【完結】走れないTS転生ウマ娘は養護教諭としてほんのり関わりたい   作:藤沢大典

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主人公&ブルボン視点

この話書くためにアニメ何度も見返してたら涙ぐみながら書く羽目になってしまいましたライス尊いブルボン尊い。


Case09:養護教諭とミホノブルボンたち

新緑の鮮やかさが徐々に力強い青葉に移り変わろうとしている爽やかな気候の中、今日も今日とて暇人してるこのわたくしメルテッドスノウですが、別に本当に何もしてないわけではございません。

備品管理にプールの水質チェック、掲示や配布するための保健だよりの作成などちゃんとお仕事はしております。

まぁそんなにやること多くないんで午後になると暇になるんですけどね。わたくしが暇なほうがウマ娘ちゃん様達が健康であることの証拠なのでとても良いことです。

 

で、そんな働き者の暇人であるこのわたくし、スノウちゃんが今何をしているかというと……

トランプタワー絶賛建造中でございます! ヤーバイですね、もう暇人の極みです。

え? そこまで暇ならウマホでゲームでもしてろって? はっはっはご冗談を。お金払うどころかお給金いただきながらウマ娘ちゃん様達と触れ合えるというのに、一体何に課金しろというのですか?

小さな三角をいくつも積んでは崩し、積んでは崩しを何度も何度も何度も何度も繰り返すこと数十分、ようやくやって参りましたこの瞬間。

5段タワーの最上段を残すのみ!

さー落ち着けーわたくし。慎重に、慎重に、そーーーっと……

 

「失礼します! こちらにメルテッドスノウ先生はいらっしゃいますか!」

 

スパァンと勢いよく戸を開け元気のいい声が入って来た。

いくら無表情に定評のあるスノウちゃんでも、感情が無いわけではございませんのでいきなりそんな事になったらそりゃビクッとしちゃいますよ。

そしてビクッとしちゃえばですよ、当然タワーは崩れるわけですよ。

あと僅かで完成しそうだった大三角形は瓦礫と化してしまいました。

 

んーーー残念! もう少しでしたね。

まぁこんなもん崩れるのが当たり前の欠陥住宅ですし仕方ありませんね。

さてそんなものは置いといて。いらっしゃったのはどなたかな?

栗毛のロングに水色の瞳、なんか菱形のアクセントが付いたシルバーなヘアバンドを付けた娘……サイボーグウマ娘、ミホノブルボンでした。

おや、後ろに一回り小柄な黒鹿毛の娘が……ライスシャワーも一緒のようです。

はて、わたくしと同じようにあまり感情を表に出さない彼女がこんな勢い良く来るなんて、何か緊急事態でもありましたかね?

 

……

 

…………

 

………………

 

あれ? ブルるん動かなくね?

 

「ぶ、ブルボンさん? ブルボンさん!? ど、どうしたの? ブルボンさーん! え、えと、ど、どうしよう、どうしたら……」

 

なんかお米様も慌てちゃってるぞどうしたブルるん。もしかしてアレか? 自分が勢い良く入って来てトランプタワー崩しちゃったからフリーズしちゃった系?

ただの時間潰しだったし気にしなくて良いんだけど……

まぁフリズっちゃったのは仕方無いのでお米様に何があったのかお聞きしましょう。

 

「……落ち着いて。急患?」

 

「ふぇ、いえそういうのではなく、えと、えっと……」

 

わたわたするお米様かーわいーいなー。

いやそうではなく。ちょっとこちらの娘も落ち着くまで時間かかりそうですし、念の為ブルるんの診察しておきましょうか。

 

「ふむ……意識は、あるけど、思考して、いない……こういう事、以前には?」

 

「え、っと、はい、たまに、時々」

 

「彼女が、苦しんだり、倒れたり、することは?」

 

「ない、です。普通に戻ります」

 

ふむ、まぁ心配する事態ではなさそうですね。お米様の反応を見る限りは割と平常運転の不具合のようです。

平常運転の不具合って何……?

 

「……よく、分からないけど、すぐ、どうこうなる、ものでは、無さそうだね。取り敢えず、ベッドに、寝かせて、おこうか。悪いけど、彼女を、運ぶの、手伝って、くれる?」

 

「は、はい!」

 

心配は無さそうですが一応ベッドには寝かせておきましょう。再起動した瞬間に倒れたりしても難儀ですし。

 

「しばらく、様子を見て、起きれば良し、起きなかったら、担当に、連絡して、最悪は、救急搬送、かな。まあ、大丈夫そう、だけど」

 

万が一があってはいけませぬので、最悪は想定しておきます。これでもデキる養護教諭なんですよ?

