【完結】走れないTS転生ウマ娘は養護教諭としてほんのり関わりたい   作:藤沢大典

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アニメSeason3放送記念。
時期としては1話が始まる前の年にあたりそうです。


おまけ
Bonus01:保健医のハロウィン


あれ、これカメラ入ってる? 映ってる?

あーあーあー、テステステス。

うっし。

 

はいっどーーーーーもーーーーーー!!

お久しぶりです。お久しぶりです?

今年からめでたく保健医として働かせて頂いております、メルテッドスノウです。

 

わたくしの身体が車椅子要らずになってから早半年以上が経過し、わたくしも今まで以上にアグレッシブに活動することが出来るようになりまして。

気が付けばわたくしの渾名も『トレセン学園の雪妖精』から『白衣を纏ったヤベー奴2号』に変わっておりました。

ついに脱・妖精です! 長かったぜ。

けど何だその不名誉で不思議な新しい渾名は!?

……え、1号は誰かと? 言う必要ありますかそれ?

 

とまぁ、そんなこんなで今年もイベント盛りだくさんで時間はあっという間に流れて既に季節はすっかり秋。

来月頭にはファン感謝祭を控えた状態で、学園内もにわかに活気づいてきております。

今回も色々なウマ娘ちゃん様達から『ウチの出し物に遊びに来て!』とお呼ばれしてたりもするんですが、今はそれより先に済ませておかなければいけないイベントがあります。

 

そう、それは10月の最終日を彩る欧米由来のお祭り、すなわちハロウィンでございます!

アニメ内ではテイマク、そしてキタサトが魂抜けるほどぷりちーな仮装を披露してくれ、アプリのほうでも数々のイベント、新衣装、サポカイラストを生み出してくれた、水着やクリスマスに並ぶほどの愛すべき催し、Halloweenでございます!!

 

今日は近くの商店街で行われているイベントに参加してこようと思っています。

アーケード街が全体的にオレンジと黒に彩られ、至る所にカボチャやらおばけやらが配置されたりハロウィンにちなんだお菓子や雑貨やらが並べられたりと、かなり気合の入ったイベントとして毎年開催されているんですよね。

更に仮装しているお客には屋台のゲーム1回無料やお菓子袋進呈などの特典もあったりと、見てるだけはもちろん参加するのも楽しい素敵イベントなのですよ。

この界隈ではそこそこ有名な催しらしく、CATVの取材なんかも来てたりするようで。

 

今までは足が動かせなかった都合上、移動や着替えなどで手間がかかるために見送っていた仮装ですが、無事完治した今回からは是非とも参加したい。そんな気持ちで2か月前からハロウィン用の衣裳を設計・作成しておりました。

じっくり時間をかけて作ったので満足のいく出来栄えです。

後日のファン感謝祭でも着回せるし、来年以降も使えるでしょう。

 

せっかくのイベント事ですので誰かを誘って一緒に行くことも考えたのですが、今回は衣装の都合上喋ることが一切出来なくなってしまうので、同行者を退屈させてしまうだろうということでソロ活動です。

どんな衣裳か、ですか? それはまぁ後ほどのお楽しみということで。

 

さて、自分語りはこの辺りで良いでしょうか。

そろそろ衣裳を着て商店街へ向かうことといたしましょう。

そうだ、ウマッターのほうでも投稿しておきましょう。

 

地図アプリでざっくりと商店街をマーキングしてー、

画面をスクショしてウマッターに画像添付してー、

『〇〇商店街でハロウィンなう』

っと。

 

うっしこれで準備完了! 無限の彼方へさぁイクゾー!(デッデッデデデデ)

 


 

「ね、ねぇダイヤちゃん、この服、ちょっと今の私には幼すぎないかな……?」

 

「そんなことないよキタちゃん! すごく似合ってる! 素敵!」

 

こんにちは、キタサンブラックです!

今年から私とダイヤちゃんはトレセン学園に入学し、日々精進しています。

 

無事に私は憧れのテイオーさんと同じチームスピカに、ダイヤちゃんは代々サトノ家が懇意にしているというチームカペラに所属することになりました。

そして数ヶ月前に、なんとメイクデビューまで果たすことが出来たんです!

