早朝、森の茂みに隠れてゴブリン達を見張る。奴等は夜行性の為に早朝の今が眠い時間帯となり門番気取りもうとうとしている。
「やれるか?」
「誰に言ってんのよ」
ゴブリンスレイヤーはハイエルフへ問い掛けると彼女は1本の矢をゴブリンとは別の方向へ撃ちかける。曲射術だ。初めて見た。
風に乗ってハイエルフが撃った弓矢がグングンと伸びながら曲がり門番の1体の頭を打ち抜き、もう1人が騒ぐ前に更に撃ち抜いた。
「先を急ぐわよ」
ハイエルフがゴブリンスレイヤーを見ると彼はいつもながらゴブリンの血で鎧を拭い臭い消しをする。
オイラはそれが分かっているから匂い消しを体に吹きかけて臭いを消すが人数分は持っていない。
それはつまり女神官と同じ様に死んだ目になって悍ましそうにゴブリンの血肉の雑巾を拭っていた。
「うぅ……。なんでこいつは良いのよ……!?」
「オイラは事前に匂い消しを作って持参しているから良いんですよ? ハイエルフさんもそうすれば良かったじゃないですか?」
「ま、魔剣士さんっ!? 今度、匂い消しを売って下さい!!」
「オイラのこの匂い消しは特別性でね。他の人には売れないんだ。と言うよりも女神官ちゃんの死んだ目が好きだから売らないだけなんだけどね」
「な、なんなんですかっ!? それはっ!?」
やっぱり女神官をイジるのは楽しい。年も同じくらいだからだろうか? 旅の関係上同世代の友達は出来にくいから揶揄いたくなってしまうのだった。
まさか、これが初恋!? って冗談をかましながら臭い袋を見せびらかして袋ししまうのだった。
「っと、ゴブスレさん、罠があるよ。踏めば敵襲の鐘がなるタイプの物だね。解除、解除〜っと」
物陰で見えにくいだ足元にある鉄線に繋がれたタイプのトラップをゆっくりと外していく。
ダンジョンでは時折こう言う罠が命取りになるからモンスターマスターになる前の段階でオイラは教えられた。他の国では知らない。
「アンタ、歳の割に器用ね〜〜」
「まぁ、ダンジョン歴で言えばかなりですから」
「そう言えば7〜8歳から旅をなさっていたとか……」
「何度も死にかけるとこう言う罠には敏感になって仕方ないんですよ」
実際には本当に罠にかかって何度も死んでしまい、その度に若葉の国へ送還されて養父である神父に怒られて体が覚えちゃったのだ。
「歳の割に歳に見合ねぇこった……っとこの先、二手に別れてやがる。どうする?」
「どうするとは?」
「右の道は左の道よりも石板のすり減りが大きい。十中八九、捕虜を生捕りにして引きずった後だろう……」
「それなら、右へ行くぞ。ゴブリン達の汚物所だ」
「汚物ってねっ……!!」
そして、歩く事数分が過ぎるとそこには弄ばれたエルフの女が磔にされていた。
女エルフの体からは汚物の他にゴブリンの腐った精液臭も混じりなんとも言えない匂いに顔を顰める。
そんな磔にされ弄ばれた女はブツブツと何かを喋る。
「ねぇ……殺してよ……ころして……」
「あぁ、分かっている」
「ゴブリンスレイヤーさん!?」
女の願いにゴブリンスレイヤーは剣を抜き差して彼女に近付くと女神官とハイエルフが止めに掛かるが彼が正しい。
「GOBuu!!」
汚物の陰に隠れたゴブリンが襲い掛かるがゴブリンスレイヤーの一太刀筋にゴブリンは即死した。
ゴブリンは相変らず方言訛りに言語圏が違う叫び声に何言っているのかわからない。
こっちの小鳥達も方言訛りは強めだが通じる辺りオイラが苦手としている悪魔系に属していると思っている。
蜥蜴僧侶が竜牙兵を召喚して布に包んだ弄ばれた女エルフを運び入り口へ運んで行ったが、ハイエルフが体調が悪そうだ。
そこへゴブリンスレイヤーはあえて空気を読まずに地図とかをハイエルフへ渡すと女神官が怒るが、こう言う時は仕事に没頭した方が良い時もある。
それにまだダンジョンの序盤で弱音を吐かれても困る。こう言うのがみたくなければ依頼を受けなければ良いだけだ。
そして、何度かの休憩を少しずつ挟んで行くとハイエルフも少しずつ体調が回復していきゴブリンの寝床を発見する。
ゴブリン達はすやすやおやすみ状態だが、このまま殺すとなると面倒が増えると言うことでドワーフのドランクと女神官のサイレントのコンボでゴブリン達は眠ったまま叫び声が出せない状態を作り出した。
ゴブリン退治はオイラと蜥蜴僧侶、ゴブリンスレイヤーの3人で行い、ハイエルフは全体の見回りをかねた。
そうして全部殺し終えると遺跡の奥からドシンッ、ドシンッと言う地響きが鳴り響く。巨大モンスターの出現だ。