こっちの世界に飛ばされて数日が経過した。
旅の扉で落っこちた場所へ毎日の様に行き来しているが扉が繋がる様子は見られない。
その間にもオイラ達のお腹は減っていくから冒険者ギルドで斡旋された依頼を地道にこなしてお金を稼ぐ。
こう言うのは他の世界でも同じだが、大抵の世界ではモンスターマスターとして依頼を受けるのでちょっと違和感が拭えない。
まずは、オイラのギルドランクは新人の白磁からスタートとなった。でも、正直得られる報酬ではモンスター達の食事代は賄えない。
その為に、ゴブスレさんに頼んで質屋と鍛冶屋を教えてもらい使わない魔剣:真空の剣を売り払った。
この魔剣は前回の旅で得た物だが、普通に預け忘れた物で"真空よ,,と言いながら剣を振りかざすとバギと同じ程度風の刃が放たれる。
正直、バギ系統は一番得意。孤児だった俺を拾い養子にしてくれた神父が得意としている魔法だから鍛え上げた魔法だ。
その為、異世界の商人に高く売る為に持っていた物だったが預け屋に預けられない以上とても嵩張っていた。
いつもお世話になっている異世界の商人では無い為、安く買い叩かれると思い苦渋の決断をして売るが予想に反して高額で売れた。
こっちの世界では魔剣そのものが珍しいらしい。状態も良く何よりも込められている魔力が多いんだとか。
むしろ、魔剣を手放して喜ぶオイラを見て鍛冶屋の親方は奇妙な者を見る目で見て来たくらいだ。
さて、それはそうと今日は黒曜級への昇格らしい。冒険者ギルドではある程度依頼をこなすと昇級と言う面談が行われる。
登録時の受付嬢が何やら嘘を見抜く奇跡保持者だったらしい。
奇跡とは何かと説明するのであれば信仰する神から授けられた魔法的なモノでオイラで言うわたぽんのルーラ的なものだ。
その為に、オイラが熟練の魔法使いで剣も使えて一度に倒すモンスター量も新人では無いかと来たからさっさと昇格させようと言う腹だそうだ。
「それでは、黒曜級への昇格面談を始めます」
「よろしくお願いします。それで、そちらの方達は?」
受付嬢との面談と聞いていたが彼女の側には冒険者らしき人物がいた。どうやら護衛を任されているらしい。
「こちらは、今回の面談を一緒にして頂く冒険者です。あり得ないと思いますが面談の結果次第では昇格不可もあります。
その際に、こちらへの暴行などが無い様に護衛も兼ねていますので、変な気は起こさない様にお願いします」
「分かりました。よろしくお願いします」
「それでは、昇格面談を開始します。嘘は見抜けますので嘘付かず正直にお答え下さい」
面談は淡々と話している内にあっという間に終わった。
昇級というのだからもっと無理難題を言われるのかと思っていただけにあっさりとした事に拍子抜けした。
「ありがとうございました。これで面談は終了です。お二方は何かありますか?」
「それでは、一つだけ良いかな?」
「答えられる範囲であれば良いですよ」
騎士風の女性が手を挙げて質問する。
「君は、魔法行使が4〜5回と言っていたが……本当か?」
「えーっと……。そちらのギルド職員さんが嘘だと言っていないと思うのですが……」
「ああ、いや、失礼した……」
「正直言って、白磁でその力量は信じ難いものがあってね……」
騎士風な女性をカバーする為に魔法使いの女性が語りかける。やはりこっちの世界だと魔法や奇跡は回数は回数で決まるらしい。
「そうだな。本当なら是非ウチの一党に来ないか?」
「強力な魔法使いはどこに行っても重宝されるって事ね。それも、武器での自衛が可能ってなれば是非来て欲しいくらいさ」
「あはは……。お気持ちは嬉しいですがしばらくの間はオイラ1人でなんとかやってみる感じです。
ここはオイラの故郷とは違う土地なので挑戦すると言う意味を込めてやっていきたいのです」
「……そうか。それなら我々疾風の騎士はいつでもソナタを歓迎しよう」
「そのご縁があったらいつでも言ってちょうだい」
「ありがとうございます。ご縁があればよろしくお願いします」
そして、面談は終了してはれて黒曜等級へランクアップを果たしたのだ。
これで1回に受ける報酬は白磁の時よりも多くなって生活が安定しそうになる。
あのゴブリンスレイヤーはここら一体を指す辺境の土地では最高位の銀等級らしい。
しかし、ゴブリンばかりを倒している事から他の人から蔑まされているらしい。
酒場を通る度にいつもそんな事を言う人達がいる。
と言うか1番人に危害を加えているモンスターなのだからもっと危険度と言うか等級を上げるべきだと進言した方が良いのかと疑問に思った。
誰でも倒せるほど弱い事と人に害を出す事は釣り合う事はない。弱いモンスターならそれなりの戦い方がある。
オイラ達モンスターマスターはそうやって弱いモンスターが強いモンスターと戦うにはどうするのか? を常に考えて来たからそう思うんだろうか?
答えは出ないと思いながら今日もゴブリンを討伐したゴブリンスレイヤーと遭遇する。
「ゴブリンか?」
「あの時の迷子です。今日は黒曜等級に昇格しました事を報告に来ただけですよ」
「そうか……。ゴブリンの依頼はあるか?」
「ゴブリンスレイヤーさん!? 流石に連続は危険ですよ!?」
「あるのか? ないのか? どっちだ?」
「あるにはあるのですが……」
「それなら、オイラがついて行きましょう。少しは役に立つはずです」
「それなら、彼をどうかよろしくお願いします」
そして、彼と共にゴブリン対峙に向かう。途中、ゴブリンの血液を掛けられそうになったから匂い消しを使いなんとか過ごした。
ゴブリンスレイヤーはゴブリン殺しのプロフェッショナルなのかと思うほど意識と殺意が高いと思った。
まあ、人里を襲い女性を強姦する習性があるモンスターなんだ。逆に殺されても文句はないだろうと思い依頼を片付けた。