また一歩、テイオーさんに近付くことが出来たみたいでとっても嬉しいです。

今後も勝ち続けていけるよう、益々頑張っていかなくっちゃ。

 

さて、今日はそんなトレーニングを積み重ねる毎日からちょっとだけお休みし、私とダイヤちゃんは商店街のハロウィンイベントに遊びに行くことにしたんです。

で、どうせだったら昔みたいに仮装して行こうってことになったんですが……ここでダイヤちゃんが『折角だから昔のと同じデザインにしよう』と言い出して、小学生の頃にお揃いで作った魔女の衣装を今の体型に合わせて仕立て直したものを用意してくれました。

 

……うん、あの時も思ってたけどダイヤちゃんすごく良く似合ってる。可愛い。いや決してダイヤちゃんが幼いって意味じゃなくて。

けど私はちょっぴり自信が無くて躊躇しちゃったんですけど、ダイヤちゃんが似合ってるって言ってくれるならまぁそれでいいかと思い直して、二人で手を繋いで商店街へ向かうことにしました。

 

うふふ、楽しみだなぁ。

私は昔からこういうイベントとかお祭りとかが大好きだから、今日はいっぱいはしゃいじゃいそう。

よーし、今日は目一杯遊ぶぞー!

 

・ ・ ・ ・ ・ ・

 

商店街の入口まで来たときに、その商店街から出てくる二人組を見かけました。

赤ずきんの格好をしたテイオーさんと魔女風のマックイーンさんです。

 

「あ、テイオーさーん、マックイーンさーん」

 

大きく手を振ると、こちらに気付いて向かって来てくれました。

 

「あら、お二人とも。ハッピーハロウィン、ですわ」

 

マックイーンさんは私達と同じ魔女の仮装ですが、全体的にシックで落ち着いたデザインの衣装は本当に魔女みたいでとても良く似合っています。

テイオーさんの赤ずきんも、テイオーさんが生来持ち合わせている明るさ快活さとマッチしていてすごく素敵です。

 

「ハッピーハロウィンです、お二方」

 

ダイヤちゃんがそう二人に挨拶をします。

同じチームなので私は二人にしょっちゅう会っていますが、ダイヤちゃんはそうでも無いのでこの4人で揃うのはちょっと珍しいかも。

 

「そっちはお揃いで魔女かな? 前に見た時も今もすっごく可愛いよ! そっちから来たってことは……そっか、これから二人は会うのか、アレに」

 

「ですわね……」

 

「アレ、ですか?」

 

テイオーさんが私達の仮装を褒めてくれたのは嬉しかったのですが、その後に続くセリフと、マックイーンさんの困ったような引き攣るような笑顔に疑問が浮かびます。

 

「まぁさ、スノウ先生も来てるんだよココ」

 

テイオーさんがそう続けます。

 

「本当ですか! へぇ、どんな恰好してるんだろ、会うのが楽しみです!」

 

スノウちゃん先生も商店街に来てるんですね!

きっとあの先生のことだから何かの仮装をしているに違いないと思います。

あの先生からも私と同じ、お祭り好きのオーラを感じるので絶対に間違いありません。

 

「ええと……何と言いますか……」

 

マックイーンさんが言い淀みます。

何かあまり良くない事でもあるのでしょうか。でも否定的というより、単純にどう触れたら良いのか対処に困るというような印象です。

 

「にしし、会えば分かると思うけど……スゴイよ」

 

にやりとした表情を浮かべながらそうテイオーさんは言います。

な、何だろう。そんな意味深な表情をされると不安になっちゃいます。

 

「すごい?」

 

「まぁ、百聞は一見に如かずと申します。わたくし達から言うより実際にお会いした方が良いでしょう」

 

「だね。まぁ二人とも楽しんできなよ。あ、ちょっと奥のお店で今年もジャンボタピオカチャレンジやってたから行ってみるといいよ。そんじゃまったねー」

 

そう言い残してお二人は学園の方へと行ってしまいました。

マックイーンさんの何だか思わせ振りな捨てゼリフに訝しんでしまいます。

 

「……とりあえず、紹介されたタピオカのお店に行ってみようか、キタちゃん?」

 

「そ、そだね。行こ、ダイヤちゃん」

 

気にはなりますがそれはそれとして、折角のダイヤちゃんとのお出掛けだしちゃんと楽しまなきゃ。

スノウちゃん先生の事は心に留めておくとして、お勧めされたお店に行ってみよう。

ジャンボタピオカチャレンジって何だろう、すっごい楽しそう!

 

・ ・ ・ ・ ・ ・

 

「ってテイオーさんが言ってたから来てみたけど……」

 

「お店、完売で閉店しちゃってるね」

 

というわけで紹介されたお店に来てみたんだけど、残念ながらお店には『完売』の張り紙が。

ここでは両手を使わないと持てないようなサイズのタピオカミルクティーを1分で飲み切ったら無料になる、という催しをやっていたらしいんですが、想定していた以上に早く無くなってしまったとのことで。

 

「ごめんなさいね、さっき丁度売り切れちゃって。……なんかジャンボタピオカミルクティーをまるで排水溝に流すかのような音を立てて何本も飲み干す芦毛のウマ娘さんがいてね……普通の分の在庫まで無くなっちゃって。知り合いのウマ娘にもこんなに飲む娘は居なかったけど、やっぱりトレセン学園の生徒さんってすごいのね」