 

「大丈夫、と思います。ごめんなさい」

 

もー謝ることなんて無いのにぃ。お米様、何も悪くない。悪いのはトランプタワーなんか作ってたわたくしなんですから。ほーらお米様スマイルアゲイン?

 

「何も。何か、飲み物、淹れるよ。それで、何か、あった? あんな、元気に、入って、きたんだし」

 

「えっと、無いことも無いんですけど、その……」

 

「?」

 

言い淀むお米様。急患とかじゃないなら何か相談事かしら?

 

「どちらかというと、用があったのはブルボンさんなので、いま私が聞いてしまうのも違うかな、というか……」

 

「なるほど、理解した。じゃあ、彼女が、起きるまで、何か、してようか」

 

・ ・ ・ ・ ・ ・

 

Serial Code "MIHONO BOURBON"

System Restart

……

………

意識、100%回復。

触覚、100%回復。

視覚、45%回復。

聴覚、80%回復。

嗅覚、75%回復。

 

「……や、だめっ……そんなとこ……」

 

回復中の聴覚が音声を拾います。92%の確率でライスの声と判明。

 

「ふふ、さっきは、さんざん、攻められた、からね、今度は、こっちの番。ほら、ここも」

 

57%の確率でメルテッドスノウ養護教諭と推測。確率向上にはサンプルの取得が必要です。

 

「あっ、そこは……! そんなとこめくっちゃ、やだ……」

 

「ふふふ、ここかな? もっと、いくよ……」

 

ライスの声紋からステータス『困惑』及び『焦り』を確認。

 

「やだ……ぉ、お願いします、もうこれ以上は……」

 

「だめ。容赦、しないよ」

 

「あっ、ああっ、ああああああっ……!」

 

WARNING! WARNING!

身体機能、90%回復。通常動作に問題無し。

緊急行動『飛び起きる』を実行!

 

「何をしているのですか!?」

 

「あ、ブルボンさん起きました?」

 

「ん、良かった」

 

「そんなことより! お二人共一体何をし、て……トランプ?」

 

視覚、100%回復。

トランプでゲームをしているライスとメルテッドスノウ養護教諭を確認。

 

「ん、神経衰弱」

 

・ ・ ・ ・ ・ ・

 

ブルるんが目を覚ましたようですね。良かった良かった。

でも何であんな慌てたように飛び起きたんでしょう? 取り敢えず起きたてのブルるんには状況を伝えておきます。

 

「そうでしたか、私が再起動するまで時間潰しでカードゲームを。ご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ありません。このお詫びは後日改めて必ず致します」

 

「気にする、ことじゃない」

 

「いえ、そういうわけには参りません」

 

こんなことでお詫びをされるようならわたくしお礼やお詫びだけで毎日が終わってしまいます。こちらとしては業務をこなしただけなので畏まられることはしたつもりもありませんし。

しかしなかなか引き下がろうとしないブルるん。そんな思い詰めること無いねんで?

 

「そ、そうだ。ブルボンさんも一緒にやろ? トランプ」

 

状況が平行線になってしまったのを察したのか、そこに助け舟を出してくれるお米様。この娘はほんに健気な娘です。庇護欲くすぐられまくりです。

 

「いえ、私は……」

 

何か言いかけたブルるんが動きを止めます。あれ、またフリーズ? ブルボンプチフリーズ? わたくしはチョコラングドシャが好きです。あ、今は関係無いですねすいません。

 

「ブルボンさん?」

 

再度ベッド行きかと思われましたが単純に考え事してただけみたいですね、すぐ動き出します。

 

「……そうですね、やはり私も混ぜていただいて宜しいでしょうか?」

 

「何か、聞きたいこと、あるって、聞いたけど?」

 

「いえ、それはもういいのです」

 

あれ? あんな勢い良くここに来たくらいだし、かなり気になる案件かと思ったんですけど……まぁ本人が良いって言うなら良いか。無理に聞き出すことも無いでしょう。

 

「そう? ならいいけど。それじゃ、ゲームを変えて、遊ぼうか。そうだな……二人とも、大富豪は、分かる?」

 

お米様がこくこくと頷きます。

対してブルるんはぷるぷると首を振ってます。

ふむ、ルールを説明しても良いですが出来れば二人共馴染みのあるゲームの方が良いでしょうね。

 

「ん、じゃあ……ブラック、ジャックは?」

 

今度はブルるんがこくこく、お米様がぷるぷる。

……あれ、これすごく可愛くね?

