迷子の魔物使い   作:火取閃光

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第5話

 白磁等級の臨時パーティを助けてから数日が経過した。またもや等級昇級をしたらしい。

 

 経験点はそんなに稼いでいないと思っていたが、白磁等級の臨時パーティを助ける際にボブとシャーマンを含む十数体を倒して尚且つ全員無事に生還させた事が評価されたらしい。

 

 ゴブリンスレイヤーは銀等級ではあるが全員無事に生還出来たのはオイラのお陰と報告したらしい。

 

 その為にオイラは黒曜等級から鋼鉄等級へ昇給した。それは良いんだけどここまで来ると昇級に対するメリットがオイラには無い様に思えた。

 

 モンスターや盗賊の討伐などやれる事が増えてその分の報酬も大きくなるが等級が増える毎に人の視線と言うか嫉妬が増えて面倒に思う。

 

 それに等級が増える毎に冒険者ギルドからの指示系統の依頼や貴族の指名依頼も増えて面倒が多い。

 

 今の依頼料金でも日々の生活に不自由なく暮らせているからメリットよりもデメリットの方が現状多い。

 

 今日も何か良さげな依頼があるかなと思い冒険者ギルドへ入ると1人ポツンっと座っているゴブリンスレイヤーがいた。

 

「ゴブスレさんじゃないですか! 3日ぶりですね〜」

 

「……魔剣士か、鋼鉄の昇級おめでとう」

 

「どうも。あの時の白磁を助けた事が経験点になったみたいて昇級しちゃいましたけど、その分嫉妬の視線が多くて面倒でしてね……」

 

「そうなのか?」

 

「まぁ、これからはボチボチ仕事をやっていけばその内治ると良いとは思っていますよ」

 

 冒険者ギルドではゴブリンスレイヤーと仲良さげに話しているのが珍しいのか陰口でボソボソと何か呟いている。

 

 やれ雑魚狩り専門の銀等級の恥知らずやら、やれズルして鋼鉄等級に昇級した奴が雑魚狩りと連んでいるやら色々だ。

 

「皆さんも暇そうですね……。それよりもゴブスレさん、やっぱりゴブリンに対する危険度修正をギルドに訴えましょうよ?

 

 やっぱり冒険者ギルドに言って昇級の試練とかにして追加をお願いした方が良いですって。

 

 今の温い環境じゃ良い人材は育ちませんって。ゴブリンの狡賢さを知らずに雑魚雑魚言っているマジモンの雑魚を育てる仕組みは良くないですって」

 

 ゴブリンスレイヤー達に陰口を言っていた冒険者ギルドが一気にシーンと静まり返った。

 

 シュードは色々な世界を旅しているけどここまで人や村規模で危害を出す魔物に対して舐めて掛かる世界は初めてで逆に驚いた。

 

 どこの世界も魔王や魔神の勢力に怯えていたけど決してスライム1体とは言え舐めて掛かるのは王侯貴族の世間知らずくらいだ。

 

 スライムだってそこそこの数が揃えば村を壊滅に追い込むくらいは出来る。それだけ危険なんだ。

 

 だから、これはシュードの本心だった。別にゴブリンスレイヤーを庇うつもりはないが流石にどうなのかと疑問を呈した。

 

「オイッ! テメェッ……!! それって俺達に言っているのか!?」

 

 若い青年がシュードの言葉に怒りを感じる。それと同時に依頼書の掲示を待つ人々からもシュードに対する不満や怒りが爆発する。

 

 シュードに絡んできた彼は紅玉等級の冒険者でもう直ぐ銅等級へ昇格が認められる者だった。

 

 だから、ゴブリンと言う雑魚しか倒さないで銀等級のゴブリンスレイヤーには元々かなりの不満があった。

 

 そこにシュードの言葉が着火剤になり怒りに変わる。シュードは終始和かでまるで自身を相手にしていない。

 

 その態度が若い青年には耐えられずシュードへ殴りかかったが直ぐに視界が天井をむいていて右目にシュードの指が当てられていた。

 

「はい、これで貴方は1回死にました。まぁ、ゴブリンなら地形を活かして同じ事をしてくると思いますよ?

 

 その為に転んだ時点で頭に防具が無い貴方は暗転していたでしょうね? 良かったですねここが実戦ではなくて。

 

 筋力自慢の前衛タイプなのでしょうがもう少し冷静になって足元を気をつけた方が良いですよ? じゃないと今度は罠で死にますからね?」

 

 冒険者ギルドではざわめきが起こる。若い青年もその周囲の人々もシュードが何をしたのか分からなかった。

 

 シュードも10歳未満の時は色々とやんちゃをしては死亡してわたぽんに元の世界へ戻されて養父に怒られたもんだと思った。

 

 まぁ、10歳未満で各世界に旅させられたのは今考えるとかなりやばい事案だけどその経験が彼を強くした。

 

「すいませんね、ゴブスレさん。余計な事に巻き込んでしまって……」

 

「いや、良い。慣れている」

 

「それもどうかと思いますが……。おっ? 依頼書の発行らしいですよって行きませんか……」

 

「あぁ、どうせゴブリン案件が残る。行くのは無駄だ」

 

 シュードはゴブリンスレイヤーを冒険者の玄人認定している。

 

 だから彼を敬語で対応しているからか陰口を言う若い冒険者は彼の評価を見直していた。

 

「さてと、冒険者もはけた事ですし行きましょうか?」

 

「ん? お前はお前の依頼を受けるのではないのか?」

 

「まぁ、良いじゃありませんか? 旅は道連れ世は情けって言うじゃありませんか?」

 

「そう言うものか」

 

「お? ここは前に近場へ行った事がありますね。ついでに試したい魔法もあるのでこれを受けさせて貰えませんか?」

 

「まぁ、良い」

 

 ゴブリン討伐の依頼を受けてギルドの前に2人は立った。そして、シュードがルーラの魔法を使うと2人は消える様に依頼主まで飛んで行ったのだった。

 

 その時、周囲はかなり騒めいた。それはそうだシュードの魔法とは言え2人が消える様に飛んで行ったのだから。

 

 そして、若い紅玉の冒険者は喧嘩を売る相手を間違えたと思い後悔する。

 

 あんな失伝魔法の使い手だとは思わず、コネを作ることができなかった事に頭を抱えていた所を仲間に慰められたのだった。

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