迷子の魔物使い   作:火取閃光

9 / 27
第9話

 ドシンッと通路の出入り口から出てきた巨人を見てハイエルフは目を見開き呟く。

 

「オーガッ……!?」

 

 その体躯はおよそ5〜6m前後で巨人の大定番であるギガンテス10m級と比べると小振りに見えてしまう。

 

 しかし、その体躯から放たれる攻撃は常人には致命の一撃となりハイエルフが脅威を感じるのも納得と言えた。

 

「ゴブリン共がやけに静かだと思えば、雑兵の役にも立たなかったか……」

 

 オーガはニヤニヤと流暢な言語を話してハイエルフと女神官を見定めて逸物を固めて笑う。

 

「ここを我等魔神王軍の砦として知っての狼藉か!? 先のエルフとは違い貴様等を屠り祝宴と行こう」

 

 オーガの頭にはシュード達を以下に手早く屠り、ハイエルフと女神官を犯すことしか頭にないらしく隙が大きいかった。

 

「ちょっとは話すから知力はあるのかと思えば、賢さはゴブリン同様に低いらしい……。古流剣技・昇龍気炎斬」

 

 破邪の剣に闘気力を纏いオーガの足元に辿り着いたオイラを誰も気が付かなかった。

 

 どうやらゴブリンスレイヤーがオーガを知らずに挑発していたらしくオーガもそれにつられて前が見えないらしく丁度良かった。

 

「あれ、魔剣士はっ……? って……!?」

 

 ハイエルフが気が付いた時には龍が天に昇る様な闘気力を炎を変える斬撃をオーガに与えていた。先制攻撃である。

 

 流石のオーガもこれでは死にはしなかった。

 

 ただ、鉄塊を持った左腕は斬り飛ばされて傷口も焼かれてしまい直ぐには癒えない状態だ。

 

 それほどの生命力だったが致命の一撃に近いダメージを負いシュードを壁まで吹き飛ばした。

 

 シュードは空中で軽やかに回転して吹き飛ばしの威力を無力化すると慣性の法則で壁際まで足元を整える。

 

「まだ、話している最中だろうがっ……!? 人間め、卑怯なりっ……!!」

 

 突如として片腕を失い正しく鬼の形相でふらつくオーガを前にシュードは冷静に答えた。

 

「……オイラが5歳の時に師匠に習ったのは話している時も敵の攻撃に集中しない方が悪いらしいよ。

 

 つまり、アンタがオイラ達へご高説を垂れている時に隙が大きかったのが悪い」

 

 破邪の剣に闘気力を纏わせた一撃に抵抗力は感じなかった。

 

 つまり、例え闘気力を纏わせなかったとしても斬り落とせた耐久値だと理解してそのまま剣を突き出して挑発した。

 

「ぐぬっ……!? 小癪な人間めがっ!! 魔神王様より将軍を預かった我の炎で焼け死ね!!」

 

 激昂したオーガが残る右手を器用に使い詠唱をするとメラミ以上メラゾーマ以下の火球を展開する。

 

「魔剣士さんっ!? 早くこちらへ!!」

 

 女神官の悲鳴にも近い叫び声が聞こえるが彼女の力量で今のオーガの一撃に耐えられるか怪しいから動かずに策を講じる。

 

「いや、女神官さん達は自分の身を優先して。オイラにはあの程度の魔法は慣れっ子さ」

 

「良くぞ言ったっ……!! 我の炎で焼け死ね! ファイアボール」

 

 女神官に余裕の顔でウインクしたシュードに対してオーガは激怒しながら放たれた業火を前に焼け死ぬ彼を幻覚を見た。

 

 それは、女神官やハイエルフ、蜥蜴僧侶達も同様で若い子が焼け死ぬ幻覚を見えた。

 

 しかし、ゴブリンスレイヤーだけは違った。まるで動こうともしない。

 

 それは信頼していたからだ。この世界にやって来た次元転移者の世の理を捻じ曲げる理不尽さを感じていたからだ。

 

「お前に魔法のレッスンをしてやろう。まぁ、もう手遅れだけどな。マホカンタ」

 

 オーガの放つ極大のファイアボールは当たりさえすれば金等級や白銀等級の冒険者と言えど無事では済まない。

 

 まぁ、当たりさえすればの話だかな。彼等はそうならない様に動き例え放たれても神官のプロテクションで難を逃れる。

 

 しかし、シュードは違う。魔法が放たれた。魔法を封じる術を持つ彼が目の前にプロテクションに似た薄い壁を展開する。

 

 そうするとその薄い壁にどんどん極大のファイアボールが吸い込まれてしまう。

 

 そして、全て吸い込まれたと思ったらオーガへ自信が放った極大のファイアボールが跳ね返って来たのだった。

 

 オーガは何故だと考える。考えはするがこの業火に焼かれる体をどうにかする術を待ち得ない。そして、そのまま焼かれて死に絶えた。

 

「魔法のレッスン、その1。魔法は放ったら跳ね返ってくるかもしれないと思え。オイラが5歳の時に習った事だけど知らなかったみたいだね」

 

 通常のオーガではなくて魔神王の将軍たるオーガ瞬殺した紅玉等級のシュードに銀等級のハイエルフ達は実力差を感じてしまった。

 

 先ほどの戦いを見てもシュードのアレは戦い慣れている様子だった。自分達は驚き怯んでいるのに対して彼は自然な態度だった。

 

 あの脅威を前に最初から最後まで涼しげな態度で居られるシュードに驚きながらも悔しさは残った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。