そして死神はTとなる。   作:蹴翠 雛兎

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明けましておめでとうございます!
今年も[そして死神はTとなる。]をよろしくお願いします!

さて与太話。年末前に投稿するつもりで書いてたら、気がついたら年明けて4日経ってたぜ…。チクショウ…。
つか、早く描いた勝負服を出したいところ…。

あと、今回、ハリボテエレジーに関してのネタバラシ回となります。
その為タイトルコールはこの話の最後まで読むまでお預けです!

それでは第二話ハリボテエレジー、どうぞ!



第二話 █████████

「___春ですねぇ」

 

空澄み渡り桜舞う季節。

上見上げれば明け方に見れる蒼月一つ。

桜の下で一人、盃に並々と入るる酒に花弁一枚乗せ、吞む一人の青年がいた。

そう、殺せんせーである。

 

「花鳥風月。やはり、こう言うのは、何度見ても良い」

 

そんな風に、程よく酔いに身を流せながらあたり一面の桜を見渡す。

今日は花見をするということで、上野恩賜公園や目黒川沿い等の有名どころより少しばかり人が少なく、それでいて桜100選にも選ばれた桜の名所、埼玉県さいたま市にある大宮公園と来ていた。

 

「___ったく。ずるいじゃねぇか、殺せんせー!先に花見始めてるなんてよ!」

「そうです!そうです!ずるいですよ!」

 

こちらに寄ってくる人影が三つ。

その内、そう抗議の声を上げたのは幼馴染である沖野 リョウとスノーソングこと、雪村あぐりであった。

 

「ぬるふふふ…これぞ、雅な大人な楽しみ方なのでね…ずるいもなにもありません。それにどうやら、お二方もここへ来る途中、色々と食べてる様子。私だけが言われる所以はないはずですが…?」

 

そう言って、ニヤニヤと少し腹の立つ笑みをする殺せんせーに対して、ぐぬぬぬ…と文句がいえない様子の二人。

事実、ここに来る前に綿菓子やらにんじん焼きやらとうもろこしを食べていたため、人のことは言えなかったのだ。

だがここに一人、殺せんせーの言葉にメスを入れられる人物がいた。

 

「___はぁ、そんなことを言って。それで妹と絡んだ時、彼女に嫌われても知らないわよ?」

「ニュヤッ!?」

 

そう呆れながら言ってのけたのは、眼鏡をかけた一人の女性。

東条 ハナ。三人とは高校時代からの付き合いである、仲のいい友人であり、現在、トレセン学園にてトレーナーとして互いにしのぎを削るライバル同士でもあった。

 

「ッ、そ、そんな事はない筈です!私の妹に限ってそそそそそんなことは…!」

「…けど、前に酒をベロンベロンに飲み過ぎて、かなり嫌がられてたじゃない。酒臭い…って」

「そ、そんな…じ事実…h…ニュ、ニュヤ…ニュヤアアアアアアアアアア!!!」

 

そう言われて、精神的に大ダメージを受ける殺せんせー。

元々、前世では家族がいなかった為、今世でできた家族、特に妹であるエレジー達にはかなり甘くなっており、その上溺愛レベルで愛している為、そういう事実の元、嫌われれる様子を想像してしまうと心に深い傷を受けてしまうようになってしまっていた。

哀れ、殺せんせー。

彼の者は、ガラスのように砕け散ったのだった。南無三。

 


シン・殺せんせーの弱点メモ①

例え想像でも、家族(特に妹)には嫌われれたくない。


 

「___それにしても、まさかここにいる全員が難関就職先と名高い中央ウマ娘トレーニングセンター学園のトレーナー業に就職する事ができるなんてね。しかも確か例年の合格倍率って3.2%前後じゃなかったかしら?」

「例年だとな?今年は1.1%*1だ。色々あって、今年だけ採用人数を減らして8名までにした事といつもより多く、就職志望者がいたことが関係してるらしい」

「なるほど…。しかもそこに付け加えて、私は看護教諭、殺せんせー(このひと)は教師も一緒に!ですから、更に確率は低くなるんでしょうね…」

「「いやいや、あんた達だけだから。そんな事をしたのは」」

「ええっ!?そうなんですか!?」

「…にゅや…えぇ。あえてアグリには言いませんでしたが、そうです」

「「あっ、復活した」わね」

 