 

店員さんも信じられないものを見た、といったように話してくれました。

お店、完全に赤字だと思うんですけど恨み言の一つも言わないで感心したように語ってくれます。

 

「いやいや、いくらトレセン学園でもそんなに飲める人は……2,3人くらいしか居ませんから!」

 

「全く居ないって言えないところが学園の怖いところだよね……」

 

少なくとも同じチームのスペさんとかなら余裕で実行出来そうだし。

もし飲み物がはちみーだったらテイオーさんも出来ちゃいそうだし。

 

申し訳無さそうに『またいつか来てね』とおまけのクッキーをくれた店員さんに別れを告げて二人で他のお店を覗きながら歩いていると。

 

「おっ、キタ、ダイヤか。また随分と可愛らしい魔女に会っちまったねぇ」

 

「あ、イナリさん、それにタマモさん!」

 

「まいど、お二人さん」

 

声を掛けてきてくれたのは少し小柄な二人のウマ娘、イナリワンさんとタマモクロスさんでした。

 

「お二人は身体中に包帯を……ミイラの恰好ですか?」

 

全体的に紫をあしらった衣装に、身体の至る所に包帯を巻き付けています。

メイクで少し肌の色も青白くしているみたい。

すごいなぁ。ハロウィンらしくホラー感も出てる。包帯も所々千切れてて古くなったもののように見せてる。細かいなぁ。

 

「せや。迫り来るミイラを銃で退治する『ミイラハント』っちゅーお化け屋敷を手伝っとってな。休憩と宣伝を兼ねて歩き回っとるとこや」

 

タマモさんはそう言って、両腕をぐわーっと広げて今にも襲ってきそうなポーズを取ります。

へぇ、そんなイベントもやってるんですね。面白そう!

 

「なるほど、楽しそうですね! あたしもやってみたいです!」

 

「おっ、流石はキタ。祭りの何たるかを分かってるじゃねぇか。同じ阿呆なら踊らにゃ損ってな。クリーク、こっちの二人が……ってクリークはどこいったんでい?」

 

どうやらお二人以外にもクリークさんが一緒にいたみたいです。

タマモさん達が周りをキョロキョロしはじめます。

 

「んん!? さっきまで一緒におったのに……っておった!」

 

「うふふ〜、捕まえちゃいましたよー」

 

「……! …………!!」

 

タマモさんが指差した先には、タマモさん達と同じく包帯を身体中に巻き付けたスーパークリークさんが、道行く男の子を正面から抱き締めていました。

ってうわっ、クリークさんの格好って……肩とかお腹とか色んなとこの肌が露出してて……タマモさん達と同じように包帯だらけの格好だけど、あれは怖いっていうか、むしろ扇情的というか……。

抱き締められている男の子はクリークさんの、その、とても立派な胸部に顔を埋めさせられて逃げられないように押さえつけられています。

離れようと藻掻いていますが、ウマ娘であるクリークさんには敵わず抜け出せずにいるようです。

 

「い、いけねぇ! アイツ通りすがりの子供を捕まえてやがるぞ!」

 

「あかん! このままじゃあの子の中の何かが破壊されてまう! こらクリーク! 何しとんねん離したりぃや!」

 

「え、宣伝ですよ。ゲームでミイラに捕まるとこうなっちゃいますよー、って。ね?」

 

そういってクリークさんは捕まえた子を解放します。

が、男の子は心ここにあらずといった様子です。

 

「……ばぶぅ」

 

男の子はしばらく赤い顔のままぼーっとした表情でクリークさんと目を合わせていたと思ったら、彼の口からは実年齢とは思えない言葉が出て来ました。

 

「……あかん。手遅れやった」

 

「一般人にはもう少し加減してやってくんなクリークよ」

 

呆れたようにそう零すタマモさんとイナリさん。

まるで『またやったな』と言わんばかりですけど、クリークさんってよくこんな事してるんですか……?

 

「あ、あははは……」

 

「何か、すごいことになってるね……」

 

クリークさんには気を付けよう。

私もダイヤちゃんもそう思った瞬間でした。

 

・ ・ ・ ・ ・ ・

 

「お、そういやお二人さんはもうスノウセンセには会うたんか?」

 

それからしばらくして、どうにか正気に戻った男の子と別れてしばらくお三方と一緒に商店街を歩いていたところ、タマモさんがふいにそう切り出してきました。

 

「い、いえ、まだですけど」

 

「会うてみ。すごいで、センセの仮装」

 

実に面白いものを見た、といった表情でタマモさんは微笑みます。

テイオーさん達といい、タマモさん達といい、こうやって話題に挙げてくるってことはそれだけ印象に残るような何かをしてるってことなんだろうなぁスノウちゃん先生……。

 

「さっきテイオーさん達からもそう言われたんですけれど、そんなにすごいんですか?」

 

「あぁ、ありゃすごかった。一体普段どんなこと考えてりゃあんな仮装をするって発想に至れるんだろうな」

 

イナリさんも遠い目をして思い返しているようです。

嘲りなどは無く、素直に感心しているみたいですね。

 

「そんなに……?」

 

「うふふ、先生のウマッターを見てみて下さい。そこに答えがありますよ」

 

最後にそんなセリフでクリークさんが締め括ります。

だから、何でそんな思わせ振りな風に言うんですか!?

