エリオット「ちょ、ちょっとマキアス……助けてもらったんだからもうちょっと愛想良くしなよ……」
マキアス「助けて貰った事は感謝するが……あのタイミングでしかもメイドを連れた男を怪しくないとは言えないだろう!あの貴族の仲間かも知れないじゃないか!」
エリオット「言ってる事は理解出来るけどさ………!」
エリオットとマキアスが言い争っているのをリィンは頬をかきながら誤解を解く為に口を開いた
リィン「えッ………と?誤解があるみたいだから言うけど本当に偶々言い争う声が聞こえたから駆けつけただけだ。まぁ……疑う気持ちは判るが……」
マキアス「ではあのメイドは何なんだ?あんなメイドを雇ってるのだからやはり貴族なんだろう!?」
リィン「彼女は確かに俺に仕えてくれているが俺は貴族では無いよ。第一メイドを雇ってるのは何も貴族だけじゃないだろう?資産家や大企業の家に雇われてる人だって居るんだし」
マキアス「む……」
エリオット「ほ、ほら!本人もこう言ってるんだから、偶々通りかかった人なんだよ!!」
マキアスはバツが悪い顔になって頭を掻いた
マキアス「……そう、みたいだな……済まない、勘違いをしていた。僕は少々……いや、貴族が大嫌いだからつい……」
リィン「……何か事情がありそうだから些細は聞かないけど、貴族だからと言って女子供まで毛嫌いする気か?」
マキアス「う……だ、だが実際君も見ただろう?貴族は……」
リィン「奴については確かに救いようが無い屑っぷりな貴族だがな……まともな貴族も居るんだから混同するのは違うだろ?」
マキアス「まともな……?そんなもの居る訳が……」
リィン「少なくとも俺は二人知ってるぞ、君が貴族を嫌うのは勝手だがその憎悪を何も君の事情を知らない人にぶつけるのはお門違いじゃないか?」
マキアス「それ……は……で、でも……」
マキアスは言葉に詰まった
エリオット「ね、ねぇ!そういえば君の名前聞いて無かったよね!?教えてくれないかな?」
エリオットは話題を逸らそうとリィンに振った
リィン「ん?あぁ確かに……俺はリィン・アイスフェルト、ついさっきリベールから帰国したばかりだ」
「「リベール!?」」
マキアス「確か彼の国はクーデター事件が起きたんじゃ無かったか!?」
エリオット「う、うん遊撃士と協力者の活躍で首謀者は捕らえられて解決ってなったって……えっと、リィンって呼んで良いかな?ちょっと聞きたいんだけど」
リィン「良いけど……聞きたい事?」
エリオット「うん………ズバリ、クローディア姫殿下って見た事あるの?」
リィン「えっ……と、何で?」
マキアス「まぁ純粋に興味本位だが、リィンも知っての通り我が国の至宝と呼ばれているアルフィン皇女殿下と同じ位にリベールの至宝と言われているクローディア姫殿下は有名だからな。リベールに行った人の話が聞きたいと思うのは不思議じゃないだろう?」
リィン「まぁ、判らなくもないが、そうだな……美しい人だよ。容姿もだが、心もな。彼女がリベールの女王になったらリベールは更に良き国になると確信が持てる程に……」
エリオット「そ、それほど!?」
マキアス「むむ、写真は無いのか?」
リィン「無い、それより何であんなのに絡まれてたんだ?」
エリオット「あ〜、それは……」
フローラ「リィン様、終わりましたわ」
エリオットが口籠ってるとフローラが路地から出てきた
リィン「御苦労様、首尾はどうだ?」
フローラ「ばっちりです。あの愚か者はこの二人に絡んだ事実や私達に会った事実も全て忘れましたわ」
エリオット「忘れたって………どうやって?」
フローラ「それは……秘密ですよ?」
フローラは二人に向けて微笑んだ
マキアス「ご、ゴホン!それで彼女が……」
リィン「あぁ、フローラ自己紹介してくれ」
フローラ「判りました。初めまして、リィン様に仕えておりますフローラ・クリフトと申します。お二人のお名前をお伺いしても?」
エリオット「あ……ハイ、エリオット・クレイグです!……」
マキアス「マ、マキアス・レーグニッツです。先程はありがとうございました!」
二人は顔を紅くしながら応えた
フローラ「いえいえ、私は何もしていませんので……」
フローラはそう言うとリィンの後ろに控えた
エリオット「あ、改めて見ると凄い美人だね。マキアス……」
マキアス「う、うむ……認めるのも癪だがあの馬鹿貴族が手に入れようとしたのも判る気がする」
リィン「……あげないよ?」
「「いや、とらないから/な!?」」
フローラは口元に手を当てて笑いを堪えていた
リィン「それで結局何が原因で絡まれたんだ?」
エリオット「あ、それは……これが原因だと思うんだ」
エリオットがカバンから取り出したのは一冊の雑誌……?
リィン「雑誌?こんな物が何で……?」
マキアス「表紙のタイトルをよく見てくれ。それが原因だ」
言われた通りに表紙のタイトルを読むと…『ヴィーター・クロチルダ特集』の文字が……
フローラ「最近話題のオペラ歌手の『蒼の歌姫(ディーヴァ)』ですね……彼女が何か?」
エリオット「この雑誌は数量限定なんです!しかもサイン入り!!」
マキアス「帝都ですら先着五十名までの希少な物だ!!ファンなら絶対に手に入れたい一品!今朝早く書店に並んで漸く買えた……それをあの馬鹿貴族は……!!」
二人が興奮しているのをリィン達は少し引きながら聞いた
リィン「えぇ〜……つまりアイツも雑誌を求めていて売り切れたから持ってる奴から奪おうとして……?」
マキアス「そう言う事だな、全くファンの風上にも置けない奴だ!!」
リィンとフローラは顔を見合わせた
フローラ「リィン様、これは……」
リィン「あぁ、物凄くしょうもないな……」
二人揃って溜息をついた
その後エリオット達と別れ(最後までヴィータ愛を語っていたのには辟易した…)ヘイルダム駅に到着し、切符を買ってリーヴス行の列車を待っていた
フローラ「リーヴスに戻るのも久しぶりですね」
リィン「何だかんだでリベールに長く滞在してたからな、町長の頼み事も出来て良かったよ」
フローラ「そのカプアー家の事はどうしますか?リベールで拘束されたのに脱走しましたし……」
リィン「……そうだな」
『まもなくリーヴス行の列車が参ります。お忘れ物無い様お願いします』
そんなアナウンスが流れ列車がホームに入り停車した
リィン「とりあえず乗ろう」
フローラ「はい」
そうしてリィン達はリーヴス行の列車に乗ったから気づかなかった……向かい側の列車からアストライア女学院の生徒三名がヘイルダム駅のホームに降り立ったのを……その三名の名はエリゼ、アルフィン、ミュゼ。