【完結】走れないTS転生ウマ娘は養護教諭としてほんのり関わりたい 作:藤沢大典
「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!」
あ、どうも。メルテッドスノウです。
スギ花粉が毎年『去年の〇倍』とか言ってそれなんてボジョレーとか思ったり思わなかったりする今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
こちらは現在、トレセン学園春のファン感謝祭の真っただ中でございます。
「のおおおおおおおおおぉぉぅぁぁあああああああああ!!!」
今年も出会いの春の季節がやって参りましたね。
希望を胸に抱いた初々しいウマ娘ちゃん様達が多く入学してまいりました。
そんな彼女らも含め多くの人達と交流を深めるべく毎年に春と秋で2度開催されている感謝祭ですが、わたくしは養護教諭という立場上、救護用テントに待機しているのが常でした。
「ええええええええいいいいいいいいああああああああ!!!」
ですが今回、生徒会から『教員側も何か出し物をしてくれないか?』と打診があり、そういうことならば習得した技能でもお披露目しようかと、職員用ブースの一角をお借りしてお客様のお相手をしているところでございます。
「ギブギブマジでマジで無し寄りの無し寄りの無しぃぃ!!!」
どうですか、先程から聞こえてくるお客様の喜びの声。涙を流し、首を振り回し、場合によっては腕や脚すらも振り回して歓喜の表現をされています。そんなお客様の期待に応えるべく、お客様をがっちりホールドして逃がさないようにサービスを続けるわたくし。
「あがばばばばばばばばばっばばばばばっばばばががが」
あ、気を失いかけてますねじゃあこの辺で。
何してるかですか? そんなの一介の養護教諭程度が出来ることなんて限られてるでしょう。
至って一般的な、ごく普通のマッサージですよ。
ウマ娘のパワーで、足つぼの。
んまぁ、普通のマッサージも出来なくも無いんですが、それだと本格的に揉み解す為には足腰の力が必要なんですよねぇ……結構踏ん張らないといけなくて。
で、じゃあ下半身の力が無くても出来そうなものってなると、こうなっちゃうわけで。
あ、普通のやつも足つぼの方も資格はちゃんと持ってますのでご安心をば。ちゃんと相手によって力加減変えてますので。
「へ、ヘリオス、大丈夫……?」
「無理ぴ……パマちん、ウチが死んだら、骨は中山のゴール板下に、埋めて、ね……ガクリ」
「ず、ズッ友ぉぉぉぉぉ! それは流石に関係者各位に怒られるよおおぉぉぉ!!!」
「マッサージで、死ぬなし」
安らかな死に顔(?)を浮かべ横たわるダイタクヘリオスを抱え、悲しみの雄叫びを上げるメジロパーマー。
そしてその茶番に冷静な突っ込みを入れるわたくし。
「さて、それじゃ、次は、あなたの、番だよ」
「え」
「それな」
「あれ、ズッ友!? 死んだはずじゃ……」
スッと起き上がるヘリりゅー。
判断が早い。やはりギャルは強いな。
そして彼女のテンションに付いていきながらもこうやって時々振り回されているパマちん。
はい、今公式カプの尊みを頂きましたー。こんなんなんぼあっても良いですからね。
「ウチは何度でも蘇るっしょ! てかぶっちゃけマジ痛み鬼エグTBSだったけど何か疲れが取れてスッキリ? て感じ? スノぴっぴマジ卍じゃんねウェ~イ☆」
「うぇーい」
よくわからないまま取り敢えず求められたのでハイタッチ。うぇーい。
「や、やぁ〜、私は遠慮しておこうかなぁ……ってズッ友!?」
先程までのヘリりゅーの惨状を目の当たりにしてか、軽く後ずさっていたパマちんを後ろからがっしりと羽交い締めにする笑顔のヘリりゅー。
太陽のように輝く笑顔にほんのり黒いものが見え隠れしております。
「まぁまぁそう仰りなさるなパマちんよ。同じ痛みを分かち合うのもまたズッ友だぜ?」
大丈夫大丈夫、痛いのは最初だけだから。後からだんだん気持ち良くなってくるから。
ちょっとその痛みが尋常じゃないだけで。
両手をわきわきさせ……たい所ですが、片手は車椅子操作をしながら、空いた手をわきわきさせて近付き、そしてパマちんの脚を掴むわたくし。
「ひ……」
とりま、施術開始。
「ひぃぃぃぃぃぃぃいいきぃぃぃぃぃゃぁぁぁああああああ!!!」
こうしてわたくしのブースに何人目になるか分からない叫声が立ち昇った。
てかパマちんの悲鳴かっわ。
「じゃ、回って、きます。急患が、いたら、ウマホで、呼んで、ください」
幾人かの悲鳴を聞いているうちにいつの間にやらお昼になっており、休憩がてらしばしの自由時間が与えられたわたくしは、折角なので他の出し物をしている職員にそう伝言して感謝祭を見て回ることに致しました。
例年は救護テントに詰めっぱなしでしたので、実際にお祭りを見て回れる数少ないチャンスタイムです。
うふふ、さーてどこに行こうかなー?
