迷子の魔物使い   作:火取閃光

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第7話

 目的地まで歩いて行き夜になり食卓を囲む。各々が持ってきた食べ物を分け与えて食事が進んでいく。

 

「ねぇ! みんなってさどうして冒険者になったの?」

 

 ハイエルフの興味本位の言葉に全員が興味をそそられる。ドワーフはそりゃ美味いものを食べる為に。

 

 蜥蜴人は修練の末にドラゴンになる為に。ハイエルフは外の世界に憧れを持ったから。

 

 ゴブリンスレイヤーはゴブリンを滅するためにと言おうとしたがそれはハイエルフ達に止められる。

 

「それでアンタは?」

 

 ハイエルフから興味を持たれる魔剣士は真実を言うべきか迷いに迷った結果真実を言うことにした。

 

「オイラ? オイラは元の世界に戻る為の情報収集の為さ」

 

「えっ!? 何、アンタ次元転移者なの!?」

 

 シュードの発言に長い時を生きるハイエルフは文字通り次元を超えてきた者であることに驚愕した。

 

「まぁ、お宅の言葉ではそんな感じだよ。魔剣士も遊びみたいな職業名でさ、本来はモンスターマスターって言うのが誇りある職業さ。

 

 まさか、こっちでは人気が無いどころか悪の手先に入るほどの悪名高い職業とは思わなかったな」

 

 とほほっと嘆くオイラに対してハイエルフやドワーフ、蜥蜴人や女神官が警戒を表した。

 

 それもその筈だ。魔物使いとは魔神王の手先でも悪名高き有名な職業の1つとして名が高い。

 

 それをこの場で何ともなく言う目の前の存在を本当に信用して良いのか分からなくなった。

 

「そう警戒する事もないよ。オイラ達が本気ならこの世界を蹂躙して魔神王? だっけ? も何もかも殺し尽くすから」

 

 焚き火の火花が鮮明に聞こえた。この男は今なんと言ったのか? ハイエルフ達の耳の聞き間違いだろうか? と思った。

 

「へ、へえ〜? 言うじゃない……」

 

「お主、儂等がギルドに密告しないとは思わないのか?」

 

 密告されたかどうかなんてはもはや意味がない。その時は冒険者を辞める時だ。

 

 冒険者生活はあくまでも情報収集期間。何が食べられて、どう言う人々が暮らしているかなどだ。

 

「別に、もういっかなぁって。次の就職先も見つけたし、自給自足生活は慣れているしね」

 

「ちなみに何処なんですか!?」

 

「ゴブスレさんの幼馴染の牛飼いさん家。ゴブスレさんにもちゃんと許可とったから副業でモンスター退治でもやろうかなって」

 

 言葉が出ないとはこと事を言うのだろう。アレほど魔神王がどうとか言う割にはこの男の発言の意図が分かりかねていた。

 

「だから、バレた所で正直言って冒険者資格は有ってもうあまり価値がないんだよね……。

 

 冒険者ギルドってお金を稼ぐ以外の利点って特に無いし、名誉だってオイラは元の世界じゃ一応伯爵だしね……」

 

「えっ!? は、伯爵様だったんですか!?」

 

 衝撃の事実に女神官だけではなくハイエルフ達もびっくりしている。

 

「うん。10歳の時に国家間でモンスターマスターの大規模な大会の代表に選ばれてそこで大国を退けて3位になってね。

 

 んで王様が孤児だったオイラに気前よく伯爵位をくれたんだ。まぁ、当時10歳だし領地経営とか無理があったから出来る人に放り投げているけど伯爵のは変わらないよ」

 

 彼の波瀾万丈な人生を聞いて魔物使いかどうかはもう既にどうでも良くなった。

 

「まぁ、見せた方が早いか。デルパ。出ておいてバウンレン」

 

「ガウッ!」

 

「これは魔法の筒って言って合言葉を言うと魔物とかを収納出来る優れた魔法道具さ。

 

 そして、この子はキラーパンサーのバウムレン。オイラが幼少の時から一緒にいる親友で家族さ」

 

「お、大きいっ……!?」

 

「なんて獰猛なのっ……!?」

 

 鋭い爪や大きな牙に銀等級ですらお目にかかれない強いモンスターがシュードに懐いてまるで子猫の様に扱われていた。

 

「そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。敵意さえ無ければ襲われないし。ほら、これ好物だろう? お食べ」

 

「ガウッ!」

 

「ハハ。やっぱり向こうに比べて味が落ちるか。あっちの霜降り肉って絶品だったんだね……」

 

「ガゥ!」

 

「お、お話し出来るんですか!?」

 

 まるで獰猛な獣と会話しているシュードの様子に女神官だけではなく他の人たちも興味津々だ、

 

「こっちの魔物使いがどういう感じかは知らないけど、オイラ達のモンスターマスターは全員意思疎通は可能じゃないの?

 

 まぁ、オイラはその中でも特殊で生まれ付き特定の種族なら会話も可能だから人と接しているのと同じだよ」

 

「そ、そうなんですか!?」

 

「うん。そう言う人を一般的に賢者体質って言って魔法とこっちで言う奇跡の両方に適性があるって事かな?

 

 剣や武闘家はオイラを拾ってくれた養父みたいな神父に叩き込まれたり、モンスターとの修行で身に付いたりしたから魔剣士って名乗る事にしたんだ」

 

 モンスターマスターに、賢者体質など重要そうな事をペラペラと話すシュードにハイエルフは不信感を覚える。ドワーフ達も同様だ。

 

「……なんでも話すのね。元の世界とか帰りたいって思わないの?」

 

「これは価値観の違いだと思っていてモンスターマスターの修行場所って割と異世界である事が多いんだ。

 

 だからオイラも7〜8歳くらいからモンスターと旅をしていて今に至る感じだったし元の世界にいる時間の方が短いんじゃない?」

 

「なんで今話したのよ……」

 

「今回の依頼ってさ……その魔神王の軍勢が来てしまって面倒だからオイラ達にその片付けをさせようって腹でしょ?

 

 もしかしたらその中は魔神王に付き従うデーモンとか現れるかもしれないじゃん。

 

 その時困惑した状態でオイラ達に攻撃されない様にする為かな……? 反射的に殺しちゃったら面倒だし」

 

 その時にモンスターを出して説明するよりも今モンスターを出して説明した方が面倒が少ないとシュードは思った。

 

 ゴブリンスレイヤーもゴブリンを滅する事が可能ならシュードが魔物使いであるかは対して気にしていない。

 

 そんな2人に呆れ果ててハイエルフ達は警戒心を解いた。もう直ぐ夜も深い。もふもふのバウムレンにくるまりシュードは眠った。

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