エステル「な、何でロランス少尉が……!どうしてここにいるのよ……」
ロランス「ふふ……私の任務は女王陛下の護衛だ。ここにいても不思議ではあるまい?」
エステルの誰何にロランス少尉は事も無げに歩きながら言った
エステル「ふ、ふざけないでよ!幾らアンタが腕が立ってもこっちには四人いるんだから!」
シェラザード「なに、コイツ……随分腕が立ちそうね。一体何者なの?」
エステル「情報部、特務部隊隊長。ロランス・ベルガー少尉!元猟兵上がりで大佐にスカウトされた男よ!」
ロランス「ほう?そこまで調べていたか。流石はS級遊撃士カシウス・ブライトの娘だ」
ロランス少尉は感心した様に呟いた
エステル「!!!」
シェラザード「民間には公表されていない、先生のランクを知ってるなんて……コイツただ者じゃないわね」
ロランス「ふふ……お前の事も知っているぞ?ランクC、《銀閃》シェラザード・ハーヴェイ。近々ランクBに昇格予定らしいな」
シェラザード「………」
ロランス「最も貴様の事は判らなかったがな、リィン・アイスフェルト。エレボニア帝国リーヴス在住……従者のフローラ・クリストと共に暮らしていた……ただ〘それだけ〙しか出てこない……それ以前の情報は無い、どういう事かな?」
リィン「……さてね?エレボニアの戸籍は色々と問題(……)があるからな、そのせいじゃ無いのか?」
ロランス「問題か………フフフ、確かに彼の国は問題が多く抱え過ぎてるからな。そう言う事もあるだろう…」
クローゼ「あの……お祖母様を解放して下さい。もし貴方が大佐に雇われただけなのならもう戦う理由は無い筈です」
ロランス「この世を動かすのはなにも目に見える物だけでは無い。クォーツ盤だけ見ていては歯車の動きが解らぬ様に……」
クローゼ「………貴方には貴方の思惑があって大佐に従っている……そういう事ですか?」
ロランス「ふむ?ただの世間知らずの姫君かと思っていたが……少し侮り過ぎましたかな」
クローゼの言葉に少々驚きつつもロランス少尉は言葉を続けた
ロランス「ならば尚更心せられよ、クローディア姫。国家というのは複雑なオーブメントと同じ、人々というクォーツから力を引き出し数多の組織、制度という歯車……それを包む国土というフレーム……その有様を把握しなければ貴女は女王としての資質を問われる事になりましょう」
クローゼ「……御忠告痛み入ります」
アリシア女王「中々面白い喩えをするものですね。ですが……その通りかも知れません。まさか、この場で国家論を聞くとは思わなかったけれど……」
ロランス「フ……これは失礼した。陛下には無用の説法でしたな」
エステル「な、なんかよく判らないけど……要するに女王様を解放する気は無いってわけね?」
ロランス「だとしたら……どうする?」
エステル「決まっている……力ずくでも返してもらうわ!」
シェラザード「そうね……ここまで来て後に引けない」
クローゼ「貴方からは敵意を感じられませんけど……お祖母様を取り戻す為なら剣を向けさせていただきます!」
リィン「………」
エステル達はそれぞれ武器を構えロランス少尉に向けた
ロランス「フフ……良いだろう、ならばこちらも少し本気を出させてもらうぞ」
エステル「え……!?」
ロランス少尉は自身のヘルムを投げ捨てると素顔を晒した
ロランス「…………」
エステル「……銀髪……」
シェラザード「いや……アッシュブロンドね……どうやらコイツ……北方の生まれみたいだわ」
ロランス「フフ……北であるのは間違い無い。まぁ、ここからそれほど遠くは無いがな」
クローゼ「え……」
ロランス少尉は剣を構え言った
ロランス「お前達に手加減をするつもりは無い……行くぞ」
ロランス少尉はそう宣言した後凄まじい捷さでエステルの懐に入った。本人が『ソレ』を認識するのが遅れた
エステル「えっ………?」
ロランス「遅い……!」
エステル「ク…っ(やられる………!)」
シェラザード「エステル!!」
クローゼ「エステルさん!?」
エステルにとっては全てがスローモーションに写った。自身に迫るロランス少尉の斬撃、こちらに駆け寄ろうとしている二人の姿…その一瞬の時間に自身の前に割り込みロランス少尉の斬撃を防いだ人物…
ロランス「ぬ……!」
エステル「え……っ?」
クローゼ「リィン……!!」
リィンはロランス少尉の斬撃を弾きエステルの前に立った
エステル「あ、ありがとう。リィン助かったわ……」
リィン「………エステル、三人で女王陛下の傍に行ってお守りしてくれ」
エステル「え?で、でも全員でかかれば……」
リィン「今の斬撃見ただろう?言い方が悪いが今の三人ではロランス少尉の足元にも及ばない」
エステル「ムグ……ッ!」
反論できないエステルは喉を詰まらせた
シェラザード「だとしてもアンタも同じでしょう!?幾ら八葉の中伝とはいえ……!?」
シェラザードは尚も一緒に戦う事を言おうとしたがリィンの髪が白髪になっていくのを見て息を呑んだ
クローゼ「リィン……!?」
リィン「負けるつもりは更々ないですよ……ただ斬り合いになると女王陛下の安全が疎かになりかねませんので……」
リィンは紅い瞳で太刀を構えながらロランス少尉に膨れ上がる剣気を向けていた
エステル「ク……ッ!本当に生命を粗末にしないでよ!クローゼが泣くんだから!!」
エステルが唇を噛み締めながら女王の元に走り…
シェラザード「エステルの言う通りよ!アンタには待ってる人は沢山いるんだからね!!」
シェラザードもリィンに忠告してから走り…
クローゼ「リィン……」
リィンは目だけをクローゼの方に向けたが寂しげに笑った…
リィン「……怖いか?クローゼ……?それは仕方ない感情だよ。怖いなら俺から離れても…「見縊らないで!」…クローゼ?」
クローゼ「貴方が怖い!?そんな訳無いじゃない!貴方は私やお祖母様を助ける為に『そうしたんだ』よね!?なら恐れなんてするわけ無い!」
リィン「クローゼ……」
クローゼ「だから……勝って!」
リィンはクローゼのその言葉に優しく微笑み
リィン「………行って…!」
クローゼ「うん……!」
クローゼもそう言って女王の元に走った…
ロランス「終わったか?」
ロランス少尉も剣気を高めながら問うた
リィン「あぁ……悪いな、待たせてしまって」
ロランス「何、大して待ってなど無い。考えてみれば貴様とは剣を一度も交えていなかったからな、その『力』も見るのも丁度良い……八葉が中伝、どの程度の物か試してくれる!」
ロランス少尉は剣気を爆発させながら剣を構えた
リィン「それは此方の台詞だ……!八葉が一刀……受けてみるが良い!!」
そう言って互いに素早く奔り剣を交えた………!