カルバート共和国 首都イーディス トリオンモール
予定外にカルバートに来てしまったけど成程確かに人種の坩堝である。白人も居れば黒人や東方から来た人間も居る、これなら私一人紛れても目立た無いだろうと思ったのだけど…
フローラ「何だか周りの視線が私に向いている様な?…メイド服が目立つのかしら?」
そう思ったけど聞こえてくる声で判明した…
『綺麗…』『モデルさんかな?髪がサラサラ〜』『おい、お前声掛けろよ?』『馬鹿!あんな美人俺達なんて相手にする訳ないだろう!』『何処のメイドだ!?是非雇い…』『ア・ナ・タ?(怒)』『いやまって!じょうだ…ギャァァァ!』
どうやら私の容姿に視線を集めてるみたいだけど私自身何処にでもいるメイドなんだけど…せいぜいが帝国のリアンヌ・サンドロットをモデルにしている程度だから注目されるとは思わなかったわ…
フローラ「…まぁ、他者がどう思うのかは自由だし、どの道そんな長く滞在する気もないから放っておくのが一番かしらね」
そんな周りの喧騒を私は無視して近くの観光案内所からパンフレットを貰い何処に行くのかを検討する
フローラ「…とりあえず中央駅前通りに行った方が早いかしらね、転移装置を使うにしろ鉄道を使うにしろ一度は確認しておいて損はないわね」
私はそう結論づけてバスに乗り込みバスに揺れる事二十分で駅前に到着した
フローラ「さて、駅員に尋ねて…あら?」
「カルバート政府は移民政策を見直すべきである!」
「移民に仕事を与えるよりも国民を先に仕事を与えろー!」
広場で集団が何かを叫んでいた。どうやら移民政策に反対するグループの抗議集会らしい、でも…
フローラ「何か違和感を感じるわね…」
???「彼等の大半は《貴族》だからじゃないかな?」
違和感が分からずモヤモヤしていたが第三者の声がそれに答えた
振り向くとスーツ姿の男性と小さい女の子の手を握りながら此方に近付いてきた…
???「やぁ、こんにちわ旅行者かな?」
フローラ「ええ…エレボニアから来ました。貴方は…?」
???「あぁ、失礼私はロイ・グラムハートという者だこっちは娘のアニエスだ、ほらアニエス挨拶しなさい」
アニエス「あ…はじめまして、あにえす・ぐらむはーとです」
その年相応の反応に微笑ましさを感じ私は彼女の目線まで屈んで頭を撫でながら此方も名乗った
フローラ「そう、私はフローラ・クリストというの宜しくねアニエスちゃん」
アニエス「うん…」
ロイ「済まないね、娘は恥ずかしがり屋でね」
フローラ「いえ、気にしていません。それでグラムハートさんさっきの言葉はどういう意味ですか?」
ロイ「そのままの意味さ彼等の構成員の大半は《カルバート貴族》を占めてるんだよ…勿論本当に移民に反対している一般市民も参加しているがね」
確かカルバート貴族といえば革命後に様々な特権を失い一部の成功者を除き殆ど一般人と変わり無いと聞いたが…
フローラ「まさか〘夢よもう一度〙と復権を夢見てると?」
私は呆れ気味にそう言うとグラムハート氏は肩を竦めながら答えた…
ロイ「そうだと思うよ、まぁ実際彼等の視点だと移民は神聖なカルバートに入れたくないというのもあるだろうがね」
フローラ「取り締まりはしないんですか?普通に内乱罪適用出来そうな気がしますが…?」
ロイ「彼等は法に則り集会の申請をして【上】はそれを認めている。そして彼等は只主張をしているだけだ…それがどんなに過激な〘主張〙でもね?」
フローラ「…一応聞きますが本気でそう思ってます?」
ロイ「想像にお任せするよ」
そう言って再び肩を竦めるグラムハート氏…
ロイ「そう言うフローラ嬢はどう思うのかい?エレボニアの視点も些か興味があるが…」
フローラ「(正確にはエレボニア人ではないのだけれど)…移民に関して言えば目くじらを立てる必要性なんて感じません。彼等がカルバートに住み、法を守り税金を収め、その国家に帰属することを選んだのなら〘同胞〙として迎えるのは筋じゃないかとは思いますが…」
ロイ「…成程、参考になったよ。君はこれからどうする気だね?」
フローラ「元々駅の時刻表を調べる予定でしたのでこのまま駅に入ります」
ロイ「そうか…ではここでお別れだね、ほら、アニエス?」
アニエス「あ、あの…おねぇちゃんさようなら」
フローラ「フフ…ええ、さよならお父さんと仲良くね?」
アニエス「うん…!」
そうして私はこの二人のカルバート人親子と別れた…父親が後に次期カルバート大統領に就任するなど予想しえないまま…