事実、トレーナー業と他の職業を一緒にしたい!と打診したのは、スノーソング(雪村 アグリ)殺せんせー(五呂 千世)の二名だけ。

ただでさえ、トレーナー以外も含む総合就職率が10%を下回る難関就職先であるため、普通はトレーナー業なり、警備員なり、教員なり、料理人なりと何か一つか二つに絞るのである。

この二人の如く、二つ一緒に同時に兼業しようとするのは就職する確率を狭くし自身の首を絞める事と同意義であると見られてきたのだ。

事実、この二人を除いてもトレセン学園の歴史上、そんなことをしたのは二人だけであった。

正直、頭おかしいんじゃないの?レベルである。

 

「早く言ってくださいよ!?殺せんせー!?」

「そうは言っても、アグリ。貴方そんな事言われても立ち止まったり諦めたりしましたか?」

「…しなかったです。ハイ」

「なら変にそういう話をして緊張させるより、黙っておいて変な緊張を与えない方がいいと思ったのですよ」

「……確かにその方が私の場合は……。そうですね。すみません、殺せんせー。気を遣わせたみたいですね」

 

「…本当、千世くん。人を教えることに対しては人一倍的確ね……」

「まぁ、高校じゃ、殆どそんなことはなかったが、中学の時、教えるのがうま過ぎて、何回か教師と生徒の立場が逆転してるしな」 

「……それ、噂程度には聞いてたけれど。ほんとのことだったのね……」

「あぁ、高校の時は千世の奴、『欲しい知識がある』とか言って海外留学したり、俺たちに勉強を教えたり、シンボリ家に何故か呼ばれてたり、としててあんまそういうことはしてなかったがな。多分、時間さえあれば、あいつはしてたと思うぞ」

 

そう言って、沖野は酒の入ったコップ片手に、いつの間にかBAQセットを広げ、肉を焼く幼馴染二人組を眺めた。

 

「…私達も同じ事が言えるけれども。でもそれはそうとして、この二人がどんなウマ娘()を担当するのか、ちょっと楽しみよね」

「あぁ…。まぁ、あいつらの場合は既に一人、予約済みだがな」

「えぇ、そうですね」

「うお!?お前、いつの間に!?ヌルッとナチュラルに話入ってくんなよ!?ヌルっとさぁ!?つか、ソングはどうした!?」

「あぁ…あぐりならBAQの用意に…」

「いやお前も行けよ…!?」

「まぁまぁ…いいじゃないの?あの子ならなんとかするでしょうし…丁度、私も聞きたかったしね。…それで?その先約ってのは誰のことかしら?差し支えなければ教えてくれないかしら?」

「…そうですね。中等部の娘なんですが未完の大器…とでも言いましょうか?トレーナー次第で最弱にも最強にもなりえる。トランプでいうならジョーカーのような存在。あらゆる意味で二面性を持ったウマ娘ですね」

「へぇ…ずいぶんと詳しいのね?」

「まぁ、妹ですからねえ」

 

そう言って苦笑する殺せんせー。

そりゃ、十数年一緒にいた家族の事だ、何も知らないなんてありえるわけがないのだ。

 

「…へぇ、あの娘だったのね。確かに数年前にトレセン学園に入ったとは聞いてたけれど…。……初担当が妹…ね。しかも貴方の言葉が本当にそうなら、トレーナーの腕を問われるという娘…か。ふふっ♪貴方がどうその芽を育てるか気にもなるわ」

「えぇ、これから見ていてください。必ず、注目の株になると思いますよ。あの娘達は___」

 


 

「___へくちっ!うぅ…」

「エレジー、大丈夫?」

「うん、多分平気だよ。ナースちゃん」

 

今、誰かに噂された気がする。まぁ、今日、私の兄が花見するって言ってたから、話題に私が出たのだろう。多分。*2

 

「それにしても、ごめんね。ナースちゃん。いきなり並走を頼んじゃって…」

「良いの良いの!どうせマシェちゃんに頼まれたんでしょ?『悪い、オレ眠いから代わりに頼む』って。それに私、エレジーちゃん達の身体が()()()()()()なのはわかってるし、なら尚更なんかあった時、お父s…間担当医と貴方の家族から頼まれている上に軽く*3とはいえ医学齧っている私が一番適任でしょ?」

「本当ごめんね…ありがとうぅ…」

「いえいえ♪」

 

そう言って、桜舞う道を一緒にアイラブナースちゃんと走り行く。

穏やかな光が差し込み、心地よい春風が当たってくる。

そんな中、話題は私の…私達の身体へと移る。

 