 

「ん~……ポーカー、テキサス……」

 

二人ともぷるぷる。

やっべ、超可愛いんですけど。

何これ。延々と見てたい。

 

「ふむ。……ババ抜き、しよっか」

 

二人ともこくこく。

やっべ、超可愛いんですけど。

何これ。延々と見てたい。

 

・ ・ ・ ・ ・ ・

 

「ぴいっ!?」

 

「ライス、そんな分かりやすい反応をしてはメルテッドスノウ養護教諭にバレてしまいますよ」

 

「うん、十分、分かった。引いたね? ババ」

 

という訳で、ただいまババ抜き真っ最中でございますが、表情の読みづらいわたくしとブルるんに、お米様大苦戦中でございます。

にしても本当にこの仕事就けて良かったわぁ。

片や無敗二冠を達成した坂路の鬼、片やその鬼が目指していた三冠を阻止した刺客。そんな超有名ウマ娘とのんびりババ抜き出来るなんて。

 

「そういえば、ライスシャワー、さん。天皇賞、おめでとう」

 

「あ、ありがとうございます」

 

お米様からカードを一枚取りながら雑談です。

先月くらいにこのお米様は春の天皇賞でパクパクさんことメジロマックイーンを制し、更にレコード樹立という偉業を成しています。アニメ2期の8話のアレです。

日曜でしたし、折角なのでわたくしもレース場まで観戦に行きました。京都までくらいなら新幹線で日帰り出来る良い時代です。

にしても、いやぁ凄かったですね会場の熱気やら臨場感やらが。テレビで観るのとはやはり違います。

何でしょう、走るウマ娘ちゃん様達の気迫でしょうか。ビリビリ来るんですよね。ライブハウスか花火大会みたいな感じ。

きっと普通のウマ娘ならこれに当てられて、自分も走りたい競りたい勝ちたいとかウズウズしちゃうんでしょうね。

わたくしの場合はウマソウルが全く仕事しませんので、『うわーみんなすっげー』くらいにしか思いませんでしたけど。

 

「でも、あの天皇賞で勝てたのは、ブルボンさんのおかげなんです」

 

お米様がブルるんからカードを取りながらしみじみと話を始めます。

 

「私、みんなから嫌われてるんです。ブルボンさんの三冠、止めちゃったから。天皇賞でも、マックイーンさんの連覇、阻止しちゃいましたし」

 

「ライスは悪い子なんだ、悪役(ヒール)なんだ。誰もライスが勝つことを望んでない、いらない子なんだって思っていました。天皇賞も、本当は出るのをやめるつもりでした」

 

やや俯くお米様。きっとその時の情景を思い返しているのでしょう。

手元もちょっと震えているような気がします。

ん、あれこれ大丈夫? PTSD気味になってたりしない?

ちょっとその場合はスノウちゃん全力モード解放なんですけど。

 

「けど……けどブルボンさんが、そうじゃないって教えてくれました」

 

そう言って顔を上げるお米様。目には恐怖の色は見えません。むしろキラッキラしております。

良かった。史実(?)通り、受け止められていたみたいですね。

 

「こんな私のことを、ヒーローだって、言ってくれました。みんなの夢と希望を壊したライスのことを、新しい夢と希望を与えてくれたヒーローだって。今は違くても、勝ち続けていればいつか、それは歓喜と祝福に変わるんだって言ってくれたんです」

 

実際何であそこまでブーイング受けてたんでしょうね? 勝負の世界に絶対は無いなんて自明の理だというのに。お米様のヒール要素なんて色が黒い以外に何かあります?

 

「そしてそう言ってくれたブルボンさんも、私にとってヒーローなんです。また彼女と一緒に走りたい、前よりも強くなって戻って来るブルボンさんと競い合えるような、強い自分でありたい。そう思えたからこそ、私は天皇賞で勝つことが出来たんです」

 

「ライス……」

 

そう言って微笑み合うお米様とブルるん。

ぐわああああああぁぁぁぁぁぁっ!

萌えるっ! 萌え尽きてしまうううぅぅぅっ!

