ倒さない様にね。それじゃ、ゴブスレさん行こうか」

 

「あぁ、ゴブリンは殲滅だ」

 

 そして、放たれるモンスター達による暴力の時間だ。

 

 トルレちゃんはドラゴンの見た目の割にオイラが信頼した人の言う事は聞きやすいからゴブリンスレイヤーとペアに組んだ。

 

 ゴブリンロードは逃げた。まさかあの森にあんな化け物達が暴れているなんて知りもしなかったからだ。

 

 キングレオもバトルレックスもキラーパンサーもゴブリン種を絶滅に追い込む勢いで殺しまくる。

 

 その光景を見たさに冒険者ギルドから冒険者達が牛飼さん家に集まるが顔色が悪いと言うか顔が引き攣っていた。

 

 キングレオ達からなんとか森を抜けて行くゴブリンライダー達数十匹に対してロックンのマヒャド発動して氷像と化す。

 

 特に魔術師達はロックンのマヒャドに戰慄を覚えた。あんな大規模魔法を詠唱も予備動作も無しに扱う技量に驚いていた。

 

 また、裸な女の肉盾を構えていやらしく森から出で来るゴブリン達は、闇世の中を閃光の如く疾走する地獄の殺し屋によって気が付いた時には自身の首が刎ねられていた。

 

 戦士達は目では追えないそのキラーパンサーの素早さに驚愕しながら人質を回収する。

 

 バウムレンはパワーや技、耐性などでは他の3匹には劣るが素早さのみに関しては物理最強のレオ君に勝る。

 

 当人も自身の実力差など当に理解しているからこそ走るのが大好きだからライドモンスターとして位置していた。

 

 力自慢のボブゴブリンやゴブリンチャンピオンはキングレオのレオ君によって握り潰され、叩き弾け飛んだ。

 

 シュードも彼等に負けじと風を解放してゴブリンの位置を察すると闘気剣で速やかに首を刎ねた。

 

 ゴブリンロードは逃げながら考えた。

 

 先の索敵の際にはこんな化け物がいるなんて知らなかった。一体自分達が何をしたと言うのか?

 

 自分達はゴブリンとして生まれたからには女を犯して種族を増やす。真っ当な生物としての本能を行ったに過ぎない。

 

 それを何故こんなにもゴミの様に同胞が殺されて行かなければならないのだとこの理不尽な惨殺に怒りを覚えた。

 

 そして、ゴブリンロードの運命は逃走の末に潰えることになる。ゴブリンを狩るゴブリンスレイヤーとトルレちゃんペアに遭遇した。

 

 ゴブリンロードは驚いたが同時に好奇と思った。あの鎧の人間を殺してドラゴンを従わせれば戦況を覆す事が出来るとそう思った。

 

 きっとあのドラゴンはあの鎧の人間に従うモンスター。なんらかの道具であのドラゴンを従わせているに違いない。

 

 そうじゃなきゃあんな化け物が人間なんかに従うなんてあり得ない。それ程までに格の違い、力量の差を感じていた。

 

 そう思ってゴブリンロードはゴブリンスレイヤーに勝負を挑んだ。

 

 それに習いゴブリンスレイヤーも応戦するかと思いきや初手から毒が塗られた短剣を投擲する。

 

 刺された箇所から毒が全身に周りふらつくゴブリンロードを他所に今度は的確に目を潰す様に投石を繰り返す。

 

 全人に巡る毒と投石による微量のダメージが積み重なってゴブリンロードを追い詰める。

 

 しかし、ゴブリンロードにはこのやり方には覚えがあった。自分達も同様な事をやっているからだ。だから身に覚えがあった。

 

 そして、戦斧すら持つことが出来なくなったゴブリンロードに向けてゴブリンスレイヤーは確実に仕留める為に今度は胸へ槍を投擲した。

 

「モ、モウ、ユルシテ、クダサイッ……! タスケテ、クダサイッ……!!」

 

 ゴブリンロードはこの理不尽な運命を呪い自分達に泣いて縋った人間の様に涙を流しながら同情を誘った。

 

 しかし、それはゴブリンスレイヤー相手にとって最悪とも取れる悪手だった。

 

「ゴブリンは殲滅だ。お前はロードではなく唯のゴブリンだっ……!!」

 

 ゴブリンスレイヤーの剣がゴブリンロード、いやゴブリンの首を切り飛ばしてこの騒動は終わりを迎えた。

 

 勿論、報酬は日給金貨1枚だったが流石のゴブリンスレイヤーも悪いと思ったのかロードが持っていた戦斧とご飯を奢ったのだった。

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