 

・ ・ ・ ・ ・ ・

 

「……って言われてスノウ先生のウマッター見てみたけど……」

 

「書かれていたのは『ハロウィンなう』って呟きと地図だけだったね」

 

お化け屋敷に戻っていったお三方と別れた後、スノウちゃん先生のウマッターを覗いてみたんですけど、そこにあったのは短い一言と商店街の中央の広場あたりにマーキングされた地図のスクリーンショットだけでした。

多分このマーキングが付けられている所にいる、ってことなんだろうけど……。

 

「とりあえずあの地図が示してる場所に来てみたけど、特におかしなとこは……ダイヤちゃん、私疲れてるのかな。広場の真ん中に地図にあったのと同じマーキングがいるんだけど」

 

「キタちゃん、大丈夫。私にも見えてる。大きなマーキングが子供達に囲まれてる」

 

スノウちゃん先生を探そうと広場を見渡した瞬間、そこに見えたのは先程先生のウマッターで見た地図に描かれていたマーキング。

ただしサイズはやたら大きい。それこそ人が入ってると思われる程に。

というかそのマーキングから足が生えていました。

 

私とダイヤちゃんが呆気に取られていると、たくさんの子供達に囲まれて蠢いていたマーキングと視線が合ったような気がしました。

マーキングと視線が合うってどういうことなんだろう。

するとそれは激しく身体を揺らしながらダバダバとこちらに向かって走ってきました。

う、動きが気持ち悪い!

 

「うわ、こっち来た! こ、怖い怖い! 何何何!?」

 

ダイヤちゃんと肩を抱き合って怯える私達の目の前に急ブレーキで立ち止まるものの、相変わらずボヨンボヨンと身体を揺らし続けているマーキング。

一体私達が何をしたの、と思っていた時。

ピロリン♪ と私のウマホから着信音が。

LANEに着信があったみたいです。

恐る恐るマーキングから視線を外してウマホを見ると、相手はスノウちゃん先生から。

 

『二人も来てたんだ。ハッピーハロウィン』

 

「「……え!?」」

 

眼の前にはゆらゆらと揺れてる大きなマーキングしかいない。

私とダイヤちゃんは何度もウマホ画面とマーキングを交互に見ます。

まさか。まさかまさか。

 

「……もしかして、スノウちゃん先生?」

 

首肯するかのように前後に揺れるマーキング。

えええ、ええええええ。

この、眼の前にいる摩訶不思議物体が、スノウちゃん先生なの?

本当に……?

 

「ど、どうして先程から喋らずにボディランゲージを……?」

 

ダイヤちゃんがそう尋ねると、またしてもLANEに着信が。

 

『着ぐるみは喋っちゃダメ。中の人などいない』

 

「「いやいやいやいや」」

 

ツッコミどころしか無い。

けど、とりあえず。

 

「ハロウィン何も関係なくないですかそれ!?」




■あとがき(2023/10/15)
アニメSeason3第2話のキタちゃんを慰めるネイチャさん語りのシーンが当ssのCase01と似通ってるとこがあるような気がして尊みを感じておりました。
あのときスノウに励まされたネイチャさんが同じようにキタちゃんを励ましてくれてる。こうやって想いは受け継がれていくんだなぁ、と。
完全に筆者個人の妄想ですねキモいですね。

スノウちゃんに変な仮装をしてもらいたかっただけ回。
オチなど無い。
てか書き上げてから気付いたんですけどスノウちゃんが一言も喋って無いな。

■ジャンボタピオカチャレンジ
アニメSeason2第11話でテイマクがハロウィンデートで飲んでたやつ。
完売させるほど飲み尽くした犯人は一体どこグリの誰キャップなんでしょう。
ミイラ3人が関係してるような気もしますが、謎ですね。

■スノウの仮装
「グーグルマップ コスプレ」で画像検索すると、実際にコミケでコスプレしてた人がいたみたいですね。
外部サイト(X:Twitter)へのリンク
本当にどういう思考回路をしていればこんなコスプレを思いつくんでしょうか。
レイヤー名は藤沢大典って言う人らしいですね。なんか聞いたことあるな。
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