なんという尊み! なんという暖かさ!

バ鹿なっ! これが、これがミホライだと言うのかああああっ!! あっ

 

「ライス、私も同じ気持ちです。ですがそれはそれとして、これであと2枚です」

 

「ええぇっ!?」

 

とても濃厚なミホライ成分を補給させていただいた矢先、なんとも容赦の無いブルるんの一言。あの話の流れで淡々とゲーム進められてたんですかい。パないの!

 

「勝負の世界は非情です。レースでも、ゲームでも」

 

「うぅぅ……先生が全然ババ引いてくれないよぅ……」

 

お耳ぺたこして涙目のお米様。おっふ、口からレインボーな何かを吐きそうなくらい可愛すぎるけど手加減はしてあげられませぬ。だってあんまりにも分かり易すぎるんですもの。というわけでわたくしもカードを貰いまして、ぉ、揃った。

 

「勝負の、世界は、非情。私も、あと2枚」

 

「ひ、ひどいよ二人とも……」

 

状況はブルるん2枚、わたくし2枚、お米様1枚といった状況でお米様がブルるんからカードを引く番。

誰かが上がれば、そこからなし崩し的に勝負は決まるでしょう。

お米様がブルるんからカードを引きますが、片方はババが確定してますので揃うはずもありません。続いてブルるんがわたくしから引いて勝負を決めに来ますが、残念揃わず。

さぁ状況変わりましてブルるん2枚、わたくし1枚、お米様2枚のうち1枚はババという状態でわたくしがお米様からカードを貰う番です。

 

「そろそろ、決着と、いこう。ババは、どっちかな?」

 

「ひぅっ! おおおおしえませんんん……」

 

そう言うものの、わたくし側から見てあからさまに引いて欲しそうな右のカードと、手の奥に引っ込めている左のカード。分かり易い。

目線はずっと右のカードを見ている。超分かり易い。

すぅっと手を右に持っていくと耳が立ち明るい表情になり、左に持っていくと耳が萎れて泣きそうな顔になる。分かり易すぎるにも程がある。

けどごめんね、勝負の世界は非情なの。

わたくしは左のカードに指をかけ、抜き取ろうとします。するとそれを持っていかれたく無いのでしょう、お米様がカードを持つ指に力を籠め、抵抗します。

が、そんな抵抗むなしくカードを抜き取るわたくし。

ふっ、勝った。これで……

 

ジョーカー(ババ)だとおおおおおぅっっっ!?

 

この土壇場で自分の読まれ易さを逆手に取りよったぞこの娘!? これまで分かり易い反応を敢えて行うことで、最後の最後、この瞬間にブラフを行い、確実に釣り上げる策……それが今、見事に成立した!!!

なにこの娘、天性のギャンブラーなの!?

お米様、恐ろしい娘……!

最後に差し切る、これが黒い刺客と言われた彼女の真の力なのか……

 

「やった、上がった」

 

そしてしれっとイチ抜けしておられるぞ!?

やばたにえん。マジ卍って感じ。

均衡の崩れた今、もはや決着はすぐでしょう。

ブルるんがわたくしから引く番です。

ぐぬぬ……お米様には完全にしてやられました。流石は大観衆の眼前でレースやライブを行う胆力を持った現役レースウマ娘と言ったところなのでしょう。

 

「これで決着です。申し訳ありません、メルテッドスノウ養護教諭」

 

「くっ……せめて、ビリは、回避して、みせる。さぁ、引くといい」

 

まだわたくし達の戦いは終わっていない。さぁ、勝負ですぞブルるんよ!

スノウちゃん先生の次回作にご期待ください!!

 

・ ・ ・ ・ ・ ・

 

「楽しかったね、ブルボンさん」

 

「えぇ、ライス」

 

私とライスはあの後も雑談を交えながら何度かカードゲームを行い、ひとしきり遊んだのち、寮へと戻って歩いていました。

最初のババ抜きは結果的には私の敗北でした。

ライスの見事な戦略によってダメージを受けていたメルテッドスノウ養護教諭からなら勝ち切れる可能性が高くありましたが、そう上手くはいきませんでした。

 

「でも、本当に何も聞かなくても良かったの?」

 

「えぇ。そもそも完治はしているのです。その状態で相談してもメルテッドスノウ養護教諭を困惑させるだけだと判断しましたので」

 

