ニャオハ、キミにきめた! 作:アニポケ続け
俺、グレープアカデミーに通うサトル、夢はポケモンマスターになること!
チャンピオンランクでまだまだ強くなろうとするネモ、秘伝スパイスを求めてヌシポケモンを探すペパー、パソコンを常に持ち歩いていて頭が良いボタン、ミライドンに乗って冒険を楽しんでいるアオイ、他にもいっぱい友達がいるんだぜ。
特にネモやアオイとは同じタイミングで校長からポケモンを貰ったから、ライバルとして競い合ってきた。ネモは様々なポケモンを使いこなすし、アオイは最初の相棒のホゲータと息が合っているし、あいつらとのバトルはとても楽しい。
もちろん俺のニャオハもかわいいやつでなつかれてよく肩に乗ってきていた。スピードが自慢の俺のエースの1匹だ。
そんなニャオハもバトルを通して成長して最近進化したんだ。ずっとニャオハのままだったからフシギダネのように進化したくないのかと思っていたけど、まあそこはこいつの希望次第さ。
「アオイ、バトルしようぜ!」
「ボクとバトルしよっか。だから離れて?」
「ニャ!」
顔を合わせる度にお互い威嚇していて、こいつらホント仲が悪いなと思いつつ、苦笑いしてしまう。
そういえばこいつがボールに入りたがらないのは進化してもそのままで、まるでピカチュウみたいだよな。他にも戦いたがっているポケモンはいるが、やっぱりアオイとのバトルはこいつが1番手だ。
「よし! キミにきめた!」
「……は?」
「ニャ♡」
俺の隣からバトルコートへ嬉しそうに歩いていくと、アオイも勢いよくボールから炎を纏うポケモンを繰り出した。
そうか、お前も進化したんだな。
この地方でのバトル&ゲットの日々は、あの日から始まった。
学校へ入学する前にニャオハと出会ってからだ。
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父さんもママも凄い人で、だから仕事が忙くて、よくおばあちゃんや博士のところに住んでいた。でも仕事がない時にはたくさんの地方に旅行へ連れて行ってもらえた。それで今回、ママが学校に通わせたいって話になって、俺はまだ行ったことがなかったパルデア地方へやってきたんだ。
俺たちは3匹のうちからそれぞれポケモンを選んで、早速バトルをすることにした。
「よっしゃ! 早速バトルしようぜ」
「アハハ 楽しいバトルになりそうだね!」
この地方におけるチャンピオンってのはどれくらいの強さか分からないけど、俺の勘はネモもいつかああいう舞台に立つって確信があった。ここ数年は新米トレーナーが入り込めない程、参加者のレベルが上がっているせいで、みんな諦めているようだけど、俺たちは必ず駆け上がってみせる。
ここはやっぱり、もらったばかりのこいつだな。
「ニャオハ、キミに決めた!」
「クワッス! いってみよっか!」
初めてのバトルでニャオハはオドオドしていたけど、俺の指示で勢いをつけて走ってバトルコートへ向かった。
「ニャオハ~! リラックスしていけ~!」
「クワッス! 燃えていこ!」
呼びかけを受けて、緊張していたニャオハは少し肩の力が抜けたようだ。クワッスはネモのかけ声で少しはやる気になったみたいだな。
「……水タイプに草タイプ、クワッスが不利ですね」
「ほほう。アオイさんは博識ですね」
校長先生とアオイもバトルコートへやって来たようだ。見つけたリンゴを精いっぱい両手で持っているホゲータって、マイペースそうだな。
「クワッス先手必勝! はたく!」
「来るぞ! ジャンプしてかわせ!」
しかし4本足でほんの少しジャンプしたくらいですぐに地面に降りてしまい、白い翼のはたくがヒットしてしまうと、ニャオハは地面を転がってくる。
うるうるとした瞳で俺を見てくるけど、あれは失敗してごめんなさいって感じかな。でも痛みはこらえていてえらいな。
「ニャオハ、タイミングが早かっただけだ。次はいけるぞ!」
「もういっちょ、はたく!」
ニャオハは俺を信じて再び構えた。
1,2,3
「そこだ! 跳べ!」
「うそっ!? サトルとニャオハやるじゃん!」
俺の指示に応えてくれて、ぴょーんと躱す。しかもさっきより高くジャンプしたのに着地も上手だ。バトルの途中だというのに、嬉しそうにニャオハは俺に近づいてくるので、その頭をナデナデする。
「……大袈裟じゃない?」
「そうかもしれませんね。ですが、ポケモンとの絆は、時にレベルやタイプ相性をも覆す。それを示し続けるトレーナーが現在、ポケモントレーナーの頂点にいますし」
アオイに校長先生がそう話しているけど、へへっ、父さんとピカチュウの姿をいっぱい見てきたからな。
「いいね。じゃあこういうのはどう。みずでっぽうを地面に!」
「ネモもさすがだぜ。ニャオハ、相手は手強いぞ」
「ニャ!」
