という訳で投稿です!
エレボニア帝国上空 定期飛行船上
リィン「あと少しでエレボニアか……」
リィンは飛行船の甲板上で空を眺めていた。
フローラ「なんだかんだでリベールに長期滞在してましたからね。クローディア姫殿下は少し不機嫌でしたが……」
リィン「まぁ……な、何とか許してもらえたが」
リィンはエレボニアに一時帰国する旨をクローゼに伝えた時を思い出す
『回想』
《グランセル城》 ー クローディア自室 ー
クローゼ「リィン……どういう事かしら?」
リィンはクローゼに事情を説明してエレボニアに向かう旨を伝えたがクローゼの顔は笑顔だが目が笑ってはいなかった……
リィン「い、いや言葉通りで……太刀の調達とヨシュアの捜索をだな……」
クローゼはリィンに紅茶を淹れながら訊ねた
クローゼ「太刀なら王室の伝手で探せるし、ヨシュアさんの捜索は……百歩譲って納得するとして何故エレボニアなのかしら?何か根拠があるの?」
リィンはカップを持ち上げた
リィン「根拠なら……ある、多分リベールに居なければエレボニアにいると思う」
クローゼ「……そう、エステルさんはレマン自治州の訓練場で特訓してるのよね?」
クローゼもカップを持ち上げ紅茶に口をつけた
リィン「あぁ、ヨシュアを追いかける為に。《結社》に対抗する為の力を身につけるためにね」
クローゼ「……《見喰らう蛇》、今回のクーデター未遂にその組織が関与していてヨシュアさんも嘗て所属していたという話だけれど……」
リィン「ヨシュアの失踪も彼等が関係してるのは間違い無いだろう、ヨシュアはヨシュアなりに《結社》を追うためにエステルを巻き添えにしたくなくて突き離したのかもしれないが……」
クローゼ「それでも……納得行かないわね。仲間としても……エステルさんと同じ女性としても……」
リィン「全く同感だ。文句の一つ言っても良いくらいだ」
リィンは紅茶を一気に呷った
クローゼ「……はぁ、判ったわ。そんな事情なら止めようが無いじゃない」
リィン「クローゼ……」
クローゼ「但し、無茶なことはしない!……怪我なんてしたら治るまで付きっきりで監視するからね」
リィン「あぁ、判った。約束する」
クローゼ「宜しい。さ、折角のお茶会だから私の焼いたクッキーも食べて」
『回想終了』
フローラ「流石のリィン様も想い人の前ではタジタジでしたね」
フローラはその時の事を思い出しながら上品に微笑った
リィン「勘弁して……」
『まもなく帝都ヘイムダルに到着致します。お降りの際お忘れ物無い様ご注意願います。クロスベル行の定期船は三十分後に………』
到着を知らせるアナウンスが流れてきた
リィン「そろそろ到着か……さて、久しぶりのエレボニアはどんなものかな?」
リィンはそう言ってフローラを伴って甲板から客室に戻って行き暫くするとヘイムダル空港に着陸した
リィン「……人の多さは相変わらずだな」
下船したリィン達は空港内を歩きながら周りを見る
フローラ「エレボニアの帝都ですから……これからも発展すればこの比ではないでしょう。ですが、私個人はグランセルの方が好きですね」
リィン「同感だな、あの穏やかな雰囲気はこっちには無いものだしな。そういえばフローラはイーディスも見た事あったけな?」
フローラ「転移装置の不具合で本意ではありませんでしたが、あっちはあっちでヘイムダルやグランセルと違い近代的なビルディング群やアパートメントが建ってますが、正直アレも私は好きじゃないです」
リィン「ハハ……ん?」
空港の外に出るとエレボニアでもまだ珍しい導力車、それもトラックとかでは無く高級感のある乗用車が走って来た
フローラ「RF社製の最新型のリムジンですね。何処かの貴族のでしょう」
リムジンがロータリーに入り停まると運転手が降りてきて後部座席に座って居る人物の為にドアをあけた。リムジンから出て来たのは……
リィン「クロワール・ド・カイエン公……!」
フローラ「四大名門貴族の一角ですか……周りはカイエン公の取り巻き……と言ったところでしょう」
フローラの言葉通り次々とリムジンが到着しては貴族らしい服を着た男達がカイエン公に擦り寄っていた。そして空港に向かって歩いて来た。
「平民共!退けどけ!カイエン公がお通りになるぞ!!さっさと道を開けんか!」
その取り巻きの一人が怒鳴るとそれまで呆然としてた人々が慌ててカイエン公から距離をとった。無論リィン達も脇に寄り通り過ぎるまで待つことにしたが予想外のトラブルが起きてしまった。
「あっ………!」
なんと男の子がボールを落としてしまいそれを取ろうとした、それがカイエン公の集団の進行方向に飛び出す形になった!
「無礼な!平民がカイエン公の前に出るとは……そこを動くな!罰を与えてやるわ!!」
取り巻きが叫ぶと鞭を取り出した。周りの客から悲鳴があがる中、子供に鞭を振り下ろそうとした時……
リィン「………」
「なっ……!き、貴様!」
リィンが取り巻きの腕を掴んでいた
リィン「……フローラ、頼む」
フローラ「はい、坊やこっちに……」
フローラは男の子の手を取り母親らしき人のところに退避させた
「ぶ、無礼者!私を誰だと………!」
リィン「知りませんな、それより貴殿こそどういうつもりですかな?」
「な、何?」
リィンは掴んだ貴族の腕を少し強く握った!
リィン「此処は帝都ヘイムダル……即ちユーゲント・ライゼ・アルノール陛下のお膝元であられる。その様な場所で民に危害を加えるとは、なんの権限が有ってその様な暴挙をする?」
「ぬ……ぐッ!そ、それはあの平民の小僧が我々の前にでたからで………!!」
多少は理性はあったのか取り巻きは勢いが落ちたが、直ぐにリィンに噛みついた
リィン「だとしても子供相手にやり過ぎだ……!民の模範となる貴族が大人気ないと思わないのか……!」
「だ、黙れ!平民風情が……!」
クロワール「止めないか」
取り巻きが激昂しようとした時カイエン公が静かに言った
「か、カイエン公……?」
クロワール「たかが平民如きに目くじら立てる必要もあるまい?それより迎えの船が来てる。さっさとオルディスに戻るぞ……という訳だ平民、この場は不問とするから引け」
リィン「………」
リィンは無言で取り巻きの腕を離し脇に下がった
クロワール「懸命な判断だ。行くぞ……」
カイエン公はそう言って取り巻き達を引き連れ空港の中に入って行った……
リィン「……」
フローラ「リィン様……」
カイエン公が去った事により周りの喧騒が戻る中フローラもリィンの傍に戻って来た
リィン「済まないな、フローラ……心配したろう?」
フローラ「いえ……それよりあのカイエン公という男……」
リィン「あぁ……少なくとも魑魅魍魎の中に蠢く化け物だな」
帝国の闇というのが少し垣間見えた瞬間だった。