迷子の魔物使い   作:火取閃光

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第26話

 風の精霊のアザを持つ者とはどう言う存在なのだろうか?  

 

 この質問に答えがあるのであればそれは風の化身、風の申し子など、風の精霊をその身に宿しながら生まれた聖人共呼べる正に風の神に愛された子と呼ぶべきが存在だろう。

 

 シュードの両親や一族は未だ不明ではあったがワカバ王やシュードの師匠達には想像は付いた。

 

 風の精霊を祀る巫女の様な一族である。シュードのいた世界では精霊信仰が主にされている。

 

 精霊ルビスと同格の火、水、風、土、光、闇の6つの精霊と原初に生まれし炎、雷、渦で構成されている。

 

 精霊ルビスは別にしてこの9個の精霊達は神代の頃に生まれてそして、世界の行く末を見守ってきた。

 

 その多くは神器と呼ばれるモノへ封印されたりして神座になった場所を特別な種族が聖域として守護してきた。

 

 その一方で時代が進むにつれて、それらの精霊達を宿せる人間達が現れた。それがシュードの様な存在である。

 

 彼等はその精霊に愛されて生まれてきた故にその体にはその精霊を表す紋様の様な聖痕を残すのだ。

 

 精霊と言う一種の神の力に耐えうる力と同化した者を神の子供達と呼ばなくてはなんと呼べば良いのだろうか?

 

 その答えは1番シュードが欲していた。人か神かも本人は分かっていなかったのだからだ。

 

 その昔、聖風の谷と言う風の精霊信仰をしていたリファ族と言う翼が生えていた一族がいた。

 

 彼等は天空人と言う神が戯れに人の間に子供を作ったとされる人物の血を受け継ぎ祖先に持つ一族だ。

 

 シュードの一族はまさに彼等の末席だ。絶滅したとされる彼等の最後の血を継ぐ一族に風の精霊はその体に聖痕を残した。

 

 強い神や精霊の血と気配を持つシュードは恐らくその特性上モンスターに襲われやすくなり、彼を守ろうとして両親が死んだのだろうと分かった。

 

 なんて悲劇に満ちた人生なのだろうと思っていたが、当の本人には更に賢者体質と言うモンスターマスターの才能があった。

 

 だから、シュードの師匠である神官ガイアは彼が生き残る為に、彼のモンスターが死なない様に厳しく訓練を付けた。

 

 そして、シュードは人として生活するためにあえてその風を封じて生きてきた。

 

 それは自身の所為で邪悪な眷属供に目をつけられてしまい襲われるのを防ぐためでもあった。

 

 ただ、ハイエルフの里はシュードの故郷にそっくりな空気があり気も緩んでいた事もあったのだろう。

 

 そして、鳥達と話し風で音を奏でながら過ごしている内に理不尽な目にあって、憤りを抱えている竜を見つけてしまい慈しみを持ち慰めた結果が今回の一件へと繋がる。

 

「あぁ〜だから、隠していた訳では無くてですね……。まさか、こちらのハイエルフやドワーフも精霊信仰をしているとは思わなかったと言いますか……」

 

「そ、そうじゃったのか……」

 

「そ、そう言うことね……」

 

 シュードの言い訳に対して頭の中に入ってくる事が出来ず今もなお困惑しているハイエルフ達を見て彼は謝罪の姿勢だった。

 

「……不徳の限りです。風は生まれながら手足の様に使えていたモノですごく便利なんです。

 

 だから、故郷ではある程度の強さは持ち合わせていたので時折ああやって解放していたのです。

 

 その癖みたいな条件反射がこの里に入った時に誤作動をしてしまったみたいでですね……。申し訳ない限りです」

 

「……つ、つまり、シュードさんと地母神様は……!?」

 

「う、うーん……。大地の精霊が地母神と同等だとすると……そう言うことになる、かな……??」

 

 親戚みたいな感じになると暗にそう言うと女神官ちゃんがサザっと跪いて許しを乞うた。

 

「も、もも、もも申し訳ございませんっ……!? こ、ここ、これまでのご無礼を、を、お許しくださいっ……!!」

 

 女神官はシュードの事を友人の様に思っていたからあんなに無礼な事を言い合っても許し合える立場にあると思っていた。

 

 しかし、謝られた方のシュードはと言うと悲しそうに、それでいてまた友人を失った気持ちになっていた。

 

 蜥蜴僧侶も女神官の様に謝罪こそ無かったモノの跪いて目には涙を浮かべて尊きモノを拝んでいる様な姿勢だった。

 

 いや、そうだよなとシュードは思っていた。友人の様に騙っていたのは自分自身だ。こうなるのも分かっていた筈だ。

 

 だから、あっちの世界でもシュードの友人関係は意外と狭い。

 

 幼馴染の王女アニエスと弟王子のリーダス、師匠のガイアとルイス老夫妻、そしてワカバ国王陛下くらいだ。

 

 女神官さんの後ろに控える牛飼娘さんやベテラン受付嬢も恐れ慄いてマトモに目を合わせてから無い。

 

 とても悲しいが正体を隠していたと思い頭を掻いていたらゴブリンスレイヤーが肘打ちをして質問する。

 

「おい、何でも屋。お前はゴブリンか?」

 

「っ!? ふははっ!! 違いますよ。オイラはオイラ。何でも屋ですよ」

 

 何を聞くのかと思えばゴブリンスレイヤーのいつも通りさにはシュードも泣き笑って答える。

 

「……それなら良い。契約は続行だ。ハイエルフの奥にいるとされるゴブリンを殲滅する。手伝え」

 

「はいはい。その代わりに! 日給金貨1枚は忘れないで下さいよ。ゴブスレさんならそれで良いので」

 

「あぁ、勿論だ」

 

「それとこれはお礼です。ありがとうございます」

 

「んん? なんの話だ?」

 

「さて、なんと話でしょうかね……」

 

 惚けるゴブリンスレイヤーは本気なのか嘘なのか分からないがとても安心した風の面持ちでシュードは部屋を出た。今は1人になりたかったのだ。

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