取り敢えずゴルシ焼きそばは食べておきたいな、まだ食べること出来てないし。
春の感謝祭は体育祭の体が強いので模擬レースとかトークショーがメインですが、そちらをじっくり観戦してるほど時間的余裕は無さそうなので諦めざるを得ませんね。出店エリアをうろうろしてみましょうか。
とか考えながらぶらぶらしていた時。
「スーちゃん先生見つけたーっ! FOX3ー!」
元気な声が聞こえてきたと思ったらそのままダダダッとこちらに駆けてくる音。そのまま、
「ドーン!!」
わたくしの後ろから車椅子に掴まりふんわり激突。
叫び声の割に衝撃はありません。上手く力を逃がしたようです。
あらま、
「どうしたの、マヤノさん」
振り返るとそこにはオレンジのややくせ毛気味なロングヘア、その小柄な体躯から繰り出される変幻自在の脚質を持つ戦闘機、マヤノトップガンがおりました。
髪の一部を小さなサイドツインテールにしてるのがカナード翼みたいでとてもプリティでお似合いでございます。
おや、制服姿ではなくジャージ姿ですね。
「マヤノよくやった!」
「何で職員ブースにいないのよ! 無駄に探させるんじゃないわよ!」
「こ、こんにちはスノウ先生」
立て続けにわたくしの周りに3人のジャージウマ娘ちゃん様達が集ってきます。
順にビコーペガサス、スイープトウショウ、ニシノフラワーです。
みんな小柄さが特徴的な娘たちです。おや、これはもしかしてロリっ娘バンザイだんじり祭り再開の予感ですか?
「先生、ちょっとだけマヤたちに付き合ってね」
ふいにマヤノんがそう言うと、4人は前後左右にわたくしを取り囲んでしゃがみます。
お? お? 何事?
「「「「せーの」」」」
掛け声とともに浮遊感に襲われるわたくし。
おおおっ!?
4人で車椅子を担ぎ上げました。わたくしを乗せたまま。
「「「「わっせ、わっせ」」」」
そしてどこかを目指してそのまま運ばれていくわたくし。
オイオイオイ、確かにロリっ娘バンザイだんじり祭りを開催予定ではありましたけど、わたくし自身が神輿になるなんて予定は無かったですよ?
どうやらグラウンドの方に運ばれている模様です。これは何かの催しですかね?
「うわっと」
ビコペンが軽く躓いて神輿が大きく傾きますが、どうにか持ち直した模様。ちょっとしたアトラクション気分で楽しいかもー。
「ビコー、気を付けなさい! スノウ先生は割れ物なんだから落としたら死ぬわよ!」
「ごめーん!」
スイープちゃんが檄を飛ばします。
割れ物て。流石にそこまで脆くは……いやこの高さで頭から落ちたらワンチャンあるな。いやまぁ本当に落ちても受け身とか取りますけども。
その後は危なげ無く担がれたままコースの方へ。
会場からワアッと歓声が聞こえてきます。
«さぁチーム対抗借り物競争、帰ってきたのは『魔法ヒーローお花ジェット』チームだ! 車椅子の女性を担いでいるぞ、一体お題は何だったのでしょうか、ゴールまであと僅か、他のチームの影は見えない、独走です! 独走のまま、そのまま、ゴール!»
なんだそのチーム名。
にしても借り物競争ですか。なるほど。
でもどんなお題があったらわたくしが神輿になるんでしょう?
あ、ようやく降ろされました。
«しかしまだ分かりません。係員がお題を確認します。確認して……今、マルを出しました! 確定です! 『魔法ヒーローお花ジェット』チーム、優勝です!!»
係の人が手で大きな丸を作った瞬間、一際大きくなった歓声が会場一杯に広がりました。
観客席に向かって大きく手を振って応える4人。萌える。
観客に返礼を終えたニシノフがわたくしの方に向き直ります。
「ごめんなさい先生。私達、競技に出てて、その」
「ん、状況は、理解した。問題、ない」
まぁお祭りイベントですしこういう突発的なこともあるでしょう。特に気にしてませんので無問題です。
「けど、どんなお題、だったの?」
「はい、それはですね……」
«チーム『魔法ヒーローお花ジェット』のお題は『学園で最も人気のあるスタッフ』でした»
わたくしがそう聞いたタイミングで実況の方が会場の観客に向けて説明しだしました。
ぅえっ! 何そのお題!?