「にしてもだ。知っているとはいえ…こうしてまじかに見てもエレジーちゃん達がバニシングツインに近い状態で、()()()()()()()あるなんて言われても、見た目からじゃわからないものね…。むしろ二重人格って言われた方が納得行くレベルよ。私だってカルテ見せてもらってなかったら信じてなかったし…」

「あはは…それは()()もそう思ってる」

「おっ、マシェちゃんに切り替わった?」

「ついさっき目が覚めたからな…だそうです。まぁ、今は動きたくないそうで、言うだけ言ってすぐに私に身体の主導権を無理矢理渡しましたけど…アハハハ……」

「エレジーちゃんも大変ね…」

 

そう、聞いててわかったと思うが、私の身体はかなり特殊で。

簡単にいってしまうのならば。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

この言葉に尽きる。

テレビ等で見たことはないだろうか?

身体がくっついた兄弟姉妹の話を。

私の場合はあれがほとんど一体化した状態で、心臓と脳は二つずつで、それ以外は一緒に共有しているのだ。

まぁ、本当に小さい頃はその関係で別々の行動しようとして身体が互いの動きとは別の行動をしたり、互いに喋りたいことはパピエマシェ(エレジー)に遮られたりとしたことがあったけれど、今ではどちらか一方に主導権を委ねることでなんとか生活できるレベルへとなってる。

…まぁ、実は最近編み出したばかりの、ここからもう一歩の先のレベルがあったりするけど、それは今関係ない話である。

 

「それで?そういえばなんで並走を私に頼んだの?もしかして…」

「あぁ…もうすぐ、模擬レースがあるからな」

「それで勝つためにね」

「なるほどねぇ…もしかしてトレーナー狙い?」

 

そう言って茶目っ気たっぷりに笑うナースちゃんにちょっと苦笑する私達。

まぁ、合ってるのは合ってるが。既に決まっているなんてことは言わない方がいいと思った私達は茶化しとくことにした。

 

「んー、まぁ、確かに私達を見つけてもらう人をために探してもらう為に…かな?」

「へぇ…熱心じゃない」

「そんな大層なことじゃねぇよ。オレもエレジーもな。ただそれに加えるなら、やっぱ勝ちたいのもあるからってだけだ」

「いやいや、それだけでも充分だから!?」

 

そうして途中休みつつ走り続けること、2時間ちょい、気がつくと、私達はしながわ水族館のある場所の近くまで来ていた。

 

「あはは…走りすぎちゃったみたいね…」

「だな…。はぁ…アホだな。エレジーは…」

「いや、マシェちゃんも主導権取って止めようとするどころかむしろエレジーちゃんに対してどんどん行け行け状態だったでしょ…。エレジーちゃんもそれをわかってて走ってたし…」

「『…申し訳ない』」

「うん。一人分の声なのに何故か二人分聞こえた気がした…。これが二人の言葉が一致した時の感覚かぁ…こんな所で知りたくなかったなぁ…」

 

そう言ってどこか遠い目をするナースちゃん。

うん、本当にごめん…。

 

「とりあえず、お財布とお金は?」

「持ってる。ナースは?」

「しっかりと持ってるけれど?」

「そっか。…ならさ?折角ここまできたんだし。どうせなら少し海見ていかない?」

「…はぁ、仕方ないなぁ。ちょっとだけだよ?」

「…!ありがとう」

「んじゃ…お先に失礼っ!お二人さん!」

「あっ!ずりーぞ!?ナース!!」

「抜け駆け禁止ー!!!」

「あははっ♪追いついてみなさーい♪」

 

___そして走り出して当たる風には、陽だまりのような匂いがした。

 


 

race:9 STAR+DASHの時間

 

 

またのサブタイトルを。

 

 

第二話 Papier‐mâché(ハリボテ)Eegy(エレジー)

 

*1
参考までに、東大の2022年度の合格率は現役生が33.5%、1浪生が37.6%、2浪生等が8.9%。このことから就職が如何に難しいことかがわかる。

*2
正解

*3
全然軽くではない。専門生レベルである。

この中で見たい内容ある?

  • 殺せんせーのトレセン学園の就職試験
  • 誘拐事件の詳細
  • エレジー、トレセン学園に入学!
  • 雪村あぐりの夢
  • 元生徒にして教師、恩師と会う
  • うるせぇ!(上記全て)いこう!
  • 興味ないね
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