私はフローラ・クリスト人間ではなく浮遊都市《アンファング》のコンピューターです、嘗て《リベル=アーク》や《輝く環》を建造した人々によって造られた《リベル=アーク》のプロトタイプのコンピューターでした…当時の私は《リベル=アーク》や《輝く環》を完成させるための試作品兼工場として認識され、名は無く型式番号のみでした。
現在の私はリィン様にお仕えするメイドであり、フローラという名もリィン様につけて頂きました。
本来ならば今頃はリィンと一緒にリベールに入国していた筈でしたが《アンファング》の留守を任せていた蜘蛛型が何者かのハッキングを受けて防衛に梃子摺っているとの報告が入ったので止む無くリィン様と別れ《アンファング》に戻りました…
フローラ「しかし、《道化》…ねぇ?今の人間がハッキングの技術を持ってるなんて少し甘くみていたかしら?蜘蛛型を少しアップデートさせるべきかしらね」
中々に腕の立つハッカーですがプロトタイプとはいえ《リベル=アーク》に搭載されているコンピューターとほぼ同じスペックである私の敵ではありません!《道化》は敵わぬと見て退却していきました。ついでに《道化》の発信元を追跡、気付かれぬ様手早く確実に相手方データベースをハックして逆に抜き取りました。
フローラ「《身喰らう蛇》…それが《道化》の所属する組織ね…構成員、幹部クラスは流石にセキュリティが高いからこれ以上は無理ね?でも少なくとも科学技術は今の人間達の中ではトップクラスに高いわね…此処を特定出来るとは思えないけど念には念を入れるべきね」
私は蜘蛛型から受け取ったコーヒーを飲みながらそう結論づけたました…因みに私の身体は確かに機械ですが人間と同じ様に《食べる》や《飲む》といった行為もできます。勿論摂取した食べ物はエネルギーに変換されます…お陰でリィン様の食事のお世話には困りません。
フローラ「深さは…13セルジュ(1300m)程度の海の中に潜降して、シールド展開海面に降下…潜降開始…目標深度迄5・4・3・2・1・0…目標深度到達、シールド異常なし水圧問題無し…これで彼等に見つかる可能性は低くなったかしら?…《身喰らう蛇》少し厄介な相手になりそうね。余り関わりたくないけど状況次第では…フゥ、リィン様に報告しないといけないわね」
疲れは感じない筈ですが精神的にというかサーバー的に負荷が少し掛かってるのかしら?
フローラ「とにかくリィン様と合流しないと…いきなりリベールに転移するのは駄目ね、やっぱりサザーランド州のパル厶の町からタイタス門に入って入国するのが確実かしら」
《アンファング》のトラブルも解決したから転移装置に乗り込み座標を設定する
フローラ「じゃあ留守番を頼むわよ。念の為ファイアウォールの強度は上げとく様に」
私は蜘蛛型にそう伝え転移した…
カルバート共和国首都イーディス トリオンタワー屋上
フローラ「…なんでカルバートに転移するのよ?」
《アンファング》に通信を入れると転移装置が直前にバグを起こしたらしく復旧には48時間掛かると報告してきた。
フローラ「はぁ…でもまぁある意味丁度良いかしら?カルバートの実態を見て回りましょう」
そうして私はトリオンタワーから跳び降りて人ごみの中に紛れ込みました…
ー某所ー
???「う〜ん、可笑しいな〜?」
???「あらカンパネルラそんなに首を傾げてどうしたの?」
???「あ、レン…いやね?さっきまで正体不明のコンピューターをハッキングしてたんだけどね?一度も突破出来なくて退散したんだよ〜」
???「へぇ~未だ普及していないハッキング対策を講じた所が有るのね〜しかもカンパネルラが音を上げるレベルなんて相当じゃない?でも正体不明ってどういうこと?」
???「そのままの意味さ、全く何も知らないし追跡しようにもあっという間に姿を晦ますんだ」
???「へぇ…?ちょっと興味湧いたかしら」