遂に遺跡の最深部に到達しリシャール大佐がいる空間に突入するとそこには四つの柱と奥に《ゴスペル》を設置した台座があり傍にリシャール大佐がいた!
リシャール「……やはり来たか。何となく君達が来るのではないかと思ったよ」
エステル達の気配を察したリシャール大佐が振り向きそう言った
エステル「リシャール大佐……アタシ達、女王陛下に頼まれて貴方の計画を止めに来たわ」
ヨシュア「まだ《ゴスペル》は稼働させて無いみたいですね。今なら……まだ間に合います。それを外して投降して下さい」
リシャール「ふふ、それはできん相談だよ」
ヨシュアは投降勧告を出したが大佐はそれを拒否した
エステル「な、なんでよ!?そもそも《輝く環》って何!?そんなもの手に入れてどうしようって言うのよ!?」
リシャール「……嘗て古代人達は天より授かった《七の至宝》の力を借りて海と大地と天空を支配したという。その至宝の一つが《輝く環》だ」
フローラ「……」
リシャール「もし、それが本当に実在していたとしたら……国家にとって、それがどういう意味を持つか君達に分かるかね?」
エステル「こ、国家にとって……?」
フローラ「………周辺諸国に対抗する強力な武器を手に入れる……つまり、そう言う事ですね」
我が意を得たりとリシャール大佐は頷いた
リシャール「その通り……知っての通り、このリベールは周辺諸国に国力で劣っている。人口はカルバートの五分の一程度。兵力に至ってはエレボニアの僅か八分の一にしか過ぎない。唯一誇れる技術力の優位性は何時までも保てる訳ではない。だからこそ二度と侵略を受けない為にも我々には決定的な『力』が必要なのだよ!」
エステル「だ、だからといってそんな古代の代物をアテにしなくても良いじゃ無いの!十年前の戦争だって何とかなったんでしょう!?」
リシャール大佐の顔に陰が刺した
リシャール「あの侵略を撃退出来たのはカシウス・ブライトが居たからだ。だが、彼は軍を辞めた。国を護る英雄は去ったのだ。そして、奇跡というものは女神と彼女に愛された英雄にしか起こすことは出来ない……」
エステル「………………」
リシャール「だから私は、情報部を作った。情報戦で他国に一歩先んじる事もそうだが……あらゆる情報網を駆使してリベールに決定的な『力』を与えられる物を探していたのだよ。リベールが苦境に陥った時に再び奇跡を起こせるようにね」
エステル「それって……奇跡なのかな?」
リシャール「………なに………?」
エステルのその一言に怪訝な顔をしたリシャール大佐はエステルの顔を見た
エステル「えっと………アタシ達は遊撃士でみんなの大切な物を守るのがお仕事だけど……でも、守ると言ってもただ一方的に守る訳じゃない。どちらかと言うと皆の守りたいという気持ちを一緒に支えてあげたいという感じなの」
リシャール「それが………どうしたのかね?」
エステル「父さんだって一人で帝国軍を退けた訳じゃ無い。色々な人と助け合いながら必死に国を守ろうとしたんでしょ?皆がお互いに支え合ったから結果的に、戦争は終わってくれた。大佐だってその中の一人だったんでしょ?」
リシャール「………………」
リシャール大佐は虚を突かれた顔になっていた
エステル「今、アタシ達がここにいる事だって同じだと思う。大佐の陰謀を知った時は正直かなり途方に暮れちゃったけど……それでも、色々な人に出会い助けられながらここまで辿り着く事が出来たわ。それだって、奇跡だと思わない?」
リシャール「………………」
エステル「でも……それは奇跡でもなんでもなくて……アタシ達が普通に持っている『可能性』なんじゃないかって思うの。もし、これから先また戦争が起きたとしても……皆がお互いに支え合えば何でも切り抜けられる様な気がする。わけの分からない古代の力よりその方が確実よ、絶対に!」