«会場の皆様にご説明致します。彼女、メルテッドスノウ先生は当学院で養護教諭を務めていらっしゃいます。日々学生達の心と体の健康をケアするために尽力してくれている方で、生徒からの信頼も篤く、彼女を連れてきたのは納得の結果と言えるものです。かく言う私もひっそりと彼女のファンだったりします»
待て待て待て待て恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。
あんまり持ち上げないでくださいよ。
養護教諭なんですから仕事としてそういう事をするのは当たり前なんですし。
というか実況さん、あなたもこっそりカミングアウトしてるんじゃないですよ。
«彼女のように、ウマ娘たちを誠心誠意サポートするスタッフが当学園には大勢おります。皆様、この競技にご協力いただいたメルテッドスノウ先生に拍手をお願いします≫
……あ、これわたくしの紹介にかこつけた学園のアピールだ。
『良いスタッフが揃っているので安心して学園に生徒を預けてくださいね』っていう営業だ。
まぁ優秀なスタッフばかりなのは事実ですので対外向けアピールの場としては確かに正しいな。
そういう事情となれば恥ずかしいが仕方ない。観客の皆様にも手を振っておきましょう。
けど恥ずかしいのでさっさとドロンしちゃいましょう。はー、顔あっつい。
「ん。おもしろ、かった。4人とも、ありがとね。じゃ、戻るね」
「スーちゃん先生まったねー!」
「ありがとうスノウ先生。また今度遊びに行くよ!」
「アタシも行ってあげなくも無いから、ちゃんとまたお茶とあんみつ用意しときなさい!」
「説明足らずでいきなりすみませんでした。ありがとうございます」
マヤノん、ビコペン、スイープ、ニシノフから挨拶を返されつつ、会場からも温かい拍手に送られつつ、わたくしはその場を後にしました。
はー、顔あっつい。
さて、急な召喚でしたがまだもうちょっと時間に余裕がありそうですね。今度こそゴルシ焼きそば食べに行きましょう。
というわけでグラウンドから中庭の出店エリア方面に向かっていますと。
「おや、メルテッドスノウ先生。いかがです、良ければ占っていきませんか? 今なら待つこと無くすぐに占えますよ!」
体中に開運グッズを纏ったショートヘアのウマ娘、マチカネフクキタルちゃんです。
ほう、彼女の占い小屋も出店してるんですね。
占いですか……そういうのもアリだな。
基本的にコールドリーディングで当たり障りの無い無難な答えを返すのが占いだと思っているわたくしではございますが、彼女の占いはアニメやアプリで見る限りはそういう感じでは無さそうです。
本物のシラオキ様かどうかは定かではありませんが、間違い無くこの世のものではない何者かと交信している模様。
まぁ彼女の占いで救われてる娘もちらほらいるみたいですし、悪いものでは無いのでしょう。
特に相談したいことはありませんが今後の運勢とか見てもらうのも面白そうですね。
これも原作体験の一つですし、ここは一丁お願いしてみましょうか。
「ん。それじゃ、お願い、しようかな」
「はいっ! ありがとうございます! 1名様ご案内でーす!」
「はぁぁぁい喜んでぇぇぇぇ!」
テントの中から聞こえてきた元気な掛け声。
っちょ、ドットさん何ですかそのキャラは!?
そんな感じの娘でしたっけ?
フクちゃんに案内されるがままテントの中に入ると、先程の声の主、ドットさんことメイショウドトウが迎えてくれました。
薄暗い中でも分かるくらい顔真っ赤です。
あ、やっぱ無理してたんですねさっきの。
中は紫色のライトでやや薄暗く、所々に意味ありげなお札やら飾りやらが散りばめられており、ミステリアスな雰囲気を演出しております。
そして中央のテーブルにはお馴染みの水晶玉が。
部屋全体にふんわりと漂うこの香りはラベンダーですね。どうやらお香を焚いているようです。
さすが普段からこの占い小屋を営んでいるだけあって雰囲気作りは完璧です。設営に隙がありませんね。
フクちゃんがテーブルを挟んでわたくしの正面に座ります。
「ではでは、今後の総合的な運勢とのことでしたね」
「ん」
「お任せあれ。それでは参ります。ふんにゃか〜、はんにゃか〜……むむむむむ……」
「救いはあるのですか……?」
後ろから覗き込むドットさんを従えて彼女の占いが始まりました。
水晶玉に向かって手をかざし、何やらゴニョゴニョと唱え始めます。
玉の中に何やら靄のような妖しい光が漂っているようにも見えます。
「むむ、むむむむむむぅぅぅ……ほああああああっ!!」
しばらく唸っていたかと思うと雄叫びを上げたフクちゃん。
それに合わせて水晶玉がカッと一瞬眩しく光りました。
ぇ、なんじゃこりゃ?