そう、私達が保健室を訪れた本当の目的。

私の脚についての相談をするつもりでした。

 

去年、ジャパンカップ出場に向けてマスターの指示のもと鍛練を行っていました。

しかし菊花賞でライスに破れた直後だったのもあり、自分でも気づかぬ内に隠しステータス『焦り』を取得していたのでしょう。マスターに指示された以上の負荷を課した結果、大きな怪我を負ってしまいました。

幸いにも怪我は完治しましたが、何か違和感が残ります。具体的には明言出来ませんが、走ると脚のどこかに小さなエラーの発生を感じるのです。

全力で走れないことはありませんが、このエラーを抱えたまま走るのは危険であると判断しました。

私はその旨をマスターに相談し、再度ドクターの診察を受けました。

しかし結果は『異常なし』。ドクター曰く、リハビリを続けていけば自然と回復するのではないかとのことでしたが、何かそういったエラーとは異なるものであると感じます。

 

天皇賞の後、私はライスに現状を伝えました。

このままではライスと全力で勝負することが出来ません。彼女との再戦を。それを目標にこれまでやって来たというのに。

マスターやライスのアドバイスで、私は色々な手段を試しました。

著名な整体師による施術、温泉による療養、心理カウンセリングなど、思い付く限りの事を試してみましたが改善した様子はありませんでした。

 

もはや打つ手は無いのかと思われた時、中庭を歩く私とライスの目に入ってきたのは、『表はあっても占い』という看板を掲げたテント……マチカネフクキタルさんの占い小屋です。

 

占星術などの統計学ならまだしも、水晶占いという非科学的極まりない手法でしたが、駄目で元々くらいの気持ちで私達はテントの中へと入って行きました。

そこで占いを行って頂いた結果が『保健室へ』という一言だけ。フクキタルさんもこの結果に訝しんでいました。こんな短くて具体的な結果が出たのは初めてだと。

保健室……去年からメルテッドスノウ養護教諭が在籍している場所。もしかして彼女が何か治療を行うことが出来るとでもいうのでしょうか。

先程までの非科学的云々のことなど忘れ、私は早足で保健室へと赴き、勢い良くドアを開け放ったのでした。

 

……その後は、結果としてゲームを行っただけでしたが。

冷静に考えれば分かることでした。医療行為を行うことが出来ない養護教諭にこの話をしたところで相手を困惑させるだけであると。

そう、この脚に感じる違和感を……違和感、が……?

 

「違和感が……エラーが、無い?」

 

私はその場で立ち止まります。

恐る恐るその場で足踏みをし、腿上げを何度か行ってみます。最初はゆっくり。徐々に速く。そして全力で。

やはりエラーは発生しません。

 

「ブルボンさん?」

 

数歩先を進んでしまっていたライスが気付き、声を掛けてきます。

 

「ライス。メルテッドスノウ先生は停止中の私に何かしましたか?」

 

私にメルテッドスノウ先生から特別な処置を施された記録はありません。であれば、私の意識が無い間に何かをされたと考えられます。

ライスならその間の私を見ているでしょうし、何かをしていたなら記憶に残っているはずです。

 

「え? う~ん……特に何かをしたりはしてなかったよ。ベッドに運んだ後、()()()()()()()()()()()()()。私もされたけど」

 

しかしライスの話を聞くに、その様子はありません。ですが、少なくとも占いを受けて保健室へ赴くまでは感じていた違和感が今無いということは、確実に彼女が何かをしたということを示しています。

 

「すみませんライス。私はこれから急遽マスターの元へ向かわねばならなくなりましたので先に寮に戻っていてください」

 

「え? う、うん。わかった」

 

ライスと別れ、足早にトレーナー室へ向かいます。一刻も早くこの状態を報告しなければ。

しかし最良の結果に辿り着けたというのに、過程が不明すぎます。

 

メルテッドスノウ養護教諭……あなたは一体、何者なのですか?




■メルテッドスノウのヒミツ②
実は、時々あだ名が独特。変わってるのは自覚してるので口にはしない。

■カードゲーム
スノウちゃんとライスは至って普通に神経衰弱してただけです。
とても健全で安全で安心ですのでその手錠しまっていただけませんかうまぴょい警察さん?
違うゲームの候補として、ソクラテスラってのをやろうかと思いましたが絶対ギャグ回にしかならないので諦め。非電源系ゲームも良いですよね。

■今回のMVP
シラオキ様。
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