反省会が終わって翌日。
登校すると教室で山田さんが机に突っ伏して死んでいた。
「山田さん、大丈夫ですか?生きてますか?」
「.........」
し...死んでる。
もしかして、学校では話しかけるなという意思表示なのだろうか。
とりあえずそっとしておこう。
そう思い話しかけるのを止めて自分の席に着くことにした。
そして1限2限3限4限が過ぎ去り昼休みになった。
山田さんは朝からずっと突っ伏したままであった。
本当に大丈夫なのだろうか。
そうすると隣のクラスにいた虹夏ちゃんがクラスにやってくる。
「リョウ~楽人クン。お昼ご飯一緒に食べよ!」
朗らかな虹夏ちゃんの笑顔でクラス内の空気が浄化された気がした。
「こんにちは虹夏ちゃん。お昼ご飯を食べるのは構わないんだけど山田さん死んでるよ?」
そう虹夏ちゃんに言うと山田さんを見た虹夏ちゃんは呆れた顔で
「あーこれはご飯を食べてなくて死にかけているだけだから。」
「え...朝ごはん食べていないんですか?」
そうすると山田さんはのっそりと体を起こして
「ううん...二日前から何も食べてない...。」
「なんで!?」
そんなにご飯がたべれないほど生活が苦しいのだろうか。
「リョウの家はお金持ちなんだけど貰ったおこずかいやバイト代を全部楽器につぎ込んじゃうからいつも金欠なんだよ。」
「自業自得じゃないですか!」
そうツッコミすると山田さんは虹夏ちゃんに手をのばして
「虹夏、ごはんちょうだい...。」
とお昼ご飯をせがんでいた。
「あーごめんね。今日は忙しくて購買なんだ。」
「え...」
虹夏ちゃんが山田さんに与える飯がないと言うと山田さんの顔が青ざめ、絶望の表情を浮かべた。
「私は今日、餓死して土に還る...。」
そんなことを言って背を向けてしまう。
その背中からはとんでもない哀愁が漂っている。
「もーそんな拗ねないでよ。」
虹夏ちゃんは困ったようにこっちを見てくる。たしかにこのままでは山田さんが餓死して結束バンド崩壊の危機だ。
「山田さん、もしよかったら俺の弁当半分食べない?」
そう申し出てみると山田さんは「ガバッ」と体を起こし「いいの?」と聞いてくる。
「構わないよ。でも俺が作ったから味の保証はできないけれど。」
そして、弁当の蓋に白米とハンバーグ、ウインナー、卵焼きを取り分けて山田さんに渡す。
山田さんは両手で丁重に弁当を受け取り。「いただきます。」と言って食べ始めた。
「おいしい...。」
「お世辞でもそう言ってもらえてうれしいよ。」
「お世辞じゃなくて本当。卵焼きは甘くて丁寧な焼き加減だし、ハンバーグは肉のうまみがギュと閉じ込められておいしい。」
そう山田さんが感想を言うと虹夏ちゃんが物欲しそうな顔でこっちをみてきた。
「へーそんなにおいしいんだ。楽人くん、私も一口だけでいいから食べさせてくれないかな?唐揚げあげるから。」
「いいよ。じゃあハンバーグと交換ね。はい、どうぞ。」
そう言ってハンバーグを箸で渡すと虹夏ちゃんは口を開けてかぶりついてきた。
「ありがとう!(゚д゚)ウマー! 本当においしいね。楽人くんはいいお嫁さんになれるよ!」
「俺、男だよ? あと俺を貰ってくれる人は多分いないと思うよ。」
「そんなことないよー。」
「うん。わたしを養ってほしい。」
「「え!?」」
「りょ...ryo...りょ...リョウ!何言ってるの?!」
「さすがにヒモを養える能力は俺にはないよ。山田さん。」
「リョウ」
「え?」
「山田さんじゃなくてリョウってこれからは呼んで。」
「呼ぶのはいいけどヒモはさすがに勘弁。」
「わかった。まずは名前呼びで許してあげる。」
「もう!リョウ、そんなに楽人くんをからかわないの!あと、楽人くんもリョウの口車に乗せられない!」
「りょ...了解しました。」
虹夏ちゃんからものすごい覇王色のような圧を感じる。
「虹夏はなんでそんなに怒ってるの?」
「怒ってない!」
口では怒ってないと言っていても明らかに少し怒っている虹夏ちゃんを見てさすがに話題を変えることにした。
「そういえば虹夏ちゃん、後藤さんが結束バンドのメンバーに入ってくれる話はどうなったの?」
「え!あ...うん。昨日、ロインでお願いしたら加入してくれることになったよ。」
「そっか。メンバーが増えてよかった。」
「それでね。今日、メンバー全員で集まってバンドミーティングしたいんだけどどうかな?」
「今日は何も予定入ってないから大丈夫だよ。」
「よかった~。でもミーティングする場所をSTARRYにしようかと思ったんだけどお姉ちゃんが今日はダメって言われちゃってどこでミーティングしよっか。」
「うーん。楽器が使えて騒いでも問題ない場所か...じゃあ俺ん家にする?」
「え!いいの?」
「うん。俺の親父、音楽関係の仕事をやってて防音性の高いスタジオを家に作ったんだ。だから今日はそこでミーティングしない?」
「でも家の人の迷惑になったりしない?」
「家族はたまにしか帰ってこないから全然構わないよ。むしろいつも家でひとりだから偶には人を呼ばないと。」
「そっか、じゃあお願いしてもいいかな?」
「OK。じゃあ後藤さんにも連絡しといて場所は駅の近くだから駅で待ってって。」
「うん!すぐ連絡する。 あ!あとリョウ。今回は強制参加だからね。」
「えー」
めんどくさそうにリョウさんは返事をした。
「リョウさん今日はごはん分けたのでちゃんと来てください。」
「うっ...了解...。」
なんとか昼食をダシに参加を確約させた。
「よーし!今日の放課後は楽人くんの家でバンドミーティングするで決定!それじゃあ、また放課後にね~。」
「うん。またあとでね。」
そう返事をしてちょうどチャイムが鳴り虹夏ちゃんは教室に戻っていった。
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虹夏ちゃんに軽蔑した顔でにらんでほしい。
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