クワッスの口から出る水が狙ったのは地面で、足元がぬかるんだことでニャオハのスピードを活かしづらくなった。それは相手も同条件だが、みずでっぽうは遠くから攻撃できる技だから、こっちから仕掛けるしかないよな。
「ニャオハ! たいあたり!」
「クワッス! なきごえ!」
ただでさえ踏み込みが甘かったのに、なきごえによってタックルの勢いが弱まってしまう。
次ははたくの体勢になっているし、空中にいる間にそれで決めるつもりだな。お互いにまだ不利な体勢から、自分の必殺技を出せないのを読まれている。
「たいあたりでそのままつっこめ!」
すごい威力のたいあたりに、ネモも俺も目を見開いた。
「チャンスは逃がさないよ! はたく!」
「……これで決まった?」
「はい。そうなるか、あるいは」
耐えてくれよ、ニャオハ。
今はチャンスを待つんだ。
「……ニャ!」
「よしっ! 全力でこのはだ!」
「クワッスもガッツ見せて!」
はっぱカッター程ではないが、葉っぱがクワッスへヒットする。
確かに良い草技だったけど、いや、思っていたより威力が出てないのは、ゴウカザルのようにあの起死回生の現象が起きていないからだ。
そうか、このニャオハも特性が通常とは違うんだな。
「えらいぞクワッス! みずでっぽう!」
「ニャ!?」
「ニャオハ~!?」
俺はニャオハを抱え込んで、ハイドロポンプかと見間違うレベルのみずでっぽうを避ける。ちょうど発動していたようで、危なかったぜ。
「サトル!?」
「サトル君!?」
「正気!? ポケモンバトルに飛び込むなんて!?」
心配して駆け寄ってきてくれたけど、トレーナーがバトルに割り込んだし、もし仮に俺が助けなかったら直撃して負けていたし、この地方での初戦は負けからスタートした。悔しいな。でもそれ以上に俺のせいで負けたから、ニャオハに申し訳ない。
「えっと、ごめん。まさかあそこまで威力が出るなんて思わなくて」
ネモのせいじゃないからと俺は首を振って、帽子のつばで顔を隠そうとしたが、ニャオハが心配そうに見上げてくる。
俺がこんなんじゃ、ニャオハもとことん気にしちゃうな。
「ありがとう、楽しいバトルだったぜ」
「え、うん! 私もサトルたちとのバトル楽しかった!」
ねっクワッス、ってネモが呼びかけるとサラリと髪をかき上げるかのような仕草をするこいつも強くなる可能性を秘めているし、ニャオハのライバルになりそうだ。
「ああ。クワッスもすげぇみずでっぽうだったぞ! 威力ハイドロポンプだ!」
「プッ、何そのたとえ。でもすごかったよね」
爪を立てないように、うるうると涙目のニャオハが抱き着いてくるけど、甘えん坊だな。
「絶対リベンジするからな」
「おっ、じゃあ私も次のポケモンを」
「はいはい、そろそろ学校に行く時間ですよ」
残念、校長先生にこれ以上のバトルはお預けにされてしまった。
これから各自で学校を目指すことがまず第一の課題らしい。まだ木の実をむしゃむしゃと食べているホゲータにため息をつきながらアオイは寄り添うようにしゃがんだし、クワッスを親に紹介してくるってネモは一度屋敷へ戻っていった。
ニャオハをタオルでしっかり拭いてから、きずぐすりで治療する。父さんの友達からこういうの教えてもらってよかったな。綺麗好きでたぶんこいつメスだろうし。
これからもっとこいつのことを知って、こいつに合ったバトルを一緒に探さないとな。いくら似た特性の2匹が一緒にいるとしてもだ。
「ねぇ、夢ってある? ポケモントレーナーになって何がしたいの? ジムリーダー? チャンピオン?」
「ん? ポケモンマスターになることさ」
ニャオハを肩に乗せつつ、もっと青空を指で指しながらそう答えると、アオイは首を傾げた。
「ニャ~」
顔の側でニャオハが重くないかと気にしたみたいなので、指で頬を撫でてやると、バトルで疲れたのか肩の上でビターンと垂れた。モンスターボールに戻るか聴いてみたらプイッてされたし、ホントかわいいやつだ。
「……そっか、夢をちゃんと持ってるんだ。ボクにはまだないよ」
「いいじゃん。そのうち決めたら。これから学校に通うんだしさ」
ホゲータが満腹そうにポンとお腹を叩いて、早く行こうと促してきた。ほんとマイペースなやつだな。動きが読めなさそうである意味、手強いかも。
「ホゲータが一緒に夢を見つけようってさ」
「うん。夢、一緒に見つけてみるね。ありがとうサトル」
ようやくほんの少し笑顔を見せて、アオイも自分の家へ一度戻るためにホゲータとゆっくり歩いていく。
さて、俺は先に行こうかな。
どんな未知のポケモンと出会うかワクワクしているしな。ファイアローの進化前のヤヤコマだって空を飛んでいってるから、ゲットするかは後で決めるとして、まずは追いかけてみるか。
「ニャオハ、しっかり掴まっておけよ」
「ニャ~ン」
冒険の一歩を勢いよく踏み出した。