迷子の魔物使い   作:火取閃光

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第17話

 ある雪が多い冬のことだった。

 

 ゴブリンスレイヤー宛てに剣の乙女から冒険者ギルド経由で手紙が届いた。

 

 その内容はあるご令嬢が親元を離れて冒険者となり行方不明になったことだ。

 

 そして、その内容とはゴブリン退治にの依頼となっていたらしく両親は音信不通となった娘の捜索を頼む依頼があったらしい。

 

 その際にも日給金貨1枚でゴブリンスレイヤーさんには来て欲しいと熱い言葉に雇われた。

 

 何でも、冬の山奥にゴブリンの拠点があるらしくその近くの村からのサポートも期待出来なく食糧難が起こる可能性があるらしい。

 

 道具袋の中身を久しぶりに改めて保存食多めにチェンジして最悪の場合の籠城要因としての人材が欲しいらしい。

 

「しっかし、なんでまた令嬢さんが冒険者なんてやっているんですかね……?」

 

「ん? どう言う事だ?」

 

「いや、お主も伯爵位を持っておるじゃろ?」

 

「いや、それとは違くて……」

 

「何でも屋は何が言いたいの?」

 

「多分、何でも屋さんとご令嬢さんの経過は似ている様で違うと思います」

 

「つまり、冒険の末に爵位を手に入れた何でも屋殿と生まれながらにして貴族のご令嬢殿と言うわけですな」

 

「そう言うことです。代弁してくれてありがとうございます。寒くは無いですか?」

 

 雪山を探索するに辺り1番寒さに苦手意識を持っていた蜥蜴僧侶にオイラはメラと風を使い温風をパーティへ循環させていた。

 

「あぁ……。拙僧、寒い土地には凄く苦手意識があったのですが……何でも屋殿の風は暖かくて心地よいですな〜」

 

「ちょっとした魔法との応用です。オイラも寒過ぎる世界で旅していた時はこうして火の魔法に風を操作して温風を作っていました」

 

「なるほど、なるほど……。これは心地よい風ですな……!!」

 

 蜥蜴僧侶は雪山で凍える心配がないと言う状況に涙していた。

 

 冗談抜きで雪山に登ると言う事は死すら覚悟しなければならなかったらしいほど種族的に寒さがダメらしい。

 

「いや、確かに心地良い風だ。寒さはどうしても体が固まってしまう。そうなればゴブリンを殺す時に手元が狂ってしまうからな」

 

 温風はゴブリンスレイヤーさんにも大好評らしく言葉足らずな彼からお褒めの言葉を受けた。

 

 ゴブリンが根城としている雪山の近くにいるゴブリンをいつもの様に殲滅する。

 

 しかし、死体の扱いや人質を纏めるやり方から知恵者であるシャーマンの類がいる予想があった。

 

 ご令嬢のパーティは数日前までこの村に来ていたらしく冬の雪山で籠城作戦を行い食糧難に陥ったらしい。

 

 そのことも含めてゴブリンスレイヤーはご令嬢が籠城したとされる拠点を発見して同様に籠城する。

 

 ご令嬢とは違いこっちには道具袋と背負い袋に保存食を詰め込んだ何でも屋がいるのだ。

 

 一体何ヶ月籠城する気なのかとゴブリンスレイヤーに笑われたほど馬鹿げた量を持っていた。

 

「さてさて、敵はどう出るやら……」

 

「恐らく斥候か何かが来てお互いに籠城戦をするだろう……。ゴブリンの巣はここでは無くもっと奥にある砦だろうな……」

 

「おい、何でも屋! 酒が足りんぞー!」

 

「拙僧はあのチーズをっ……!!」

 

「ドワーフさんは飲み過ぎない様にね……。僧侶さんはチーズ以外にもこれをどうぞ。お口に合えば良いのですが……」

 

 ドワーフは雪の山奥なのに酒が飲み放題状態と聞きシュードへ酒を要求して、蜥蜴僧侶はチーズを求められる。

 

 しかし、シュードはチーズ以外にも鍋で温めた故郷であるワカバに古くから伝わる蜂蜜生姜入りのミルク煮を飲んでほしくて渡した。

 

「これは?」

 

「牛飼い娘さん親子にも好評だった蜂蜜生姜ミルクです。オイラの故郷だとこう言う時期にはよく飲んできたので宜しければ」

 

「頂こう。っ!? こ、これはっ……!? 体の奥底までじんわりとし温まり大甘露なり!!」

 

 焚き火に焼いたチーズを頬張りながらもチーズとは少し違ったクリーミーかつじんわりと体を温めるほんのりとした甘さの飲み物を気に入ったそうだ。

 

「ハハッ。それは良かった。師匠とは違いオイラが孤児だった時に拾われた方も牛飼いの老夫婦だったので子供の時は良く飲んでました。皆さんも是非飲んでみてください」

 

 そして、シュードは鍋で煮詰めた飲み物を配り始めた。作っていたらなんだが故郷のワカバが懐かしくなったのだった。

 

「確かに美味しい……!? 優しい味のに温まる……!!」

 

「えっ!? 本当なのそれっ!? どれどれっ……!? 美味いじゃないっ……!? これっ……!!」

 

「あぁ、こう言う寒い日には似合う何処か懐かしい味だ」

 

 ゴブリンスレイヤーもホッとする味がする飲み物に舌鼓を打つ。だからこそ、シュードも自身の過去を打ち明けたのだろう。

 

「オイラは5歳で孤児になったのも正確ではなくて、牛飼い老夫婦がこの時期に子牛に混じって親牛の乳を吸っている子供がいるって発見されたみたいです」

 

「それはそれは……」

 

 同情や哀れみの視線がシュードに突き刺さる。

 

 老夫婦も発見した時はびっくりした事だろうがシュード自身なんで牛の乳を吸っていたかまではまるで覚えていなく苦笑していた。

 

「本当に何も覚えてないんですけどね……。親がモンスターで死んだのか、はたまた捨てたのか……。

 

 それともなんらかの事情があったのかは知りませんが、子牛と混ざり乳を吸いあっていたらしいです。

 

 多分この頃には既に獣の声を理解出来ていたのだと思います。

 

 拾った老夫婦には子供がいなかった事もあり、大体5歳くらいだろうと決まりましたので正確に5歳だったかは知りません」

 

「それじゃ、お主は15歳以下の可能性もあるって事かのう?」

 

「多分、あり得るんじゃ無いですか? その辺はオイラの国って大雑把な事も多かったので……」

 

 師匠も老夫婦もその辺りが大雑把な印象だ。その当時のシュードの周りにはマトモな大人と呼べる人は少なかったからそう思った。

 

「つまり、私がお姉さんの可能性もあるって事ですね!」

 

「あっ、いや、まぁ、そう言う可能性も無きにしも非ずってだけです。公表している年齢は同い年。だから、突然お姉さん風はやめて下さい」

 

 シュードを見てお姉さん振る女神官に嫌気がさしているのかブルブルと体を振りそれは拒絶した。

 

 その対応に女神官はシュンッと落ち込んだが、ちびちび飲む蜂蜜生姜入りミルクの味に次第と元気を取り戻したのだった。

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