気が付けば、ガクッと首を落として俯いてしまっています。
かざしていた手も落ちて、机の上に。
……あれ? 彼女の占いってこんな感じだっけ?
「………………」
おや、どうしましたフクちゃん?
俯いたまま動かなくなってしまいました。
何でしょうか。あまり望ましくない結果でも出ちゃったんでしょうか?
「………………さい……」
「ん?」
俯いているのでよく見えませんが、何事か呟いているようです。
ちょっと声が小さいですね。スノウちゃんイヤーを傾けてよく聞いてみましょう。
「……なさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
「「ひいいっ」」
思わず驚きの声を上げるわたくし&ドットさん。
怖い怖い怖い怖い、怖いよ!? なんかかーなーり怖いですよ!?
「か、彼女の、占いって、いつもこう?」
「いいいいいいいえいえ、こんな風になったフクキタルさんは初めてですうううぅぅぅ! なんですかこれ、なんなんですかこれぇぇぇ!?」
もしかしたらフクちゃんの占いスタイルがアニメと変わった可能性もあるのかと思ってドットさんに確認してみましたがそんなことは無かった。
おいこれマジ大丈夫なやつなんだろうなぁ!?
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、知らなかったんです。許してください。もう勘弁してください。あ、はい、分かりました。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
謝罪以外のセリフが聞こえたと思った途端、フクちゃんの顔が上がりこっちを見た。
いや、顔はこちらを向いているし目も開いているが、焦点が合ってない。
俯いてブツブツ言われるのも怖いけど、これはこれで怖ぇなぁ!?
「30分後に〇〇総合病院で内視鏡検査を予約してください。明日に空きが出来るので受けて下さい」
相変わらず見た目は怖いままだが、彼女の口から紡ぎ出された言葉に思わず毒気を抜かれる。
「……またえらく、具体的な、占いだね」
「救い……なのですか? 私もこんなの初めて聞きますぅ」
え、と……占いの結果って、もうちょっとフワッとしたものじゃないんです?
横断歩道は右足から渡ると良いことあるかもとか、ラッキーカラーは土留色とか、嫌な上司にラリアットかますと吉とか。
こんな風に日時とか固有の病院名とか指定してくるようなものでしたっけ?
「いいですね、絶対ですよ? 30分後ですよ!?」
フクちゃん(?)が目の焦点が合わないまま、ずずいっとこちらに身を乗り出してきます。見た目だけは怖いですけど、心なしか焦ってるような……てか切羽詰まってるような?
「あ、はい」
「ごめんなさい、お願いします。ごめんなさい」
果たしてこの今の状況って怖いのかどうなのか? よく分からない情緒のまま勢いに押されてつい同意してしまったわたくし。
その答えに満足したのか、フクちゃん(?)の体の力が再び抜けてがくんと首を落としました。
呆気に取られているわたくしとドットさん。
そのまま時間が過ぎること数秒。
「……ぁえ? 私は一体……?」
寝ぼけ眼で再び顔を上げるフクちゃん。
今度は……目に光が戻ってます。ちゃんとフクちゃんのようです。
……一体何だったんでしょう。
取り敢えず、我に返ったであろうフクちゃんに何が起こったのか状況の説明をば。
「……ふむ、なるほどなるほど。これはつまり……ついに私にもイタコの能力が!? この身にシラオキ様を宿して御神託を授けることが出来る巫女として覚醒した、ということでしょうか!」
そう言ってテントを飛び出したかと思えば、空に向かって両手を広げて叫びだした。
「ありがとうございますシラオキ様! このフクキタル、益々精進して参りますよー!」
お客さんの幾人かが何事かとこちらに注目します。
いや、びっくりさせてしまってすみません。
でもこっちも良く分かってないんです。
ほんと何だったんでしょう……。
そしてこの件で休憩時間はタイムオーバー、焼きそば買いに行けませんでした。つらみ。
■スギ花粉
すごく適当に調べてみたところ、今年2023年は10年前の約15,000倍になりました。うそやろ。
■TBS
民放テレビ局ではありません。
T(テンション)B(バリ)S(下げ)という意味らしいです。
ギャル語難しすぎてキャパい。
■カナード翼
主翼より前の方に付けられた小さな翼です。戦闘機によってあったりなかったりします。
旋回性能や姿勢制御を向上させるといったメリットもありますが、その分空気抵抗が増えたりステルス性が犠牲になったりします。
■FOX3
空軍用語でのミサイル発射を示します。
Case05で書いたFOX2との違いは、かなり簡単に言えば射程と誘導方法の差でしょうか。要するに『絶対逃さないよ』って意味だとでも思って下さい。
■今回のMVP
シラオキ様。
なんか以前スノウちゃんの能力の詳細を知らないまま手軽にブルボンを救ってみた結果、スノウちゃんを救いたいガチ勢にマジ気味に怒られたっぽい。