ヨシュア「エステル……」
クローゼ「エステルさん……本当にその通りだと思います」
フローラ「(わけの分からない力………か、フフ少々複雑だけど…きっとそれは正しい在り方なんだわ)……エステルさんらしい答えですね」
リシャール「フフ…強いな君は……だが人は君の様に強く無いのだよ。目の前にある強大な力……その誘惑に抗う事は出来ないのだ。ましてや私はこの日の為に準備を重ねてきた……どうして引き返せようか」
ヨシュア「………………大佐、一つ教えてください。どうやって大佐はこの場所を『知った』んですか?」
リシャール「なに………?」
ヨシュア「陛下すら知らなかった禁断の力が眠っている古代遺跡………ましてや、宝物庫から真下にエレベーターを設置すれば遺跡の回廊に繋がっている………そんな情報、如何に優れた情報網を持った貴方でも不可能な筈だ!」
リシャール「そ、それは……」
ヨシュア「そしてその《ゴスペル》………ツァイスの中央工房を遥かに優れた技術力で造られた謎の導力器……貴方は、それを一体何処で手に入れたんですか?」
リシャール「………答える義務は無いな……」
ヨシュア「違う……!貴方は答え無いのではなく、答えられないんだ!違いますか!?」
リシャール「!!!」
エステル「ど、どういう事、ヨシュア!?」
ヨシュア「貴方はこの場所に《輝く環》という強大な遺物が眠っていると確信していた。そして、その黒いオーブメントを使えば手に入ると思い込んだんだ。だけどそう思ったきっかけがどうしても思い出せない。そうなんでしょう!?」
リシャール「………………」
図星らしくリシャール大佐の顔が歪んだ
エステル「そ、それって記憶を無くしちゃった他の人達と同じって事!?」
リシャール「それがどうしたと言うのだ!強大な力の実在はこの地下遺跡が証明している!人形兵器にしても現代の技術では製作はおろか複製すら不可能だ!ならば……私は私の選んだ道を征く迄だ!」
リシャール大佐が合図すると二体の人形兵器が降りてきた
リシャール「君達の言葉が真実ならば私を退けてみるがいい……それが叶わないのであれば只の青臭い理想にしか過ぎん。とくと見せてやろう!《剣聖》より引き継ぎし技を!」
リシャールは自分の太刀の鯉口を切りながら構えた
エステル「言ってくれるじゃない!」
ヨシュア「そちらがその気なら遠慮なくいかせてもらいます!」
遂にリシャール大佐との戦いの火蓋が切って落とされた
フローラ「大佐!馬鹿な真似は辞めてください!」
フローラは人形兵器達の攻撃を掻い潜りながらリシャール大佐に銃撃しながら接近した
リシャール「君は確かリィン君のメイドだったな、エレボニア人ながら好感が持てたのだか……やはり主君共々私の前に立ちはだかるか……!」
リシャールは弾丸を弾きながらフローラを切り捨てようとしたがフローラは上に跳びリシャールの頭上から銃弾を浴びせた
フローラ「エステルさん達の話を聞いてもまだ《輝く環》が欲しいのですか!?」
リシャール「欲しいとも!さっきも言ったが大国と対等に渡り歩くには強大な力が必要だ!リベールの独立と平和の為には是非とも欲しい物だ!!」
リシャールは後ろに跳び、銃撃を避け着地したフローラに再び斬り掛かるがフローラはサブマシンガンを盾にして防ぐ
フローラ「それが破滅の力だとしてもですか!?」
フローラは半ば切られたサブマシンガンを捨て太股に装備していた大型ナイフを取り出しリシャールと切り結ぶ
リシャール「破滅……?そんなものは古代人達が上手く扱えなかったからだ!我々はそんなミスは侵さん!!
フローラ「彼等は貴方達と同じ人間でした!泣きもすれば笑いもし、悲しみ怒りも有りました!貴方が彼等と同じミスを冒さない保証なんてありません!」
リシャール「まるで見た事がある様な口振りだね。だが仮に君の言う通りだとしても私の決意は揺らがん!」
リシャールはフローラのナイフの一閃を頭を下げて躱しその一瞬に彼女の懐に入り蹴り上げた
フローラ「がッ!?」
リシャール「これで……ッ!?」
クローゼ「させません!」
リシャールはフローラにとどめを刺そうとしたが人形兵器を撃破したエステル達が合流した
エステル「大丈夫、フローラさん!?」
フローラ「えぇ……ありがとうございます」
ヨシュア「やはり大佐は強いね、父さんの薫陶を受けただけはある」
クローゼ「えぇ、リベール軍でリシャール大佐を上回る実力者はカシウス大佐を除けばモルガン将軍か、次点でシード中佐くらいでしょう」
エステル「だからといって退却はあり得ないけどね」
リシャール「ふ、威勢は良いが果たして君達の一撃が私に届くかね?」
ヨシュア「届かせますよ、エステル、クローゼ、フローラさん連携して行くよ!」
『『『応!!』』』
エステル、ヨシュア、フローラの三人がリシャールに突っ込みクローゼはアーツの詠唱に入った
エステル「やあぁぁぁぁ!!」
ヨシュア「はぁぁぁぁ!!」
エステルの棍の連続攻撃とヨシュアの双剣にリシャールはいなしながら反撃に移ろうとしたが……
フローラ「させません!」
リシャール「ぬう!?」
フローラが拳銃で大佐の死角を突いてくる
クローゼ「ハイドロカノン!」
リシャール「うおぉぉぉ!?」
クローゼの水のアーツ攻撃にリシャールは堪らず仰け反る
フローラ「チャンス!」
フローラはそれを見て接近して止めを刺そうとしたが……
リシャール「甘いぞ!」
リシャールは体制を立て直し反撃するが……
フローラ「そちらがですよ!」
フローラは太刀の射程外ギリギリに躱し懐から取り出し放り投げたのは……
リシャール「スタングレネード!?」
リシャールは慌てたが時既に遅く直後に轟音と共に爆発した
リシャール「ク……ッ!」
至近距離からのスタングレネードはさしものリシャール大佐もふらついていた
ヨシュア「エステル!」
エステル「うん!はあァァァ!烈破無双撃!」
リシャール「しまっ……ぐぁァァァ!?」
エステルの棍の連続突きがリシャール大佐の腹部に決まりリシャール大佐は膝をついた。
リシャール「流石だ……カシウス大佐の子供達……だが一足遅かったようだ」
台座に設置された《ゴスペル》が黒い光を放った
エステル「しまった……!」
ヨシュア「く……ッ」
フローラ「不味い!この光は……」
クローゼ「市長のアーティファクトを停止させた光……!」
《ゴスペル》の黒い光が三分程放ち続けたら急に停まった
エステル「な、なんだったの、今の……」
ヨシュア「『導力停止現象』なんだろうけど今までの物とは違っていた……まるで何かが解放された様な……」
フローラ「あ、あの《ゴスペル》は言わば外のドアの鍵穴に挿し込んだ鍵です……」
フローラは顔色が蒼く息も荒く膝をついていた
エステル「フローラさん!?顔が真っ青ですよ。何処か具合が……」
フローラ「だ、大丈夫です……(く、迂闊だわ。導力停止現象を対策してない身体だから変調が)」
ヨシュア「フローラさん、それは一体……!」
ヨシュアがその意味を問おうとした時に何処からか声が聞こえた……
『………警告します。………全要員に警告します………』
エステル「え………何処から?…」
ヨシュア「あの装置から喋ってるんだ……」
『《オーリオール》封印機構における第一結界の消滅を確認しました。封印区画・最深部において《ゴスペル》が使用されたものと推測……《デバイスタワー》の起動を確認……』
その言葉と同時に周りの四つの柱が床に収納された……
エステル「な、なによこれ!?」
ヨシュア「第一結界……《オーリオール》封印機構……大佐、これは一体!?」
リシャール「わ、判らない……この様な事態になる事は想定していなかった……」
『第一結界の消滅により《環》からの干渉波、微弱ながらも発生……《環の守護者》封印解除を確認……全要員は可及的速やかに封印区画から撤退してください……』
その言葉が終わるとリベール王家の紋章が入った壁が動き中から一体の大型人形兵器が出てきた
エステル「な、何、この不細工なの……」
ヨシュア「気を抜かないで!コイツが《環の守護者》だ!」
クローゼ「こ、こんな物が封じられていたなんて……!」
フローラ「ク……ッ(セレスト、万全の用意だけどタイミングが悪いわよ!)」
『ゲート固定……導力供給再開……再起動完了……MODE侵入者排除……座標確認……封印区画管理区・最深部《環の守護者》トロイメライ……これより侵入・索敵行動を再開する……』